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【短編小説】梅ハサミ偕楽園

 30年前に死んだ祖父が来ていた紺色のコートを着て行ったが、思ったより暖かいので少し参ってしまった。
 しかし手に持って荷物を増やしたくないし、着ていても汗をかくほどではないので結局そのままでいる事にした。

 バイクに乗って通勤するので普段はプロテクターを付けているとか、そもそも滅多にスーツを着ない職業と言う事もあってカラーケースに丸められていたその紺色をしたコートのポケットにはナフタリンが詰めてあった。
 前に自分で詰めたのだろうがそんな事は忘れていた。
 それになぜか内ポケットにハサミが入っていた。どういう経緯でそこにハサミを入れる事になったのかも覚えていない。
 それが開封済みのコンドームとかじゃなくて良かったなと思う。

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956字
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