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コンパウンドスタートアップにおけるカスタマーセールスの在り方を探して


はじめに

この記事では、コンパウンドスタートアップにおいてお客様とカスタマーサクセスを取り巻く状況として何が起こっているのか、その中でカスタマーセールスは既存のお客様にどのように向き合うべきか、現時点での在り方(スタンス)を書いています。

カオスと希望が混在する環境を楽しめる人にこそ最高の環境だよというお話

こんにちは。LayerXが提供しているバクラクシリーズでカスタマーセールス(既存顧客向け営業)を務めている西村(@sym_nishimura)です。
LayerXではnosukeと呼ばれています。
元々は新規/既存営業とカスタマーサクセス的な運用支援をブレンドしながら取り組んでいた人間です。

入社してから早くも半年が経過しました。
カスタマーサクセスとして爆速オンボプログラムを受け立ち上がったり、その後すぐにセールスとしてバクラクの全プロダクトを提案可能にすべくキャッチアップしたり、新しいプロダクトの立ち上げに関わらせていただいたりと、目まぐるしい日々でした。

入社当初の景色は下記にもしたためています。

そんな中で、私はカスタマーセールスという既存向け営業のポジションでExpansion MRRを主要な指標として日々活動しています。
LayerXは世の中的にはコンパウンドスタートアップと評されることもありますが、この記事では半年取り組む中で見えてきた、この環境ならではの難しさややりがい、そして持つべきスタンスについて独断と偏見をもって語っていきたいと思います。
そして少しでも興味を持った人がいたらとりあえず話したい!飲みに行きたい!語りたい!そんな下心があります。
では、少しばかりお付き合いください。

コンパウンドスタートアップとは?

コンパウンドスタートアップとはな〜に?という方向けにまずは代表のfukkyyさんのこちらの記事を引用します。

コンパウンドスタートアップとは
・創業時から単一プロダクトではなく、複数プロダクトを意図的に提供
・部署でサービスを区切るのではなく、データを中心にサービスを統合する
プロダクト間の連携の良さそのものがプロダクトである
複数のプロダクトを管理、ローンチするケイパビリティを持つ
という特徴のスタートアップです。

コンパウンドスタートアップというLayerXの挑戦

LayerXでは、バクラクシリーズを「法人取引における経済活動の効率化」を主戦場として領域を拡げながら提供しています。
※8月末には、6番目のプロダクトである「バクラク請求書発行」がリリースされました。最初のプロダクトである「バクラク請求書(受取)」が2021年1月なので、プロダクトが半年に1度のペースで出ている計算です。

LayerX Company Deckより

また、これはコンパウンドスタートアップに限らずですが、SaaS企業では非連続な成長を実現するためにはどこかで既存顧客からの追加受注を事業成長の屋台骨にしていく必要があります。

まだまだバクラクではExpansionが事業成長の屋台骨にはなれていないのが現状です。ただ、今後必ず事業成長の核になる、いや、ならねばならぬと思っています。

コンパウンドスタートアップに身を置いてみて感じた前提条件

プロダクト/機能が増え続ける

上に書いた通り、半年に1プロダクト産み出される環境においては、終わりのないキャッチアップと向き合う必要があります。
※さらに、既存プロダクトの開発も同時並行で進んでいきます。
上記に加えて、競合のインプットや対面する業種業界のインプットも加速度的に増えていきます。

そうなってくると、やはりどこかでプロダクトごとに最適化された形態を可能性として捉え始めますが、そうなるとコンパウンドの良さが消えてしまうのが悩ましい点です。このジレンマとは常に向き合い続ける必要があります。

ポテンシャルを残しての段階的な製品導入が増える

プロダクト数は連続的に増える中で、会社としてもバクラクシリーズ全体での提案/価値提供を志向しています。
ただ、これは一定の方が心当たりあると思うのですが、お客様は単一のニーズをまずは満たしたいというケースもあるため、初期導入はスモールスタートで始まることも多いです。
バクラクも例に漏れず、単体の入口商品での導入が一定の割合を占めています。
つまり、プロダクトが増え全体として提供出来る価値が増えポテンシャルは伸び続けながらも、何も手を打たないとそのポテンシャルを届けきれないお客様が増えていくということだと捉えています。
そしてそうなると、FS/CSとの情報連携がより重要になっていきます。

新規プロダクトの立ち上げ時の商談数/クロスセル数が爆発する

これも記載の通りではあるのですが、既存のお客様はありがたいことにバクラクをご評価いただいており、そのバクラクが次に手掛けるプロダクト、ということでご期待をいただけるケースも多く、Expansionの伸びに寄与しています。
2022年の経費精算リリース時は前月と比べて3倍以上のExpansionになりましたし、今回の請求書発行のお披露目セミナーも2日間の開催で数百名以上の方にご参加いただきました。
これは言い換えればこれまでの評価/関係性が問われるということでもあるので毎度とても身が引き締まる思いです。

さて、このような特徴を持つコンパウンドスタートアップにおいて、カスタマーセールスのポジションはどのようなスタンスを持つべきなのだろうか?という現時点での考えを記載していきます。

