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なぜAirbnbにはHRがなく、EX(Employee Experience)なのか?

Airbnbにはいわゆる人事部が無い。当然採用や労務など、担当するチームがあるがそれを束ねる、より大きな視点でのEX(Employee Experience)があるのは、なんともデザイン思考ドリブンなAirbnbらしい発想じゃないか。

直近までHead of Employee Experience としてEXのパイオニア的に活躍してきたMark Levyへのインタビューポッドキャストより、いくつかEXにおける本質的に大切なエッセンスを抽出しておく。

そもそも、どこからEmployee Experienceという発想が生まれたのか。

私がAirbnbに入社した直後、タレント、リクルーティング、グラウンドコントロール(フードの提供やオフィスファシリティの管理系業務)がそれぞれに機能していたが、もっと一貫したEmployee Experienceが作れないか考えたんだ。だって、Cunstomer Experienceがあるのに、なんでもっと大事なEmployee Experienceが無いのか?ってね。

そもそもAirbnbはなぜにそもそもEmployee Experienceへのアテンションが高かったのだろうか。

Airbnbのビジネスモデルは、ダブルサイドマーケットプレイス。つまりホストもケアするしゲストもケアする。その中心となるのが誰よりも我々の従業員なんだよね。だから我々の従業員が誰よりもミッションを信じて、精通していることが大事。それがゲストにもホストにも伝わるんだ。

HRとEXの物理的な違いは、HRはEXの一部ということだ。EXは"より良い従業員体験"というシンプルな判断軸で、少しでもそこに関連しそうなチームを束ねる。でも、その横断作業は大変ではないのか?

横の連携に関しては、リーダーシップチームが機能している。横串を刺し、物理的な障壁を乗り越える前提で、自分のチームだけでなく、ミッション、そしてコアバリュー(行動規範)をすべての軸として強い一貫性を維持しながら連携を推進している。

では、全ての会社が今すぐEX的な部署を持つべきなのだろうか?

もし、あなたの会社がミッションドリブンで、なおかつCEOが従業員が本当に大事だと思っているなら、価値があるだろうね。Airbnbは、なぜみんながここで働いているかって、それは全員我々のミッション「help creating a world where you can belong anywhere(人々がどこでも居場所がある世界を創ること)」を信じているからなんだ。我々は、採用面接でもしつこくこのミッション、そしてコアバリューをチェックする。

ではあらためて、EXを成功させる秘訣は何か。

会社がオープン&コラボレーティブであること。従業員は常に会社の大切な一部であると実感できるような環境が大事であると思っていること。これが大切。Airbnbではボードミーティングの議事録だってシェアする。すべてが自分ごとだと思って欲しいんだ。そして、そんなAirbnbを通じて本当に世の中が変えられるんだという実感を持ってももらいたいんだ。

EXという箱だけ作るのならば、それは単なる意思決定の話。誰でも真似ができる。しかし、本当に必要なのは「人こそ財産なり」という嘘偽りない想い。組織をデザインするという事の根っこには、そんな揺るがない本質が広がっている。

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