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正社員に必要な「働き方の多様性」(インプット備忘録9-1)

こんにちは。とあるベンチャー企業でひとり人事をしている朱夏です。

昨日無事に仕事を納めまして、今日から年末年始休暇です。
我が家は毎年夫婦でコミケに参加しており、例年の今頃は東京ビッグサイトを南ホールから東ホールまで歩き倒しているのですが、今年は延期ということで大人しく家でお籠りです(´ `*)

今年の学び、今年のうちに!
ということで、今日も東京労働大学での学びを書いていきたいと思います。

今回は多様な働き方について。
前編はいわゆる「正社員」の多様な働き方について、後編は「正社員以外」の働き方についてまとめていきたいと思います。

◾️「多様な働き方」とは何か

色々な場所で声高に叫ばれている「多様な働き方」。
その手法や仕組みは様々ですが、そもそもこれらの手法は労働供給面やワークライフバランス(WLB)の視点に立って働く人の満足感を向上させるためにあるものです。

具体的には、

✔︎週5日、1日8時間(+残業)ではない働き方
✔︎時間、場所、拘束度

これらのメニューと利用人数が多い状態が、「多様な働き方が実現できている状態」と言えます。

◾️これからの国内労働力

なぜ「多様な働き方」を実現しなければならないのか。
それは、一言でいえば「なるべく多くの人が働けるようにしないと労働力が足りなくなってしまうから」です。

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2018年の労働力受給推計(JILPIT)によると、2017年時点で6,720万人いる労働力人口は、経済成長ができたとしても6,195万人くらいまで減ってしまうと推計されています。経済成長が叶わなければもっと減って、5,460万人くらいになってしまうとも言われています。

また、ここで推計されている経済成長には以下のような前提が含まれています。

・経済成長が年率2%程度
・成長分野において追加需要が起きる
・社会保障が見直される
・保育所の充足による女性の労働参加が今より進展している
・全ての企業で、希望者全員が65歳まで雇用確保されている
・短時間雇用比率が上昇し、平均労働時間が短縮している

……この前提を見ると正直「えっ…無理じゃない?」と思いたくなるのですが汗
つまりは今までのやり方を思いっきり変えないととても厳しいということなのです。

これまでの働き方に対応できる人だけでは成り立たなくなってしまうので、なるべく多くの人が仕事をできるようする必要があり、そのための「多様な働き方の実現」というわけなのです。

◾️正社員の中での多様化

昨今の「働き方改革」もあって、正社員の働き方の選択肢はここ数年で増えてきたように思えます。

一般的なところでいくと、以下のような施策が挙げられます。

【時間の多様化】
短時間勤務/裁量労働制/有期正社員
【場所の多様化】
エリア限定/在宅勤務/サテライトオフィス
【キャリアの多様化】
コース別一般職/休業などの中断期間を挟んだキャリア

今年ものすごい速さで普及したテレワークですが、これは従来の想定とは少し異なる形で導入されていきました。

本来はWLB推進と生産性向上を目的としたもので、企業のテレワーク導入率は2017年時点で全体の13.9%にとどまっていました(総務省H29の調査より)。

対して今年は導入率が約30%まで増えていますが、これは感染防止が目的であり、本人の希望に関係なく実行されてきたものです。この緊急避難型の導入が、今後多様な就業形態を実現するものとして定着するかはまだわからない状況です。

テレワークによって逆に効率が下がったという意見もありますし、企業規模によって導入率にはまだ大きな格差があります。
(日本生産性本部の調査では、従業員1,000人以上の企業では導入率50%に対し、30人以下の企業では12.2%にとどまっているという結果も出ています)

今年見えた課題を一つずつ解消し、本当の意味でテレワーク「も」できる状態にしていくことが次のステップと言えます。

◾️休業も含めたキャリア形成

2005年以降、産休の復職率は少しずつ上がってきていますが、それでもまだ全体の約4割の人が出産・育児をきっかけに退職する選択をしています(2015年 国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」より)。

退職理由の26%が「仕事と育児の両立が難しかった」であり、その具体的な理由は勤務時間が合わない、職場に両立を支援する雰囲気がなかった、体力的な問題、などが挙げられています。

また、出産・育児によって働いていない期間が発生すると、技能のさびつきや復帰後のキャッチアップに不安を感じる人も少なくありません。
職場に復帰できても、出産・育児によってキャリアパスが狭まってしまっては「多様な働き方」とは言えないのです。

そのため、これからは休業後の復職支援や職場の理解だけでは不十分で、ブランク期間も織り込んだキャリア形成が可能になる仕組みを作っていく必要があります。

◾️短時間正社員とは

いわゆる「時短勤務」と呼ばれる短時間勤務。
正社員の場合は産休明けで育児中の社員が使うイメージが強いですが、実際は短時間勤務へのなり方によって以下の3種類に大別することができます。

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【タイプI】
社内に元々在籍している正社員が、一時的に制度を利用する方式。
育児や傷病休職明けの社員が利用することを想定している。

【タイプII】
新しく入社する際に短時間勤務の正規雇用として採用されるパターン。
日本企業では少ないが、定年後再雇用などはここに含まれる。

【タイプⅢ】
パートタイマーなど、短時間・非正規雇用で社内に在籍している社員が、短時間勤務はそのままに正規雇用となるパターン。この場合は、短時間勤務が労働契約になっているので、継続的に短時間勤務となる。

今後はタイプIIの入社するときに短時間勤務が選べるような仕組みが整うと、多様な働き方に一歩近づけるのかなと思います。

一方、現状の働き方の制度のまま即導入というのも難しいです。
働く人たち側、その人たちを管理する側それぞれに課題があります。

【働く人たち側】
・職場メンバーに負担がかかる
・仕事の繁閑への対応が難しくなる
・仕事/役割の分担が複雑になる

【管理する側】
・賃金や退職金などの処遇が煩雑になる
・目標設定や評価基準の見直しが生じる
・各職場に必要な人員数の管理が複雑になる

ですが、これらの課題こそ「いや、無理だよね」で片付けていたらいつまで経っても変わらないわけですよね。

プロジェクトマネジャーは四六時中プロジェクトの進捗を追っかけていなきゃいけないとか、
職場に負担をかけるくらいならやっぱり時短はやらないほうがいいよねとか、
給与はフルタイム正社員の賃金を時間で割って控除すればいいんじゃない?とか、

そんな感じで今までのやり方の延長で調整しようとしていたら結局イタチごっこでジリ貧になる未来しか見えない…

実際に時短勤務を希望している社員と一緒に思考錯誤しながら社内の仕組みを作っていくのが近道な気がします。
そこは人事側から本人たちに声をかけて、一緒に作っていこうというスタンスで取り組んでいく方がいいのかなと思います。


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働き方は労働基準法に直接関わる事項も多く、なかなか自分の会社だけでなんとかできない課題も多いです。

どんな時も、国は結局一番最後に動くので…^^;
私たち企業側から少しずつ変革の取り組みをしていき、それが大きなうねりになったときに社会全体に波及していくんだろうなと思います。

そういう意味でも、まずは目の前の組織とメンバーから、ですね(`・ω・′)

後編では、正社員以外の働き方について書いていきたいと思います。

それでは今日はこの辺で( ˘ω˘)

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