「ブランド」とは何かを考えてみた
悩み事をかくすの 案外 下手だね~♪
母さん、あの「俺ってビッグ」なタレント、どこに行ったんでせうね...。Mama~ Do You Remember~♪
今日は、最近のヤマダの悩み事、「ブランド」について備忘録的に書いてみます。
「ブランド」ほど分かり難い概念はない
今、ヤマダ達が企画している知的財産セミナーのテーマが「ブランド」。
このセミナーは中小企業の方々に、
●「ブランド」がビジネスを大きく飛躍させる可能性のあるアイテムであることを知ってもらう
●「ブランド」を実際に作り、活用してもらう
ことを目的とするものです。
ただ、この「ブランド」。
非常にフワッとした、抽象的で分かり難い概念なのよね。
商標登録を専門とし、「ブランド」や「ブランディング」に比較的近い立ち位置で仕事をしている弁理士でも明確に説明することができる人は少ないんじゃないかな。
実際、昨日の会合でも、セミナー参加者に対して「ブランド」をどう定義するか?で喧々諤々の議論となっています。
こいつを何とか定義してみようじゃないか、というのがこの記事の狙いです。
一般的な「ブランド」のイメージ
ブランドについてあまり詳しくない一般の方に、
「ブランド」という言葉を聞いて何をイメージしますか?
と聞くと、概ねこんな答えが返ってきます。
● ファッションブランド(シャネル、エルメス...)
● ブランドロゴ(ルイ・ヴィトンのLVマーク、スタバのセイレーン...)
● ブランド物(時計のロレックス、高級車のベンツ...)
いわゆる「高級ブランド(ハイブランド)」、「大企業のブランド」をイメージする人が多いんですよね。
でも、これは僕が思っている「ブランド」のイメージとは違っています。
今は、「スモールブランド」とか「マイクロブランド」といった言葉もあるんですよ。認知されている範囲は狭いけれども、その範囲の中では強力に機能するブランドのことです。
例えば、どこぞの兄ちゃんが作った一般的にはあまり馴染みのないブランドが特定の層からは熱烈に支持されていたりする。
その兄ちゃんがインスタで「新しいTシャツができました!」と発信したら、そこそこ高いTシャツ100着がものの数分で完売!なんてことが起こる世の中です。
こういう事例を見ると、一般にイメージされるような、
● ブランドは大企業のもの
● ブランド=高級品
といった定義は今の事情には必ずしも合っていないわけです。
専門家の「ブランド」の定義
では、専門家は「ブランド」をどう定義しているのか?
例えば、マーケティングの巨匠、フィリップ・コトラー氏は、「ブランド」をこう定義しています。
「ブランドとは、個別の売り手または売り手集団の財やサービスを識別させ、競合する売り手の製品やサービスと区別するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはこれらの組み合わせ」
いや、なげーわ!むずかしいわ!(笑)
でも、ざっくり言えば、
販売元、又はその商品やサービスを他社の商品やサービスから区別するための目印
ってことじゃないの?
これは商標法の「商標」の定義に近いです。
商標法の「商標」の定義もざっくり言ってしまうと、
● 人の知覚によつて認識することができる、文字、図形、記号、立体的形状など
● 商品の生産者がその商品について使うもの、又はサービスの提供者がそのサービスについて使うもの
この2つの条件を満たすものと定義されています。ほぼほぼコトラーさんの定義と同じです。
でもね。僕は商標とブランドはイコールではないんじゃないかなぁと思っています。
商標であってもブランドでないものがある。商標のうち、ブランドと言えるものはほんの一握り。そんなイメージですね。
ブランドは単なる識別標識ではない、それを超えた価値を持つものだと考えているんです。
「ブランド」の起源
ちょっと話はそれますが、ブランドの起源の話をします。
元々、「ブランド」の起源は「仔牛に付けた焼印」です。
例えば、ヤマダ牧場の仔牛には星型の焼印が押されているとしましょう。
この時、星型の焼印は仔牛の生産者がヤマダ牧場であることを示しています。独自のマークを付けて他の牧場の牛とは区別しているわけです。この時、星型の焼印は商標(識別標識)としての役割を果たしています。
でも、しばらくすると、ヤマダ牧場の牛が「非常に美味い肉をとれる良い牛だ」という評判が立ってきた。誰もがヤマダ牧場の牛を欲しがり、高い値段でも買ってもらえる状態になった。
これが「ブランド化」された状態ですよね。この状態になった時の「星型の焼印」。こいつは単なる識別標識を超えた価値を持っています。
これを元にして「ブランド」の定義をするのがよさそうです。
「ブランド」の定義を考えてみる
今までの説明を踏まえながら、現時点でヤマダが思うところの「ブランド」の定義を考えてみます。
そうですね...。
「競合とは異なる独自性を有するシンボルであって、顧客からの信用を獲得するに至ったもの」
とでもしておきましょうか。
「シンボル」は象徴ですから、名前でもマークでもいい。「競合とは異なる独自性を有する」という点で、識別標識として機能するものであることを示しています。「顧客からの信用を獲得するに至った」ですから、そこにブランド力・ブランド価値が発生しているということになりますよね。
「優れた商品やサービスの特徴を象徴的に表したもの」とか、「商品やサービスが提供する価値を独自の表現で表したもの」なんていうのも考えてはみたんですがね。
「ブランド」って、顧客なりユーザーなりが気に入っていればそれでいいんですよ。商品やサービスが優れている必要もないし、客観的な意味での価値を持っていることも必須ではない。
ただ、一定数のファンが付いてくれていれば、それだけで「ブランド」は成立するのではないかと思っています。
「ブランド」は顧客からの信用の証。企業の収益の源泉となります。
「ブランド」を持つことで、商品やサービスの質だけに頼らず、信用で商売をすることができるようになるんです。
まとめ
今日のまとめです。
● 商標(識別標識)とブランドはイコールではない
●「ブランド」とは、競合とは異なる独自性を有するシンボルであって、顧客からの信用を獲得するに至ったもの
●「ブランド」は顧客からの信用の証であり、企業の収益の源泉
まぁこれはヤマダ説です(笑) ブランドの定義なんて一つじゃないですから。
でも、この定義を見れば、「高級品」とか「大企業」というニュアンスは全く入っていないでしょ?
「ブランド」って、中小企業さんや個人事業主さんに無縁のものじゃないんです。だから、ブランドづくりに積極的に取り組んでください。きちんと取り組めば、必ずその成果がビジネスに表れてきますから。
それでは、今日はこの辺で。
追記
この記事を公開したところ、弁理士の先生方から色々なご意見を頂きました。それらのご意見をこの記事の続編としてまとめました。
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