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起業や事業開発を経験してきた私が、今、カスタマーサクセス部のマネージャーというキャリアをオススメする理由

まえがき

この記事では、カスタマーサクセスマネージャーという役割の魅力をお話ししたいと思います。

カスタマーサクセス部で働いている方だけでなく、他の部門の方にとっても、こんな面白いキャリアがあるのか、と思って頂けますと幸いです。

この記事は、
・事業責任者
・THE MODELから外れたキャリアに興味を持っている方
・悩めるCSマネージャー
・これから起業したり、事業開発的な仕事をやってみたりしたい若手ビジネスマン
向けの記事です。

この機会にCSという職種の魅力を改めて理解してほしい。
そして共に新しい世界を作ってくれる仲間を募りたいと思っています。

自己紹介

皆さんはじめまして。こんにちは。
LayerXのCSマネージャーの東(あずま)と申します。

ん?LayerXってカスタマーサクセスは概念のkaji-sanがマネージャーじゃなかったっけ?と思って頂いている方がもしかしたらいらっしゃるかもしれません。過去の記事はこちら。

ん?東ってアライアンスのマネージャーじゃなかったっけ?と思って頂いている方は、さすがにいないですかね。
7月に事業開発部からカスタマーサクセス部にやってきました。

今日はCSなんて全く興味を抱いたことがなかった事業開発マネージャーが、なぜカスタマーサクセスマネージャーになり、何を学び、何を感じたのか。
といった点についてお話していきます。
ぜひこの魅力を皆さんにも知ってもらいたいと思っています。

改めて、自己紹介も記載しておきます。

新卒で大手企業向けERPのセールスとして株式会社ワークスアプリケーションズに入社。西日本エリアで営業〜プリセールスとしての技術支援まで担当。その後、freee株式会社に転職。北海道や西日本エリアでのSMB Sales、首都圏アライアンスを担当。
退職後は、e-sports系やSaaS企業のビジネス支援事業を行う会社を創業。
一段落した2022年、株式会社LayerXに入社し、パートナーアライアンス1人目の立ち上げ責任者として従事した後、2023年7月よりカスタマーサクセス部のマネージャーとして異動。現在に至る。


なぜこのキャリアをススメたいのか

結論から言うと、カスタマーサクセスのマネージャーという仕事は、
経営の代弁者であり、且つ卓越したリーダーシップを求められる役割である
と思っています。

僕はSaaSというワードが日本で流行り始めたタイミングからこの業界にいました。ずっと営業、事業開発という、Bizのフロント領域にいたわけですが、その間ずっと横目でカスタマーサクセスという職種の変遷を横目で見てきました。

一言で言うと、「なんか独特だな〜」という印象を持っていました笑
食わず嫌い的に、正直自分がやることはないかな、、と思っていた職種だったのですが、実際にやってみるとなかなかこれが面白いんですね。

・かっこいい営業といえばエンタープライズ営業でしょ。
・事業開発とかやってみたい。
・いつか自分で起業して、事業の1個ぐらい作ってみたい。
みたいな攻め一辺倒、かっこ良さげなこと重視のキャリア志向を持っていた僕みたいな人が、一般的なイメージで「守」に見えがちなカスタマーサクセスの世界で楽しめているという事実を知ってほしいと思っています。

攻めのキャリアを描くために、僕が必要だと考えているスキルは大きく4つだと考えています。
①論理的思考力
②コミュニケーションスキル
③プロジェクトマネジメントスキル
④セルフモチベートスキル

カスタマーサクセスマネージャーは、鍛え上げた上記4つのスキルをいかんなく発揮する総合格闘技的なキャリアだと感じています。

僕同様食わず嫌いをしている方に、「それ勿体ないかもです!」と胸を張って言いたいと思います。

他部門から見たカスタマーサクセスの誤解

まず始めに、過去の僕自身が外から見ていたカスタマーサクセスについて、もう少し細かく本音で触れておこうと思います。

正直に申し上げると、カスタマーサクセスという職種に対して、少しネガティブな印象を個人的に持っていました。

・「同じ方向性を向いてくれているのか分からない」
 
→僕自身、いわゆる収益を上げるチームでのキャリアで長く過ごしていました。その際にCSの方とコミュニケーションをすることがよくあったのですが、「何でこんな案件受注したの?」「初期費用これだけしかもらってないんでこれだけのサポートしかできないです。」といったような、社内で敵のように見えてしまう場面の思い出が結構色濃く残ってしまっています。
いやいや、会社の成長のために一緒にディスカッションしようよ!と思いつつも、カスタマーサクセスの中で大事な論理がわからないため、ちょっとした喧嘩みたいになることもしばしばありました。

