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記事の企画を立てるにはどうしたらいい? フリーライターの頭の中身、ぜんぶ見せます


こんにちは、フリーライターの少年Bです。

ライターとして最も大切なことはなんでしょう。文章力……はそりゃもちろん最低限必要ですが、個人的には「いかにいい企画を出せるか」だと思います。そこで、今回は企画の立てかたについて書いていきます。

ライターに求められるものとは?

そもそも、フリーライターって何のために仕事をしているんでしょう。いろいろ考えはあると思いますが、個人的には「メディアの価値を上げること」だと思っています。

そもそも、メディアは何のためにあるか、考えたことはありますか? 個人的にはメディアの目指すべきゴールとは

いい文章がたくさん集まって
→評判になって
→サイトのPVが増えて
→メディアの価値が高まって
→収益化や、メディアの運営会社の認知度・イメージをアップさせる

じゃないかなぁ、と思っています。「いい記事を書く」のはそのための手段のひとつなんですよね。

でも、いちライターが個人で運営会社のポジティブイメージをつくるのは難しいし、収益化やイメージアップにつながる戦略を練るのはさすがにライターの役割じゃないよね、って話になります。

どうしていい企画が必要なの?

ライターにできることは、もちろん「いい文章を書くこと」。でも、実はそれ以外にももうひとつだけできることがあります。それが「企画を立てること」なんです。

わたしは企画段階から記事制作に関わることが多いです。もちろん、編集さんからいただいた企画記事を書くこともありますが、ネタ出しの大半は自分で行っています。

編集さんだって月に5も10も記事案を考えるのは大変でしょう。記事のネタを考えてくれるライターがひとりでもいれば、ずいぶん楽になるはずです。あ、いまあなたは「なんで編集さんに楽をさせなきゃいけないの?」って思いましたよね。


編集者は外注の場合もありますが、だいたいは運営会社の人です(あと、だいたい少人数です)。「ライター」や「編集者」の仕事範囲が拡大した現在、編集者は主に「文章の赤入れもするマーケティング担当」という感じで働いてる人が多いんですよね。

つまり、ネタ出しの部分をライター側が担うことができれば、編集さんがそのぶんの時間をほかに当てることができ、トータルで見ればメディアの価値を上げることに繋がります。前置きがちょっと長くなりましたが、これがわたしが「ライターには企画力が必要」と考える理由です。

いい企画を立てられると、書く以外の方法で間接的に「メディアの価値を上げる」ことになるんですよね。

いい企画とは何か

初心者ライターさんやライター志望のかたの中には「企画って言われても……」と身構えてしまう人も多いのではないでしょうか。

「企画」と書くとおもしろくてインパクトがあって、SNSでバズって……というイメージがあるかもしれませんが、それだけではありません。

たとえばSEO記事にもキーワードの選定や、上位サイトの調査、そのキーワードを読者はどういう意図で調べているのか、などの記事設計を行うことがあります。でも、これだって立派な「記事の企画」ですよね。求められてるのはそういうことなんです。

SNSで話題にしたいという方向性もあれば、SEOで上位を取りたい場合もあります。「ライターの色」を求められる媒体もあれば、そんなものは不要というメディアもあります。対象の読者層はどこでしょうか。そういったメディアの方向性と目的を把握し、ポイントをしっかり押さえて出した企画案。それがわたしの定義する「いい企画」です。

企画のアイデアを出すためには「読書が必要」?

よく「ライターさんってことは、色んな本とか読んだりするんでしょう?」と聞かれます。もちろん、中にはそういう人もいるでしょうし、自分の周りにはそういう人のほうが多いようにも感じていますが、これはマストではないと思っています。

なぜなら、当のわたしは本を一切読まないからです。雑誌をたまに読んだりすることもありますが、ハードカバーや単行本の本はここ3年で2冊、4冊、3冊。すぐに思い出して数えられる程度しか読んでいません。しかも、そのほぼすべてが友達の書いた本。これはもう一切読んでないといってもいいはずです。

あと、時間を守るのが苦手なので(取材や待ち合わせの時はがんばって遅刻しないようにしていますよ!)、映画も見ません。いわゆる一般的な「インプット」とされるようなことを、ほとんどしていないんですよね。

少年Bの企画は「人との会話から」

じゃあ何をしているか?というと、わたしは人と会うこと、話すことを大切にしています。本を読まないぶん、色んな人の話を聞いて自分で考えたり、何かを教えてもらったりしているわけですね。

