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あなたの話なら喜んで聴くよ


高校を卒業した春から彼と毎晩電話している。
その日何をしたか?を話すことが会話のメイン。

2人とも家にいた日とかは数分でその話題が終わることもあるけど、大抵その後もダラダラ喋る。そのダラダラタイムで彼が余計なことを喋ることで、私がイラつくのはまた別の話。

そんな電話では特に土曜日は私がよく喋る。
バイトで担当したチビちゃんの可愛い言動を紹介するのがメインだが、もう1つ。バイト仲間で帰り道が同じ人に、一方的に話し続けるタイプの人がいる。その彼は、クソ暑い日やクソ寒い日も私が帰りたいオーラを放ってもお構いなく、駅前で1時間くらい棒立ちさせ、私に話を聞かせてくるのだ。

「(バイト仲間の彼が)今日はこんな話ししてきてね、駅に着いてからこれだけの時間、私話に付き合ったのよ!」

そういうと彼は爆笑しながら、
「めんどいのによく付き合うなぁ。てか、よく話してきた内容そんなに覚えてるなぁ。」
と感心する。

ほんとそうなのだ。
私は半分以上聞いていないつもりなのに、なんでだか全部覚えている。あと、いつも「今日こそははやく帰るぞ」って思っているのに、なんか「聴いてあげるかぁ」となる。


結局私は誰かの話を聴くのが好きなんだと思う。

もっというと、誰かに話しかけてもらえることが嬉しいのだと思う。

それは、人間関係で色々あったから話しかけてもらえることは当たり前ではないと思った、以前の問題で、私は昔から誰かの話を聴くこと自体は好きな人間だった。まあ、昔は話す方が先行してしまっていたけれど。

愚痴でも噂話でも悩み相談でも、自分に喋ってくれるというのはある種、信頼の証だ。特に誰にでもいうような内容ではない愚痴や悩み相談は、「ごめん」といいながら話してくる人もいるけれど、私は話してくれているという事実が嬉しい。心を許してくれている証拠だと思うから。

噂話だって、人間関係を進めていく上である意味死活問題となりうる"情報"なわけだ。それを話してくれるということは、「こいつになら話してもいいか」と思ってもらえているということだ。ありがたい限りである。


そしてこれらは、私を仲のいい人だと認識しているからこそのものだ。だって、気の合わない人や私のことを嫌いな人は、そもそも話しかけてなんてこない。私が一方的に彼女たちの話に耳を傾けることはあっても、大抵「聞かせる(=自分の権力誇示の)ため」の悪口しか言っていなくて楽しくないし、それこそ聴きたくもない。


相手の話を聞けば、その人とどんなノリで話せばいいのか、相手はどんな人なのか、がわかる。相手の話してくる内容の深さで、こちらもどこまでならその人に話しても大丈夫そうかがわかる。それがわかれば距離感をミスっている確率が低くなるので、相手に重さを感じさせたり、傷つけたりせずに済むし、自分から傷つきに行かずに済む。また、相手があまり話さないタイプならこちらから自己開示するか〜と思えたりもする。そう考えれば、話を聴くというのは宝の山だったりもする。ま、こんなこと普段は考えてもいないけれど。


他にも講義や講演会などで話を聴く場面もあるけれど、それも私は結構好きだ。特に、本筋に関係のないところには話し手の人間性やその人が歩んできた人生が隠れていたりする。そういうところに、"自分がその人から学べること"や聴いていれば自分でなくても"自分の周りの人にとって役に立つかもしれないこと"が隠れていたりする。だから私のそういう機会におけるノートやメモをみると、本筋ではない内容が書かれていたりする。
(1/17は〇〇先生の誕生日、など。)




(今は別れたと思われるが)私と彼はの2ヶ月後に私がずっと相談に乗っていた元親友カップルが生誕した時、喜んでいる私を見て、「そうやって他人と一緒に悩んだり喜んだりできるの、ドットのいいとこだと思う。」と彼は言った。

「ほんまに聞いてるかは知らんけど、とりあえず"うんうん"(相槌)言うもんな、ドットは。」と父は言った。ちなみに妹は彼女にとってどうでいい話を聞くと、無視するか怒り出す。

私はちゃんと人の話を聴いてるぞ!とは思っていない。むしろ聴けていない方だと思っていた。というより、話しかけられたら耳を傾け、リアクションをとるのが当たり前だと思っていた。

でも彼らの証言を聞く限り、そうでもないらしい。それは誰にでもできることや当たり前のことではなかったのだと、知った。

今でも"傾聴力"に自信なんてない。

でも、どんな話であっても自分に話そうと思ってくれる、その心が嬉しい


今日も、前々から聞いていた話が収束するとある人から連絡がきた。


私に話したいと思ってくれるあなたの話なら、喜んで聴くよ、なんでも。

そんな思いを込めて、LINEを返した。





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