・「何をやっているのかわからない」
 
→営業から見たCSという組織は、「自分たちが受注した案件の導入サポート」をやっている人たち。という印象で純粋に止まっていると思います。
なので、「え、一人何社担当してるんですか?」「営業が頑張ってるんだからCSも頑張ってくれないですか?」といったように、これもまた解像度が低いが故に、CSへの期待が「オンボーディング」しかない、みたいなことが発生していました。

このようなイメージで普段CSと関わっているビジネス職の方は結構いらっしゃるんじゃないかなと思っています。
そういった方は、あんまりCSという部署には興味を持つ機会も無かったんじゃないかなと感じます。

ようやくお話の準備が整ってきました。
この誤解を解かなければ、皆さんにカスタマーサクセスを魅力的に思って頂くことができません。

コンパウンドスタートアップにおけるCSへの期待値とは

LayerXは、「半年に一回新プロダクト」をリリースすることを意思決定しているコンパウンドスタートアップです。
コンパウンドスタートアップならではの戦略が、どの部門にも必要になると考えています。

そこで、「コンパウンドスタートアップというモデルの成功を証明するためにはどうしたら良いか?」という問いを立てて、今何をやるのが一番レバレッジが効くのか、今どういう状態を作るべきなのかを考えてみることにしました。





僕が出した結論はこうでした。

コンパウンドスタートアップとして、リリースした新しい機能や新しい製品が当たり前のように利用され、お客様のアウトカムが滑らかに上がっていく世界観を実現する。

めっちゃ良くないですか?

プロダクト開発に関わるメンバーにとっても、自分達がリリースした機能や製品が、きちんと使われることによって、価値を届け切ることができる。
お客様にとっても、バクラクがいろんな機能を出してくれて、それを使っていれば自分達の業務がラクになっていく。だからさらにバクラクにいろんな機能を期待する。

この世界観を経営指標で表現すると、
「日本の他SaaS企業と比較し、最も多くクロスセルが発生するため、異次元のNRRを実現することができる
といった、異次元のNRRへのコミットという「攻め」の魅力を見出してしまったわけです。この役割をどこのチームが担うべきか。
その答えが、カスタマーサクセスだと思ったわけです。

むしろ、これが実現できないのであれば、コンパウンドスタートアップとしては失敗だと思います。
なぜなら、コンパウンドスタートアップは、ただただ複数商材を取り扱っているSaaS企業という位置付けではないからです。

コンパウンドスタートアップの肝を作るのは、間違いないくカスタマーサクセスだな、と思ったことが、チャレンジのきっかけでした。
今のSaaS業界で、最も科学されきっていない、ポテンシャルだらけの非常に魅力的な領域だと胸を張って言えます。

「経営指標」と「CSの本質」の翻訳作業への挑戦

こうした流れで、「攻めの魅力」を見出したわけですが、まだハードルがあります。
カスタマーサクセスという職種の本質はそこではないわけです。

異次元のNRRだ〜!なんてかっこいいことを言ったって、それは圧倒的に提供者目線の話になります。
カスタマーサクセスの本質は、あくまでも顧客目線です。LayerXでも、「顧客を主語に」はよく言われるワードです。

とはいえ、会社にお金を払っているのは、顧客だけではなく、投資家・株主の皆様も同様である、という多くの企業が向き合うべき事実もあるわけなので、経営指標のレポーティングも責務として担う必要があります。

