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スウェーデン料理...何も思いつかない件について

スウェーデンに来て49日が経った。

「スウェーデン料理」と言われて何か思いつくだろうか?
おそらく、パッと思いつく人は本当に少ないと思う。

思いつく人は、IKEAの食堂のイメージから、

・スモークサーモン

aumo


・ミートボール

これで2,000-3,000円する…


くらいだろうか?

このnoteでは、なぜスウェーデン料理が思い浮かばないのか?について考えていこうと思う。


そもそも、スウェーデン料理というものは少ない

実際に現地のスウェーデン人は多くの外国の料理を作って食べているようだ。(街に出ると、日本料理屋さん、イタリア料理屋さん、ペルシャ料理屋さん、トルコ料理屋さんなど、日本よりも多様な国の料理屋さんがある)

理由はたくさんあるだろうけど、ここでは2つ取り上げる。

1つは、昔のスウェーデンが貧しかったから

北欧の冬は非常に厳しい。
日照時間は、北部のキルーナだと12月はわずか3時間しかない。
従って、作れる作物の種類も限られてくるし、不作になることもしばしば。

北欧旅行フィンツアー

その結果、1850年代から1930年までに約150万人のスウェーデン人が他国へ移住した。(1850年のスウェーデンの人口は約350万人。1930年は600万人強)(現在では人口が1022万人で、そのうち4人に1人が海外にバックグラウンドを持つという。昔とは立場が逆転している)

このように、スウェーデンという国はほんの100年ちょっと前まではかなり貧しい国だった。豊富な作物がないから、フランス料理などの豪華な料理は作れない。

2つは、職業としてのスウェーデンシェフが少ないから

シェフがその国ならではの料理を生み出す場合が多い。
例えば、日本の飲食業を営むシェフが多くの日本食を生み出してきた。オムライスは大阪の『北極星』というお店のシェフが生み出したし、寿司も元は東南アジアらしいけど、江戸時代に板前が日本独自のものとして新たに生み出した。また、フランスも宮廷料理人という職業が無かったら、ここまで多くのフランス料理は生まれていなかったと思う。

現代スウェーデンで職業としてのシェフが少ないのは、外食文化が盛んではないからだと考えられる。

飲食店の数はスウェーデン全体で約4,600店舗(2019年)、首都のストックホルムで約2,500店舗しかない。一方、日本は外食文化が盛んで、日本全体で約67万店舗(平成21年度)、東京だけでも約8万店舗である。

スウェーデンで外食文化が盛んではない理由は、値段が高い、というのが大きな要因だろう。

スウェーデンは税金がかなり高く、外食の税率が25%である。
しかし、スーパーなどの一般食材に対しては12%程度。どおりでみんな自炊するわけだ。


ここまでスウェーデン料理が少ない理由を並べたが、
スウェーデン料理が全くないわけでもない。
前述したミートボールやサーモン料理の他に、以下の料理とかもある。

・ヤンソンの誘惑
(じゃがいもとアンチョビのグラタン)

手作り「ヤンソンの誘惑」

・ピッティパンナ
(じゃがいもと肉のキューブ)

冷凍の「ピッティパンナ」←めっちゃ楽

・スモーガストルタ
(サンドイッチケーキ)

Asahi Kasei


だがやはり、これらの料理が世界的に認知されているとは言えない
自分自身、大学でスウェーデン語を勉強していなかったら今も知らなかったと思う。実際、スウェーデンに住んでいる移民の人にスウェーデン料理を聞いても「ミートボール」とか一部の料理しか返ってこない。


一方で、「日本食」や「フランス料理」は世界的に認知されている料理である。なぜスウェーデン料理が思い浮かばないのか?

ここでも2つの理由を考えてみた。

1つは、

人間の味覚は、甘味・辛味・苦味・酸味・うま味の5つで構成されている。人間はそれぞれの「好み」はあるが、上記の5つの味覚は共通している。それゆえ、世界的に認められる料理になるには、この5つの味覚にポジティブに訴えかける必要があると思う。

例えば、日本食では魚を出汁にとって味噌汁などを作るが、これはうま味を抽出している作業だ。このうま味は世界中の人の共通するポジティブな味覚だから、科学的に「美味い」料理なのだ。

一方、スウェーデン料理は全体的に味が薄い。これは前述の通り、昔のスウェーデンは貧しかったことに起因していて、食事は食べれたらOKという意識があるのかもしれない。(現在もそのような傾向があるように思われる。何人かのスウェーデン人の家にお邪魔したが、食事は10分程度でチャチャっと焼くだけで完成してた)
また、スウェーデン料理の調理方法は、焼く・茹でる・煮るしかないらしい。これも、スウェーデン人の食事に対する姿勢が表れている。

2つは、ブランド

世界的に認知がされている料理は、その料理名を言われると「これっ!」と言った特徴がすぐに思い浮かぶと思う。

例えば、日本食だったら健康的(季節性のある野菜で、主菜・副菜とバランスが考えられているから)、フランス料理だったら上品・高級(宮廷両料理から生まれたから)、インド料理だったらスパイス(スパイスの生産が盛んで、多くの料理にスパイスが用いられるから)など…

一方、スウェーデン料理と言っても何も浮かばないと思う。つまり、世界的に認知される料理となるためには、他の料理と一際違った特徴を一つ備えておく必要があるようだ。(自分は、スウェーデン料理と言われると、質素とかが浮かぶ…)


まとめ

このnoteでは、以下のように考えてみた。

スウェーデン料理が少ない理由

・昔(100年前くらい)のスウェーデンが貧しかったから
・職業としてのスウェーデンシェフが少ないから

スウェーデン料理が思い浮かばない理由

・味が薄い(+バラエティが少ない)
・ブランドが弱い


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