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アートに満ちた小さな島
その日、ウサギは図書館の閲覧席でじっと画集を見つめていた。何度も手に取った画集なのに、見るたびに新たな発見があり、彼女はその度に心が躍るのを感じていた。
それでも本当のことを言えば、室内で静かに絵を見ているのは少し苦手だった。広い青空の下で元気に走り回るのが、彼女にとっては何よりも好きなことだったから。
「アートを観られる場所は室内だけじゃないんだよ」と、隣に座るカメが言った時、彼女の目がキラリと輝いた。そして二人はすぐに電車に飛び乗っていた。
天王洲アイル駅の改札を出て、シーフォートスクエアに足を踏み入れると、目の前にそびえる螺旋階段がまるで異国への入り口のようで、ウサギは思わず息を飲んだ。
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二人は運河に囲まれた島の中を歩き始めた。すると、ウサギが急に走り出し、振り向いてカメに手招きした。
「見て、この猫ちゃん。めっちゃ可愛い!」 彼女はスマホをかざして写真を撮ろうとしたが、ふとその手を止めた。
「待って。この猫ちゃん、私のことを写真に撮ろうとしてるわ」猫とレンズを向け合いながら、彼女は苦笑いを浮かべた。
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「猫ちゃんにはやられたわね」と、つぶやきながら歩いていたウサギは、前を見て指をさした。「見て、今度はクジラがいるわ!」
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「ビルの壁にこんな大きな絵が描かれているなんて驚きね。どうやって描いたのかしら?」彼女は、今度は上を見上げた。
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「ほら、コンテナにも絵が描かれているよ。雲かな。ふわふわと漂って見えるね」と、カメは彼女に話しかけた。
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「ゴミ箱もアートなのね。これなら捨てるのも楽しくなるわ」と、ウサギは笑いながら明るい声を弾ませた。
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「アートって、室内だけじゃないんだね」とウサギはつぶやき、街中のアートに向かってその場でくるりと回った。瞳には新しい発見の光が宿っていた。
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