つまり、「経営目線で見た時のCSに対する期待値」と「カスタマーサクセスの本質」のギャップを言語化し、翻訳しなければならない。

という役割をカスタマーサクセスマネージャーは担う必要があるのです。

これは非常に面白いテーマで、冒頭の4つの必須スキルがかなり刺激されます。
(お恥ずかしい話ですが、僕も短期間の間にメンバーからかなりの数のTrustful feedbackをもらいました。全然完璧にはできていないです。)

カスタマーサクセスマネージャーの仕事とは

以上のように、カスタマーサクセスという職種のポテンシャルと、翻訳作業の重要性について記載してきました。

それではこれらをどのように進めていくのか。
どんな仕事があるのか。
一つ例に挙げて見てみましょう。
お題は「生産性指標」の話。

実は、グローバルSaaS CSの一般的な指標として、
・CS一人当たりのARRは1.5億〜2億
・CS/サポート人員にかけられる費用は、累積ARRの10%まで
という指標が存在します。
上記は製品原価と呼ばれる領域の考え方です。
Expansion人員はこれとは異なり、販売管理費として計上されるため、いわゆる営業生産性の指標を利用して人員計画を作成する必要があります。

マネージャーの仕事 その① 「事業計画の立案」

この前提で計画を引くにあたり、マネージャーは一番最初に以下の前提条件を定義する必要があります。
①CS一人あたりの給与
②予算案(イベント費やツール利用料、外注費等)の作成
③オンボーディング/アダプション活動の工数見積
④各種CSによるサービスの料金設定

これらの条件をそれぞれ自ら情報をリサーチした上で意思決定をする必要があります。
メンバーの給与を上げたいと思っているマネージャーは多いと思います。
ただし、それを実現するためには、評価を上げるだけではなく、給与を上げられる事業構造を作っていないと実現しないわけですね。
これは非常に孤独な戦いですが、やりがいのある仕事です。

「論理的思考力」を用いて事業計画を作成する、いわゆる計画フェーズです。
その他にも、どういった活動にどれだけの工数/費用をかけて、どれぐらいのインパクトを創出するのか、といった計画を立案していきます。
日頃のCS活動にどれぐらい工数がかかっていて、どれぐらいのインパクトが出ているかを観測しておく必要があります。それらのFactがなければ、机上の空論になります。

マネージャーの仕事 その② 「戦略の共有」

このフェーズでは先ほど決めた計画をもとに、戦略に落とし込みます。
また、それを「顧客目線の解像度」が自分より高いメンバーに対して、「この人数でこれだけのアウトプットを出してください」という「コミュニケーションスキル」が求められます。

「お客さんのこと何も分かってないな」「現場出てから言ってくれ」という意見がもしかすると出るかもしれません。
この辺りの翻訳作業は最も刺激的な部分かもしれません。

これらを乗り越えるために、マネージャーは「ストーリー」を語る力を身につける必要が出てきます。

一般的なCSの経営指標であるNRRですが、
これを分解すると、
・Expansionの最大化
・churnの最小化
になります。

ただし、これらのKPIはあまりに遅効指標でありすぎるという側面があります。
昨今のCS界隈では、この中間のKPIをどうするのか。と言った論点がよく上がっているように感じます。

ヘルススコアやオンボーディング完了率といった、何とかかんとかCSの指標を見える化して、メンバーの努力のベクトルを合わせよう!!
みたいなことを各社のカスタマーサクセスマネージャーが頭を振り絞っているが故に、最近話題に上がることが増えたんだろうなと思います。

これらを乗り越えるために、僕が語ったストーリー&CSの戦略は、次回のNoteに書くのでお楽しみに笑


マネージャーの仕事 その③ 「カスタマーサクセスの実行」

ここは、最も人によって差が出る領域だと思います。

最近snowflake社のCEOも本で触れていましたが、「カスタマーサクセス部」をおかない、みたいな考え方。
弊社ではよく「カスタマーサクセスは概念」というワードで表現しています。

