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AIが選んだ朝日新聞「らしい」本33冊(新聞書評の研究2019-2021)

はじめに

筆者は2017年11月にツイッターアカウント「新聞書評速報 汗牛充棟」を開設しました。全国紙5紙(読売、朝日、日経、毎日、産経)の書評に取り上げられた本を1冊ずつ、ひたすら呟いています。本稿では、2019年から2021年までに新聞掲載された総計約9300タイトルのデータを分析しています

なんでそんなことを始めたのかは総論をご覧ください。

過去の連載はこちらをご覧ください。

AIが選んだキーワード

前回まで2回にわたって、各新聞が書評した書籍のタイトルをワードクラウド化して、新聞ごとの特徴・個性を探りました。差異を強調する手法を使うと、それぞれの新聞ならではのキーワードが、タイトルから選びだされました。手法とキーワードについては以下にまとめてあります。

今回はこのうち、朝日新聞に焦点を当てます。朝日新聞のキーワードは、他紙に比べて、いかにも「らしい」タイトルが多いと思います。

キーワードは「フェミニズム」(6冊)、「琉球」(5冊)、「大切」(5冊)、「読本」(5冊)、「アナキズム」(4冊)、「キリスト」(3冊)、「原子力」(3冊)、「ピカソ」(2冊)です。

朝日新聞「らしい」タイトルはこれだ

フェミニズム

朝日新聞以外では、「フェミニズム」をタイトルにした書籍はわずか一冊しかありませんでした。産経新聞が紹介した

です。フェミニズム本は、朝日新聞の独壇場といえます。

琉球

「琉球」も朝日新聞「らしい」タイトルですね。

朝日新聞以外では、読売新聞に5タイトルあります。読売新聞のキーワードにもなっていますので、別の回に紹介します。

大切

謎です。

なぜか朝日新聞の書評には「大切」というワードを含む書籍が多いのです。朝日以外では読売新聞が、上記の『暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて』を取り上げているだけですから、突出しています。理由は不明です。

読本

「読本」もなぜ朝日新聞のキーワードになるのか謎です。書籍の傾向もバラバラですので、たまたまなのかもしれません。だれか思いついたら教えてほしいです。

朝日以外では、読売新聞が1冊

日経新聞が1冊

それぞれ紹介しています。

アナキズム

「アナキズム」も朝日新聞を特徴づけるキーワードです。朝日以外では、毎日新聞が「くらしのアナキズム」を紹介しているのみです。(本稿の分析対象期間外ですが、2022年1月には読売新聞も、「くらしのアナキズム」を紹介しています)

キリスト

これも謎ワードの一つ。書評子も違うみたいですし、まあ偶然かもしれません。朝日以外の新聞には「キリスト」を含むタイトルの書評はありません。

原子力

「原子力」も「らしい」ワードです。朝日以外では、毎日新聞が上記の『原子力時代における哲学』を紹介しています。

ピカソ

「ピカソ」を含むタイトルは、朝日新聞以外の新聞にはありませんでした。

「ピカソ」は朝日新聞のワードクラウドの中では一番大きな活字となっています。

これは、書評子の横尾忠則氏が、上記2冊を通常の書評と年末の特集(今年の3冊などというタイトルで一年の総ざらえをする欄)で紹介したためです。冊数では2冊ですが、回数では4回です。

今回作成したワードクラウドは、朝日新聞の書評に出現したタイトルの名詞について頻度を数え、朝日以外の新聞での頻度と比較したうえで、「朝日新聞には頻出し、他紙はあまり出てこない」ワードを大きな活字にする手順で作っています。「ピカソ」は朝日新聞にのみ、4回も出てきたために、今回最も大きな活字で表現されています。

次回は産経新聞です。こちらも「らしさ」が明確です。

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