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「読書感想文」運動脳

スウェーデン ストックホルム出身、精神科医、アンデシュ・ハンセン著。

新聞の広告欄に何度も載っていて、本屋でも見かけて、ずっと気になっていた本。でも、手に取るのを躊躇っていた本。

なぜなら、「読んだら運動せざるを得なくなる私」が想像できるもの。運動が嫌いなわけではないけれど、運動不足なのは自覚している上に、素直な読者なのだ。読む本を引きづりながら生活をしている。新年の目標は、「肉」とたて、筋肉もつける気だ。とうとう読むタイミングなのかもしれないと、手に取ったのだ。

科学が「最も信頼できる」とした方法で行う
  脳の可塑性の研究においては、身体を活発に動かすことほどに脳をかえられる、つまり神経回路に変化を与えられるものはない ことがわかっている。しかも、その活動を特別に長く続ける必要はないという。じつをいえば、20分から30分ほどで充分に効果がある。

第1章 現代人はほとんど原始人  より

健康本によくある、運動すると血の巡りが良くなって頭が冴えるよ、というレベルではない。本書は、科学的に証明されている研究をもとに、運動が脳に及ぼすメカニズムをわかりやすく説明してくれる。
うつ病やパニック障害、ADHDに対する運動の効果など、精神科医ならではの観点で、投薬よりも脳にはなにより運動が必要であること、脳内で起こっていることなど、かなり説得力がある。

ほらもう、私なんて、もぞもぞと立ち上がって、足首をくるくる回したりながら、どんどん読み進めてしまう。

村上春樹『走ることについて語るとき僕の語ること』(文藝春秋) のなかで、村上は創作のプロセスを詳しく語っている。作品の執筆中は毎朝4時に起床し、午前10時まで仕事をする。昼食をとったのちに10キロのランニングを行い、それから水泳をする。そのあとは音楽を聴いたり、読書をしたりして過ごす。そして夜の9時ごろには就寝する。

第6章 頭のなかから「アイデア」を取り出す より

運動が創造性に計り知れない影響をおよぼすことを、多くの作家、ミュージシャン、俳優、アーティスト、科学者、起業家たちは知っている。運動を習慣にすることで、脳内の「視床」のドーパミンの量が調整され、おもいつく「確率」が上がり、アイデアが量産され、なおかつ情報を適切にふるい分ける。

ね、やっぱり。かるくスクワットみたいなことをしながら、ますます読み進めてしまう。

教室で子どもたちが立ち机をつかうようになってから、集中力やワーキングメモリー、認知制御の能力が増したという。この認知機能のテストでは、読解力や記憶力、段階を経て問題を解決する力など、学力にそのまま反映する能力を調べることができる。そして立ち机を導入する前と後では、このテストの結果にかなりの差があった。立ち机を使うと、テストの結果が平均で10%もあがっていたのである。

第7章 「学力」を伸ばす  より

おっと、娘たちよ。立って勉強した方がいいらしい。勉強机やら、こたつやらで地道に勉学にはげむ子どもたちに、「立って勉強するとさ…」とか言い始める。
ほらね、想像できたもの、こうやって家族に熱弁しはじめる私も。
 
読み終えて。

今朝は、市役所に車を停めて、用事をすませたあと、近くの文化センターにも用事があったので、歩くことにしました。

ほら、ね、もうしっかり運動脳になってる。

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