要約すると、カスタマーサクセスというものは、あらゆる部門で想起されるべき思想であり、仕事の内容を指すものではない。
という考え方です。

じゃあ、具体的にカスタマーサクセスマネージャーは何をやるのか。

答えは、隣接するすべての部門との共通のKPIを設定し、その達成にコミットする。

です。
ここで、僕が経営会議で説明した、CSの隣接部門についての図をチラ見せします。

CROとCPOの間に存在するのがカスタマーサクセス部である

つまり、カスタマーサクセス部のメンバーだけで完結する仕事の仕方ではなく、CRO、CPO、さらに傘下の部門それぞれのトップとディスカッションし、どの部門にどんなカスタマーサクセスの役割を求めるのか、といったことを定義し、要求していく必要があります。
ビジネス系の部門、開発系の部門、ほぼすべての部門に対して、です。

「1ヶ月を振り返ると、カスタマーサクセス部のメンバーよりも他部門のメンバーとのコミュニケーションが多い」

という状態になっていることが大前提です。
この働き方は、事業開発部とかなり近いのではないでしょうか。
(事業開発の仕事は、事業開発部と会話するのではなく、アライアンスパートナーや他部門とのコミュニケーションが大半であるはずです。)

カスタマーサクセスは概念というのを綺麗事ではなく全力で実現させようと思うのであれば、

①カスタマーサクセスマネージャーが、他部門のことをまずは誰よりも理解する。
②顧客と最も距離が近いカスタマーサクセス部が持つ知見をGiveする。
③カスタマーサクセスがなんたるかを共通言語として理解してもらう。
④双方で協力しながら顧客の体験にbetする。

これをほとんど全部門とやっていくわけです。

カスタマーサクセスのメンバーに対するリーダーシップだけでなく、会社全体、組織全体に対するリーダーシップをどこまで発揮することができるか。

これが、カスタマーサクセスマネージャーに求められる考え方です。

マネージャーの仕事 その④ 「権限移譲」

上記のように、マネージャーの仕事は他部門と共通で追うKPIに責任を持つ役割であるというお話をさせて頂きました。
これに注力するためには、CS部としてお客様に対峙する領域の権限移譲を進めていく必要があります。
もちろん、「お客様に自分の手で価値を届けたい」「お客様の喜ぶ姿を自分の目で見たい」と思う方が多いと思います。僕自身もそうです。

ただ、誰かがそれを乗り越えてやるべき仕事をやらなければ、組織としてやれることが増えるスピードが遅くなる可能性があります。
そこのバランスをうまくハンドリングし、事業の成長にコミットする必要があると考えています。

マネージャーの仕事 その⑤ 「採用」

権限移譲を進める上で、「今預けられる人がいません!」といったことを言いたくなる場面があるかもしれません。
それに対して、自分が採用を進められていないからである、という自責の思考で振り返り、アクションをしていく必要があります。
未来の組織図を誰よりもクリアに描き、先んじて必要になる人を採用する、という役割もマネージャーがやるべき仕事であると考えております。

このように、未来を見据えてあるべきを描き、関係各所を巻き込みながら事業成長を推進する、という役割は、「起業」や「事業開発」といった仕事とかなり似た仕事の進め方なんではないかなと思います。
もちろん、事業責任者等のロールを経験している方からすると、当たり前にできるよね〜という話だと思いますし、これからそういったキャリアを歩みたいという方にはぜひチャレンジして頂きたい役割だと思います。

ネクストキャリアとして、カスタマーサクセスマネージャーをやってみたいと思われた方、ぜひ一緒にこの刺激的な仕事に向き合いましょう!!

LayerXのカスタマーサクセスをもっと語りたい方へ

本記事では、LayerXでカスタマーサクセスマネージャーをやる意義みたいな話を中心に記載して参りました。

そして、皆様に朗報です。

明日から、LayerXのCSメンバーによるNoteリレーを開始します!!
(僕が胸を張って権限移譲しているメンバーの皆さんです!)
マネージャーが語る話だけでなく、最前線でお客様と対峙するメンバーがどういった働き方をしているのか。
どんな熱量を持った人たちなのか。

このあたりを皆様にお届けできますと幸いです。

楽しみにして頂ける方は是非フォローして続編をお待ちください。

LayerXのCSに興味がある方は、
こちらから僕のカレンダーを予約することができます。
ぜひ一度お話ししましょう!

それでは、ありがとうございましたmm




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