カスタマーセールスとしてのスタンス

図で表すと以下のようなイメージ(簡略化してます)で考えていますが、カスタマーセールスは「プロダクトの提供価値に沿って、お客様の知覚価値を限りなく引き上げ続ける営み」が第一義的にあると思っています。
プロダクト(またはシリーズ通して)の提供価値を背景まで理解してお客様に伝える、それがスタートです。
そして前述の通りプロダクトは増え続けます。ということはお客様にお届け出来る知覚価値の最大値も増え続けます。
コンパウンドスタートアップにおいては、上記定義にコミットすることでお客様そして事業への貢献が出来るはずです。

お客様に継続的に向き合い続けるこのポジションは
コンパウンドスタートアップにおいて今後より重要性を増していくと信じています

その中で、スタンスとしては行動指針にもある「徳」の意識が大事だと感じています。


LayerXは、長期的な視点で社会の発展に寄与する存在であり続けたい。短期的な売上至上主義に走らず、仲間や社会から信頼を得られる行動を追求しよう。

LayerX羅針盤より

その中でもポイントを3点紹介します。

プロダクトへのリスペクトをハブとして届ける

PdMのmaroさんが今夏書かれていたnoteに私は心を打たれました。

実際に自分で触ってみても、お客様に話を聞いてみても、レビュー会(毎週金曜にエンジニアの方々が今週作成した機能をデモする会)を見ていても、至るところで作り手の優しさを感じます。その裏にある狂気的なまでのこだわりも。
だからこそ、お客様に近い場所にいる私達が得てきた声は考え抜くための材料としてひとつでも多くフィードバックする、そういう思いで取り組んでいます。
特に既存のお客様は関係性や今までの信用が作れていれば実際にヒアリングをさせていただけることも多いです。(そのような関係性でいたいと1社でも多くのお客様に思っていただけるように努めるのが仕事)
また、中にはありがたいことに喜びのお声を届けていただけるお客様もいらっしゃるので、そんなときは社内のSlackチャンネルにて共有しています。

こんなお声をいただけるのは本当にプロダクトに関わる方々のおかげです

カスタマーセールスもカスタマーサクセス

お客様にバクラクをご契約いただいてからは、サクセスもセールスも絶えず広がり続けるギャップを埋める終わりなき旅だと思っています。
現行機能もどんどん進化するし、新しいプロダクトもどんどん出ていきます。カスタマーセールスとしてはもちろん後者(新しいプロダクト)をしっかりとお客様に届けていきたい。そんな気持ちが先走ります。

ただ忘れてはいけないのは、あくまでもバクラクというプロダクト群はお客様の業務課題を解決するために存在しているということ。
その中で大切なのはお客様にとって今後を見据えた時に何が最適かを抑えて話すことだと思っています。
なので、クロスセル商談のはずが現在ご契約中のプロダクトの活用支援MTGにすり変わっていることもままあります。(商談の後に、カスタマーサクセスへの状況引き継ぎを実施します。)
でもそれで良いと思っています。サクセスあってのセールス。セールスあってのサクセスなので。
いかに会社として継続的に信頼される存在になるかを考えると、変に役割に閉じずその時々のお客様の状況に向き合うことで得られることも多いです。(結局は循環していますし、お客様に価値を感じていただけたらまた機会は巡ってきます。)

単一のプロダクトで語らない

機能ではなく、お客様が抱えている課題を基点にお話をすることもコンパウンドかつお客様と中長期で向き合っていくからこそ重要な心がけだと思っています。
法制度への対応(インボイス制度/電子帳簿保存法)や支払い業務の効率化(請求書払い/立替経費精算/法人カード払い)など、お客様が抱えている課題の解決策をバクラクシリーズ全体で語れてこそのセールス。
さらには、今後の示唆に向けて"お客様の理想とする体験"を引き出すためにも、1つのプロダクトに閉じずに会話することは大切だと考えています。

また、課題を基点にすると自社プロダクトだけでは業務は完結し得ないのは当たり前の世界観です。
隣接する会計ソフトや他システムとの連携など、前後工程まで踏まえないと真にお客様の立場からの提案は行えません。
そこが難しさでもあり、面白さにも繋がっていると思います。

おわりに

まだまだポテンシャルの多く眠っているカスタマーセールスの一端を感じていただけたでしょうか?
個人的にはセールスという名称が付きながらも取組みはサクセスと類似する内容も多く、あくまでもご契約中のお客様に真摯に向き合う中での役割分化である点が肝だと感じています。
10月からはカスタマーサクセス部内のExpansion Developmentチームとして文字通りExpansionという"未開の地"を「開拓」していきます。

Expansionチームとしてのチャレンジは、同じチームのmacchiさんがもう少し俯瞰した視点で記事を書いていますので、合わせてご覧ください。

Expansionは未開拓領域である。だからこそ面白い。突き詰めがいがある。
そう思える人とぜひ一緒に働きたいと思っています。
現在課題がてんこ盛りすぎて頭を抱えています!
結局具体的に何していくんや!w
など詳細が気になった方はぜひ下記からお話しましょう!

また、カスタマーサクセス部は一同それぞれが志をもった愉快なメンツでお届けしております!ご興味ある方は以下記事もぜひ御覧ください。


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