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願いを叶える三つの塔
横浜港の大さん橋のデッキに立つウサギの長い髪が、海風に揺れていた。「そう。ここだったわね」と、彼女は足元のマークを見て小さく呟いた。
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ウサギの見上げる視線の先には、横浜三塔である神奈川県庁のキング、横浜税関のクイーン、そして開港記念会館のジャックが、はっきりとその姿を見せていた。
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「どうして三塔を一度に見ると願いが叶うのかしらね?」と、遠くに見える塔を眺めながら、ウサギはカメに問いかけた。
「横浜三塔をトランプに見立てて、愛称で呼んだ外国の船乗りたちは、この三塔を目印に入港し、航海の安全を祈願していたんだ。それが理由の一つと言われてる」カメの言葉が潮風に乗って、ウサギの耳に届いた。
「ここが2つ目の赤レンガ倉庫のスポットね」ウサギが足を止めると、足元には三塔のイラストが描かれたプレートが敷かれていた。
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「大さん橋から見た風景と似てるけど、手前に海が見えて近く感じるわ」とウサギは目を細めながら景色を見つめた。
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「この三つの塔はね、関東大震災を乗り越えている。それが、願いが叶うもう一つの理由なんだ」とカメは静かに語った。
やがて、二人は神奈川県庁にたどり着いた。「ここが最後のポイントね」とウサギが言った。彼女の足元には、また別のプレートが敷かれていた。
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「ここからの眺めは、これまでとはまるで違うわ」とウサギは言った。正面にはキングがそびえ、左端にはジャックが、そして右端にはクイーンが静かに佇んでいた。
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「横浜三塔が同時に見える場所を3ヶ所とも訪れたから、伝説では夢が叶うことになる。ウサギさんは、いったい何を願うのかな?」カメは興味深げに彼女の顔をみた。
「もう決めてあるの」と、ウサギは微笑むと先へと進んだ。カメがあとを追いかけると、一軒のお店に辿り着いた。
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「私はもう十分に願いが叶っているわ。だから、今欲しいのはこれだけなの」
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