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木曜日の朝に。 34朝

「おはようございます。」

アラームが鳴って。まだ真っ暗なのに、寒いのに、布団からスッと出たもっさんもっさんな私は、珍しく夢も見ず、すっかり寝足りたみたいだ。だって昨日はいっそう早く寝たもの、誰よりも早く、よい子の時間に。

卵2つ、シャカシャカとしながら、次女の英語の課題がどうの(クリスマスから三日間のall Englishのプログラムの準備)やら、ドライヤーをしながら新しい合唱曲を歌う三女の声(だいぶ大きい、しかも主旋律じゃない方)と、夫の血圧計のウィーンを(今朝2回目)聞いて。

一人元気に走り回るのは、早起きな猫で、
野生の血をたぎらせて(野生だったことなど一度もない子なのに)階段を勢いよく駆け上がっては「ナォーンッ!」と雄たけぶ。
おそらくキメ顔で。
…うん、元気で何より。

白湯に、レモンとひとつまみの塩を。
ふーふーしながら啜る。

それにしても、と、昨日のこと。

80を超える義父ちちの補聴器の定期点検のために、義母ははとともに病院へ付き添ってきた。
目も耳も、足腰も弱って、しぶしぶ運転免許を返納したので、病院や買い物を、娘や息子(夫は三人きょうだいの末っ子だ)や嫁に頼まなければならない。義母は「女が自動車に乗るなんて」な世代だ。

ゆっくり、ハッキリ、顔を見ながら話しかけなければ、聴こえなかったことになる義父は、けれども、聴き取れれば饒舌に話返すのだ。もともと、話が嫌いな人ではない。息子である夫とは、いろいろ話がはずんでいる、と義母は言うのだから。

小柄な義母は、もうずっと家にいて、さほど大きな声で話す必要のない生活をしていて、長年一緒に暮らしている夫に話しかけるからといって、声を大きくゆっくり話すわけでもなく、
「おっかぁの声は聴こえん」
ということになっていて。
補聴器屋さん(他にどういう呼び名があるのかわからない…)の言うことには、

「なるべく、旦那さんの正面に回って話して      あげてくださいね」

らしいのだけれど、義母はただ目を丸くして、眉を上げるのみだった。

「大事な話なら書いとく」からいい、と。
聴こえないなら聴こえないなりの二人の生活が始まっているのだと、妙に腑に落ちた。

私はと言えば、補聴器の設定や記録が、パソコンの画面に転送され映し出されているのに「ほぉ!」となって(こんな小さなものに!?こんなにデータが!?)。

相当な精密機器らしい小さなそれは、スイス製で、緻密な音階の変換やタイムラグをことごとく排除する最先端技術ハイテクノロジーの賜物だという。

音量調整をマウスでして、小さな補聴器のランプが点滅して(どうやらちゃんと接続されている)、その間 補聴器を外した義父は、義父自体のスイッチが切れてしまったようにどこかを見つめて、一人だけボーッとしていて(義母と私は補聴器屋さんの説明をずっと聴いていたのだけれど)、耳に補聴器が戻った途端、こちらを見て話しはじめる義父に、〝起動〟という文字が見えたようだった。補聴器の仕組みだとか「聴こえ」というのは、ただ耳だけの問題ではないのだな…と思う。

補聴器はやはり、「聴く」と書くのだし。
そこには、意思や興味や自覚やが複雑に関係している。

義父にどう聴こえているのか、聴こえていても「聴こえん」フリをしているのか(そっちの方が多い気がしてしかたないのだが)、耳に収まる小さな精密機器を、一度はめてみたいなぁと思ったりした。

歳を取れば、いずれそんな日もくるかもしれないから、私はとりあえず、ワイヤレスイヤホンを買おうと思う。買っちゃおうと思う。
クリスマスだし。

というわけで、
今朝はこの曲で♪

我が家は、子どもたちが小学校を卒業したくらいからサンタクロースは来なくなった(かつてはベランダにサンタの足跡があったりしていたのに…)ので、プレゼントは親サンタへおねだり制になった。
「前髪用のヘアアイロンがほしいです」
そうです。

𝐇𝐚𝐯𝐞 𝐚 𝐧𝐢𝐜𝐞 𝐝𝐚𝐲🎧♪

ひとしきり走り回ったあとの猫。まったり。


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