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人気Youtuberのチャンネル名が危ない。悪意の商標出願には要注意!

弁理士/ネーミングプロデューサーのヤマダです。

日々報道されるニュースの中から皆さんのビジネスに役立つネタ、知的財産に興味を持ってもらえそうなネタを紹介します。

今日のネタは、人気Youtubeチャンネル「くまクッキング」です。

■ 「くまクッキング」について

今、弁理士界隈で、とあるYouTubeチャンネルが話題になっています。

その名は「くまクッキング」!


ダイナマイトなくま子さんがセクシーな出で立ちで、ちょっとした料理を作る。そんな動画がウケて、今やチャンネル登録者数23.4万人の人気チャンネルになっています。

■「くまクッキング」が無関係の第三者に「悪意の商標出願」をされる

では、何故、この「くまクッキング」が弁理士界隈で話題になっているのか? 弁理士はセクシーな女性がお好き…というわけではありませんよ。

実は、この「くまクッキング」というチャンネル名がくま子さんとは全く無関係の第三者によって商標登録されてしまった事件が話題になっているんです。(正確には商標登録の査定がされた段階です。今後、登録料が納付されると正式に商標登録されます。)。

いわゆる「悪意の商標出願」です。

残念ながらこういう事件は繰り返されています。ピコ太郎の「PPAP」しかり、「ティラミスヒーロー」しかり。

(参考)
ピコ太郎とは全く無関係の会社が商標「PPAP」を出願している件(その1)
ティラミスヒーロー・ロゴパクリ事件に学ぶ、商標の本質・商標登録の意味


●たとえ商標登録はされていなくても有名な商標
●他人の名声にタダ乗りして不正な利益を得ることを目的とする商標

このような商標は本来、商標登録されるべきものではありません。「特許庁の審査官は何をやっているの!」と言いたくなる気持ちもわかります。

ただ、大事なのは、こういうことが実際に起こっているいうことです。実際に起こっているなら対策を練っておかないといけませんよね?

■「悪意の商標出願」をされた場合の対応策

(1)既に商標登録されてしまった場合

今回のように、一旦、商標登録がされてしまうと、たとえそれが間違いであったとしても商標登録の取り消しや無効を求める手続きが必要になります。

前者は異議申し立て、後者なら登録無効審判。

いずれも特許庁の中で行われる裁判のような制度です。時間も費用も手間もかかります。精神的なストレスも大きい。

(2)まだ審査中で商標登録はされていない場合

まだ、その他人の商標が登録されておらず、審査中の段階であれば、「情報提供(刊行物提出)」というやり方もあります。

「この商標は有名なYoutubeチャンネルのチャンネル名だから商標登録しないでください」ということを証拠を添えて審査官に告げ口する制度です。

異議申し立てや無効審判と比べると、比較的手続きも簡単で、費用も安く済みます。

ただ、その情報を採用するか否かはあくまで審査官次第。

今回のケースでも情報提供がされていますが、それにも拘らず第三者に商標登録されてしまいました。

(3)まだ他の人に商標登録の出願をされていない場合

まだ他の人に商標登録の出願をされていない場合であれば、商標登録の出願をすることが有効です。商標登録は早いもの勝ちです。自分が一番乗りになりましょう。

結局は、早い段階で自ら商標登録の出願をしておくのが「早くて安くて安心ね~♪」なんです。

■まとめ

今日のまとめです。

おそらく、くま子さんも自分のチャンネル名がそこまでブランド価値があるものだと思っていなかったんでしょうね。大事なものは失ってから初めて気付くものなんです。

ビジネスの世界には悪い輩がいるものです。商売で某かの名前を使う、使い続ける。そのためにはショバ代(商標登録の費用)を払っておいた方がいい、しかもなるべく早い段階で、ということです。

こういうことを分かっていないと、顔に傷がある怖い人がやってきて、自分のお店から追い出される羽目になりかねませんよ!(苦笑)


では今日はこの辺で。


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