もちろん、その情報は興味を持てるものも、そうでないものもたくさんあるのですが、反面自分では絶対に知り得ない情報に出会うこともあります。この前はいま中国で大人気のBL小説について教えてもらったのですが、こんなの、異性愛者の35歳男性はまず調べないですよね。

こういう偶然の出会いって、すごくおもしろいんですよ。ぜんぜん知らないことや自分の興味の外にある話が、いつかほかの何かと合体して企画の種になることもよくあります。


たとえば、この記事は友達と話していた時に「バナナのケチャップがあるらしい」という話題が出たのがきっかけ。買えばいいのになぜか自作してみる流れになりました。

友達の悩みを聞いているうちに、自分の中で考えが整理されて、コラムのネタになったこともあります。この記事は営業に悩むライターの友達に、自分流の営業方法を話したことがきっかけで生まれたもの。今でも多くの人に読まれています。


ほかにも、「そんなの流行ってるの!?」って狭い界隈で人気のグッズやネットミーム(バズって拡がっていく行動)を教えてもらうことも。そういう偶然の出会いは、自分の興味の範疇を探しているだけではなかなか見つかりません。


あとはウェブ記事も自分からはほとんど見ませんが、Twitterのタイムラインでフォロワーが流してくれるニュースは、気になるものがあったらなるべく見るようにしています。

タイムラインで見るウェブ記事も、わたしが自分からは掴みにいかない情報が多いです。でも、信頼するフォロワーがシェアしているってことは、「その人が読んでおもしろかったもの」ですよね。つまり、ある種のフィルターを潜り抜けて届いた、個人の興味や関心が詰まった記事です。そう考えると、ちょっと読んでみたくなりませんか?

もちろん、情報が偏りすぎないように注意する必要はありますが、わたしは「個人や個人の興味関心に付随する情報」をなるべく見聞きするようにしています。

SNSでは「出会えない人と出会える」

わたしのTwitterの使いかたは、ライターとしてはちょっと変わってるかもしれません。「ライター」としてはちょっと、発信のノイズが大きすぎるかもしれませんが、趣味の話やくだらない冗談、心の内まで、あまり気にせず好きなことを書いています。

また、フォロワーも単に同業者というよりは、同じバンドが好きな人やインターネットのオタクに腐女子など「趣味の合う人」をフォローして、ちょこちょこリプライで絡んでいます。通話をしたり、コロナ禍の前は実際に会うことも多かったです。自称「いま会えるライター」でした。

わたしは元々「友達が欲しい」と思ってTwitterを始めたので、今もなんとなくそのまま来てしまっているんですよね。「ライターの少年Bだから」近寄ってくる人ではなく、ひとりの人間として好いてくれる人と仲良くなりたいな……と思ってTwitterをやっています。


そういう使いかたをしていると、普段の生活では出会えないような人と出会えます。たとえばわたしのフォロワーには大学生や高校生の人もいます。35歳の男性が街で高校生に話しかけたら……ちょっとした事案になっちゃいますよね。「趣味が同じ」だからこそ繋がった縁です。

雑談でいいんです。ひと回りも離れた年齢の人たちと話すと、「いま身近で流行っているもの」や「若い人の考えかた」がなんとなくわかります。

会社員や主婦の人も同様です。そういった「普通の人」の話って意外と聞かないし、普通はわざわざ知り合うこともないですよね。知り合って仲良くなったところで、仕事にはまったく影響がありません。そんなことより、先輩ライターや編集さんと仲良くしておいたほうが、絶対に「得」ですから。

でも、よくよく考えてみたら「エンドユーザーが何を考えているか」って、いちばん大事なことじゃないですか?もちろん、それを目的に付き合ってるわけではないんですが、「業界にいるからこそ気付かないこと」を教えてもらえるチャンス。

自分とは属性が違う友達を作っておくと、企画のアイデアは大きく広がるような気がしています。

いい企画を考えるためにはインプットが必要?

