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世界観の話について

こんにちは。

昨日ツイッターの質問箱にて面白い質問を受けたので、質問箱で回答したものに補足を加えた完全版なるものを書き綴ろうと思います。
結構真剣に書いたので、もし良かったら読んでみてください。


○質問Syuさんの写真は生命力と空気を感じられて大好きです!どうやってあんな風に切り取れるのですか?

ご質問ありがとうございます〜。
知り合いのフォトグラファーにも同様の質問をして頂く事も多いので、その都度回答したものをごろっとまとめてみました。今度から同じ質問をしてくれる方への回答が「note見てほしい」で解決すると思うと、質問者さんも必死にメモ取らなくても良いし、僕も現像時間を稼げるから少し嬉しいです。(笑)

さて、皆さんにとって写真撮影で一番大切な点って何でしょうか?
僕の場合、写真って構図やライティングも大切だと思うんですけど、それ以上に [ 瞬間の捉え方 ] つまり視点が大切だと感じています。とはいえ構図やライティングは写真表現の上でかなり大切ですし、基礎なのでしっかり学んだ方が良いと思っていますが、基本的には絶対的なルールみたいなものが存在するだけだと思っています。
まず構図は三分割やら黄金構図やら日の丸構図、なんちゃら構図って数十パターンのルールに分けられているだけです。ライティングに関しては順光なのか斜光、逆光、トップなのか、レフなのかディフーザーなのか光源は何なのか…(いや、そもそもイメージが大事)それぞれの組み合わせを読み解いていくと、割と80%くらい写真を解読できちゃうんです。どれだけ学んで、どれだけ引き出しを増やすか…そしてそれらを正しく使えているか…というだけの話なので、新しいテクノロジーや価値観が生まれない限り、結局(それだけでは)限界があると思っています。現に、歴史の教科書に載っているような写真や〇〇賞を獲得してきた写真のほとんどは写真的に難しい事をしていませんよね。かの有名なアインシュタインの肖像写真だって綺麗な日の丸構図でストロボ直焚きです。つまり、学べば誰だって会得できるものが構図とライティングというものです。

それでは、瞬間はどうでしょうか。それこそアインシュタインが舌を出している写真だって、相当写真嫌いで有名な逸話を持つアインシュタインが舌を出すなんて奇跡中の奇跡らしく、結局そのままニューヨーク報道写真家賞を受賞して有名な一枚になりました。
*僕たちはアインシュタインの事を陽気で元気なおじいちゃんというイメージを持っているかもしれませんが、他の写真は真面目で怖い印象のものが多いらしいです。

「アインシュタイン」という大衆の存在を例に出しましたが、もっと掘り詰めてみましょう。例えば、真顔で写っている女性を写真に撮ったとします。女性の事を知らないAさんは「怖い」と感じるかもしれません。いつも一緒に過ごしている女性友人のBさんは「いつもの顔」と言うかもしれません。愛し合う恋人のCさんは「愛おしく」感じるかもれません。ご両親のDさんは?息子、娘のEさん、Fさんは?はたまたペットのワンちゃんGちゃんは?
きっと皆さんそれぞれの価値観で「女性」を感じ取っているはずです。だって、出会った時期も違えば一緒にいる時間だって違う。それぞれの人生や価値観だって大きく違います。
それだけ十人十色、多種多様の見方があるという事は、つまり瞬間の捉え方って無限の可能性があるはずなんです。
質問者さんの言葉とは違うかもしれませんが、「空気」→「空気感」の正体って、写真を撮った人と写真を撮られた人との関係性というか、シャッターを切った瞬間に垣間見える、僕と被写体の前後関係が滲み出たものを総称して「空気感」と呼ぶのかなって。
だから別に笑いたくなければ笑わなくてもいいし、写真が苦手なら苦手でもいい。何なら僕は「フォトグラファー」という友人でも家族でもない、言ってしまえば独自の視点、価値観、つまり神聖な領域からあなたを見ている特殊な存在なので、笑う事ができなくったって、演じる事がうまくいかなくても、それを全肯定する僕とあなたの関係性で撮るから「空気」が生まれるんですよね。
そしてその空気を、どうやって撮るのか、どの引き出しを開けるのか…それが世界観に通じているのです。僕はポートレートで感情を撮るとき、敢えて部屋を暗くしてムードのある音楽を流します。そして優しくなれる言葉をかけ、シャッター音を消し(←ここまで空気感を演出)、(ここから技術面→)三分割法に忠実に、顔に変なシャドウが生まれないように、そっとフォローを行い、そしてα7iiiの瞳フォーカスを多用して1枚の写真を撮ります。もうこの時点でお気づきだと思いますが、かなり考えて、かなり内面と向き合って写真を撮っています。生命力って自分でもよく分かっていませんでしたが、言うならば「自分の人生や価値観を、第三者に重ねる」という事なんじゃないかなって。まだ30代なので、人生の「じ」もよく分かっていません。でも、常にもがいている経験が生命力のある写真を生んでいるような気も、します。悟った時に、また返信させてください。

以上が「生命力と空気の切り取り方」についての回答(完全版)になります。これらは (あくまで) 僕自身が経験して感じた事を書き綴っているだけなので、他のフォトグラファーはまた違った視点があります。SNSで活躍されている方々は言語化も写真も独特なので、ソチラを読んだ方が分かりやすく、アーティスト的だと思います。なので、皆さんにはこの記事から「自分にとって必要な知識」だけを抽出してください。結局シャッターを切るのはあなた自身ですから、何かお役に立てたら嬉しいです。

Syuheiinoue



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