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読書メモ|人は悪魔に熱狂する

note681ぺーじ。タイトル画像の拙画は「みんなのフォトギャラリー」から。どうぞご利用くださいまし。

松本健太郎著「人は悪魔に熱狂する 愛と欲望の行動経済学」を読みました、のメモ。

悪ぶるような(?)キャッチーなタイトルだが、内容は人間の心には悪も欲望もあって、それが商品のヒットや社会的な事象に結びついていることを具体的な事例を挙げて説明するものである。自然体の人間を認めたうえでのお話。

あるデータの真偽はなかなかわからないが、多くのデータに基づいて考えることを諦めてはならない。
本書ではデータを根拠に考えることの重要性をさんざん説いたあとで、そもそもデータはときに恣意的に、ときに意図せず、欠けたり曲がったりすることに言及される。たとえスゴそうな権威ある組織や人が出す統計情報であっても、正しくないことがあると。

データから考えるのもホネなのに、そのデータの真偽を疑うところから始めるなんて……とたいへん面倒なことである。途中や後になってそのデータが使えないとわかれば考え損とも。やめてしまいたくなる。だがそれでも、多くの情報にあたること、信頼できそうなデータを抽出して、そこから考えることを、しなくてはならない。流れてきた情報を鵜呑みにして、飛びついて、ではトラブルを招きやすい。目隠しでふらふらしているようで不安でもある。

ここばかりは怠けたい欲望に負けないようにせねば。ただ幸いにして本書は、ある事象を分析して考えるおもしろさを示すものでもあり、考えたくなる気持ちも生まれました。

正しさとと価値は別。人にとっての価値は多様。
「善」は一つの価値になるが、必ずしも有効ではない(タイトルのとおり本書では悪こそ有効な例がたくさん紹介される。)占いでは「当たること」が必ずしも重要ではない。「科学的であること」や「合理的であること」は必ずしも求められない。

つい絶対的な優劣があり重要と思ってしまう指標も、場合によっては問題にならない。これは人の行動や社会的な事象を見るうえで覚えておきたい。

占いの項では、幸福度、満足度の主観、客観もおもしろかった。主観的な幸せと、他と比べて客観的に見た幸せと。どちらを重視するか、なんだか就職活動の性格診断テストで出てきそうである。どちらもあって、それぞれにアプローチする商品やサービスがある(たとえば占いは前者、外国語学習サービスは後者として示された)。

さいごに
人の心理、行動は一筋縄でいかずおもしろいね。商品やサービスを見るとき、それが誰のどんな不満を解消するかをよく考えるが、さらにその不満がどんな気持ちから生じているかや、どんな気持ちを刺激してその商品やサービスに手をのばさせているかも考えてみたい。


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