見出し画像

暫定プロダクトオーナー見参!(後編)【SaaSビジネス経験談 #13】

シナジーマーケティングのプロダクト「Synergy!❐」に関わる様々な職種のメンバーが、自身の経験を元に、ビジネスに役立つ情報をお送りします。今回の筆者は前回に引き続き、Synergy!のプロダクトオーナー(PO)です。2005年のリリースから歴史を重ねるSaaSプロダクトをさらに進化させるために、何を考え、どんなことをしたのか。そんな裏話の後編です。


こんにちは、Synergy!の前プロダクトオーナーの岡村です。
このnoteでは弊社のプロダクト開発についてお話をしています。

前編は背景を中心にお伝えをしました。未チェックの方はご確認ください。
👇前編はこちら

後編では、具体的にやってきたことについてお話しします。
世界のだれかのchaos(ケイオス)解消の参考になれば幸いです……!


●  ゴールはどこだ

暫定の理由は前編でお話しましたが、私の役目はプロダクトマネジメントの最適解を見つけて、仕組み化をして次世代に渡すことです。もちろん、未来のプロダクトの行く末についてもしっかり責任を持つことが前提です。

マイナスをゼロに、そして次のプラスを生み出すために必要な強靭な足腰を作るために必要な期間だと考えていました。

一旦こんなゴールを想像したことを覚えています。

・ とにかく軽くポップなプロダクトマネジメントにする
・ お偉方との調整がなくても、自律型組織として回る状態になる
・ 導入前に営業とお客様がもめるサービスにならない
・ お客様の要望に素早く対応できる状態にする

特に「ポップ」という要素にこだわったような気がします。
なにせ、動きも意思決定も価値作りも、それぞれが非常に重厚だったためです。

解決のためにやるべきこととして、4つの「適切な◯◯」が重要だと考えました。

・ 適切な人のアサイン
・ 適切なチーム組成
・ 適切な業務フロー(フレーム)
・ 適切なチーム連携

さて、向かうべき方向と手段が見えてきました。
ここからは実際にやってきた具体的な内容です。

●  テーマ決め

何をするにも、まず必要なのはメンバーが迷わないための心のよりどころです。各人が迷ったときに立ち返ることができ、進むべき方向を再確認できるものがあることが大切です。

そこでこんなテーマを設定しました。

導入(いれる)から、使うへ

たまたまそのときに読んでいた本「i モードストラテジー」からアイデアを拝借しました。著者は、i モードの父、夏野剛さんです。携帯電話がどこからでも電話を掛けられるというステージから、小さなモバイル端末として進化を遂げるために「かけるから使う」を掲げた一節を参考にしました。

製品の初期ローンチから18年、我々が誇れることは、長くお使いいただいているお客様がいることですので、その価値へ改めて向き合うテーマを設定しました。
弊社がLTVに貢献できる存在であることを示すためには、我々自身が身をもってそれを体現しないと説得力がありません。

「ビジネスを伸ばしたい=お客様に買ってもらう」、ここにフォーカスをしすぎてはいけないことは、ビジネス常識であるとも思っています。
提供できる価値が正しいからこそサービスが選んでもらえるのです
この点を深く心に刻み、「使う」ここにフォーカスを定めたのでした。

●  アサインとチーム組成

ここから各「適切な◯◯」を作っていきます。「適切」な人材を見つけ出し、「適切な」チームを作ることにしました。

開発チームはテックリードを中心に強いチームを作りました。
そして肝となるプロダクトマネジメントは、新たなチームを組成しました。

プロダクトマネジメントグループには

・ プロダクトマネージャー(PM)
・ UXデザイナー(UXD)
・ ユーティリティプレイヤー

を配置しました。このチームで弊社らしいプロダクトマネジメントフレームを作り上げるためです。

当時はまだチームとしての正解がわからない状態でしたが、足元進行中の開発もあったので、まずは開発を止めないことを最優先にしながらも、必要な人材はワンチームに集合させました。
組成から1年後の話にはなりますが、ユーティリティプレイヤーとして配置したメンバーはプロダクトマーケティングマネージャー(PMM)に進化していくことになります。
(PMMの話は別の方が書いてくれていますので割愛です。下記もご覧ください。)

前例を踏襲せず、意思決定層、マネジメント層にはその時点で適切と判断した人材を配置しました。その結果、マネジメント層は全員まさかの初マネジメントでした。これには私もびっくり🌰

●  大型プロジェクトと業務フロー

あとは、ひたすら行動するだけ…ではなく、もう1つだけ仕込みました。
走りだすための御旗プロジェクトです。
嫌でも動かないといけない大きな動機があることで、確実に前に進むからです。

現状のシステム課題、拡張性を考えると将来必ずネックになる箇所はどこか。喧々諤々(嘘です、和やかに)と議論した結果、インフラのクラウド化アプリケーションのモダナイズだという結論にいたりました。
そこで2つの大きな御旗プロジェクト、FROGNEWTを作ることにしました。

FROGはインフラを変える、カエル、NEWTは再生能力を意識したイモリです。プロジェクト名を両生類にしたのは、まだ陸に上がる前にやるべきことがあるからだ!という想いと、私の息子(当時6歳)が両生類にハマっていた、という2つの理由からです。😉

弊社のエンジニアがとても優秀だったことは、この意思決定において非常に強い後押しになったと感じます。
手前味噌ですが、技術スタックも粘り強さも抜群で、アプリケーション側も、インフラ側もキーとなる人材は揃っていました。これでできないなら、日本中のどの企業でもできないだろう、くらい自信がありました。

このあたりは、涙なくしては読めないこの記事たちをぜひ!