と、書くとすげー意識高い人みたいになっちゃうのがすごいですよね。こわいこわい。

でも、個人的にはそもそもインプットって必要か???と思っています。元々勉強が大嫌いなので、「知識を得よう、学ぼう」って気が一切ないんですよ。

だから、こうやって何かを見たり聞いたりする時に「学ぶため」という意識でいることはほぼありません。原動力は「おもしろそうだから」「自分の知らない考えかたや趣味を聞くのが好きだから」です。

わたしはもう35歳なのですが、いま「センター試験の問題を解け」と言われると……絶対無理だろうな、って気がしちゃいますね。たぶん、社会人のみなさんも同じような感想を抱くんじゃないかな?と思います。「必要だから」学んだ知識って、不要になるとどうしても消えてしまうんですよね。でも、好きで学んだ知識なら、時が経っても覚えていたりしますよね。子どものころ好きだったアニメの設定とか。

わたしの場合は「他者の興味関心に興味関心がある」という状況なので、話の内容を忘れることがあまりありません。……予定や締め切りはよく抜けるんですが。はい、それについては反省しています。

実際に足を運んだ場所のことは覚えている

他の趣味に関しても同様で、たとえば他には旅行が好きですが、旅先で出会った温泉や食べもの、おもしろい人のことはよく覚えています。そういった情報から記事の種が生まれることもよくあります。


https://be-topia.finbee.jp/life/1465/

銚子電鉄は2006年にインターネット上で話題になった電鉄会社です。公式ホームページ上に「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。」という文章を掲載し、同社で製造・販売している ぬれ煎餅の購入などによる支援を呼び掛け、2ちゃんねるやmixiなどで大きな話題になりました。

わたしも当時住んでいた横浜から、わざわざぬれ煎餅を買うために銚子まで出かけました。もちろん通販もあったのですが、「あんなサイトを作る鉄道会社ってどんなところなんだろう?」と気になったからです。

それからもう10年以上経ちましたが、ふと「あの会社はいまどうなっているだろう?」と思い出し、検索したところ、ちょうど「スーパーまずい棒」が販売されるタイミングということで、記事の企画になったのです。


https://be-topia.finbee.jp/life/1211/

この取材は実は3本立てで、同日に犬吠埼の記事の取材も行っていました。これは実際に足を運んでいたからこそ、記事にした時のイメージやかかる時間の想定ができたことですよね。もっと言うならば、実際に足を運んでいなかったら、銚子という街のこと自体を忘れていたかもしれません。


この記事は昔、ぶどう園を巡っていた際に偶然出会った、育種家の関口さんに取材した記事です。公式サイトもSNSもなく、インターネットでは一切情報の出てこない関口さん。

普通であれば、この情報に行きあたることはないでしょうし、「商売ではなく、なりわいでぶどうを作っている」と語る関口さんは、今までメディアに出たことはありません。でも、「あんたなら(記事に)出るよ」と言ってくれました。そういう背景も含めて、この記事は初めて「自分にしか書けない記事になった」と実感できた1本でした。

わたしは「記事のためにインプットする」という意識ではなく、「自分が心から楽しんだものごとが、結果的に記事になる」と考えています。

ライターの仕事には「あなたの人生」が出る

まとめると

・意識してインプットはしてないけど、人と話して知識を得たり、話す中で考えが深まっている
・年齢が違ったり、業界外の人と話すことで気づくことは多い
・実際に行った場所や食べたもの、会った人のことを思い出してネタにしている

という話でした。

ネタを明かしてしまうと、ほんとに大したことはないですよね。期待してたかた、裏切っちゃったらすみません。

でも、これって言わば「人生」なんですよ。これまでの人生、仕事も趣味も雑多でした。介護士をやりながらラーメン博物館でバイトをしていたと思えば建築業に転職したし、旅行もサブカルもインターネットもオフ会も、ぶどうもラーメンも音楽も、温泉に廃墟、インフラも好き。趣味にまったく統一感がなく、ほんと好き勝手につまみ食いをして生きてきました。

でも、仕事が「ライター」になった瞬間、そのすべてが「書けるネタ」として1本の線で結ばれたんですよね。専門ジャンルはありませんが、さまざまな興味や経験から企画が出せる。それがわたしのライターとしての強みになりました。

企画が立てられないと悩む人は、自分の過去の経験から考えていくといいかもしれません。それがいま書いているジャンルと違うなら、別ジャンルのメディアに応募してみるのもおもしろいかもしれません。


ただ、ひとつだけ心配なのは、過去の記憶はいつか枯渇します。化石燃料のように、ネタ切れはいつか必ず起こります。だから、今はできるだけ人と話したり、新しいものに興味を持つようにしています。

好奇心がなくなったり、守りに入った瞬間にネタは枯渇する。ついつい「前行って楽しかった旅行先」や「おいしかったあのお店」に行きたくなりますが、新規開拓は続けていかなきゃなぁ、と思っています。気持ちの面でもね。

企画のアイデアは、自分の経験や興味から生まれます。すなわち、それは人生のようなもの。あなたの人生から、あなただけの企画を出してみましょう。


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