大型プロジェクトと並行して、プロダクトマネジメントの「適切な」フレームワーク構築に取り掛かってもらいました。大型プロジェクトの進行が忙しいにもかかわらず、日々悶絶しながらも、試行錯誤を積み重ね、少しずつ枠組み(フレームワーク)を構築し、業務フローを整備していきました。

くわしい経緯はこちら!

歯を食いしばって進めたこの2つの大きなプロジェクトとフレームワーク構築は、ビジネスサイドも巻き込む大きなうねりになります。

全チームで同じ方角を向き、お客様にご迷惑をかけないように細心の注意を払いながら進めていくことで、「適切な」チーム連携が醸成されていくのでした。

●  結果どうなった……?

・ とにかく軽くポップなプロダクトマネジメントにする
・ お偉方との調整がなくても、自律型組織として回る状態になる
・ 導入前に営業とお客様がもめるサービスにならない
・ お客様の要望に素早く対応できる状態にする

こんなゴールを想像して突き進んできた結果、3年前よりは確実にポップで合理的なプロダクトマネジメントサイクルが回っている状態が作れていると自負しています。

リリース数は年120%ずつ増加し、障害の数も減り続けています。
新機能開発においては当然のようにUXデザイナーが最初から関与しますし、デザインシステムの構築も進みました。お客様の要望対応スピードも件数も上がっています。

なにより、後任となる新しいPOに引き継ぐこともできました。

もちろん、課題が全てなくなることはありません。お客様、マーケットに目を向けた製品開発、マーケティングに改善すべき点は多く残されています。まだまだ道半ばではあります。

ですが、3年前の状況を乗り越え、モダンな環境をつくれた自信をもって、この先もメンバー自らの力で未来を切り開いていってくれることを願ってやみません。

●  プロダクトオーナーの流儀

そんなこんなで暫定POの3年間をお伝えしました。私のPOスタイルは、さしずめコンダクター(conductor:指揮者)といったところでしょうか。

タクトを振るためには、末端まで神経が行き届いていないといけません。そのため何より大切なことは、自ら率先して汗をかき、その上でリスクある意思決定の責任を負うことです。

オーナーシップとは、課題や任務を自ら「所有」している状態を指し、そこから目を背けないことだと思っています。
決して「俺が俺が!」と、舞台の上で下手なチェロを弾くことではありません。

弊社のPOは「事業責任者と並走するサービスとプロダクトの責任者」です。
いやぁ、ほんと重責ですね(苦笑

●  最後に

青写真を描き、現実と妄想、具体と抽象を行ったり来たりしながら、ホワイトボードを書きなぐってきた日々が懐かしく感じます。

構想と構造を考える中心に私がおり、大小さまざまな意思決定をしてきたつもりです。ただ、粒度の粗い素案から常にディスカッションを共にし、助言を与えてくれたCTOの馬場をはじめ、計画を作り、やりきった優秀なEM、PM、そして現場のみんなの力があってこその成果だと考えています。

彼らも進める中で、誰よりも苦しい意思決定をたくさんしてくれていたことは想像に難くありません。

「痛みに耐えてよく頑張った。感動した!」

白髪ライオンヘアの元総理大臣の気持ちが、毛先のカールくらいは分かるようになりました。🦁 良いメンバーに恵まれていることは、何よりも弊社の資産であると心から再認識したよい経験となりました。

世の中には、もっとハードシングスに向き合っている方々がいると思います。八方塞がりな状態になることも少なくないでしょう。
そんな状況でも、最後に残る希望は仲間だと私は考えています。
チームで大きな成果を作り上げる、この解決策に勝るものはないはずです。

我々はこれからも新POのもとで、気持ちの良いプロダクトを作り続けていきたいと思います。

生まれ変わったチームSynergy!にご期待ください!

以上、てんきゅー。


いかがでしたでしょうか?
私たちの経験がみなさまのビジネスのお役にたてれば幸いです。

【SaaSビジネス経験談】では、今後、下記の記事を公開予定です!気になる記事がございましたら、ぜひ「シナマケのプロダクト」をフォローして、公開通知をお受け取りください。

 

▼Synergy!製品情報


#SaaS #プロダクトオーナー #PO
#プロダクトマネジメント #フレーム  
#プロダクトマネージャー #UXデザイナー #PMM
#Synergy ! #シナジーマーケティング  
#私の仕事 #仕事について話そう


この記事が参加している募集

仕事について話そう