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『復讐代行』【1038文字】 #絶望のクリスマス 参加作品

企画に参加させていただきました。

『復讐代行サービス』のページを
スクロールしていく。

あの女への復讐。
自分で手をくだす事が
出来ないのは残念だが、
あの女が不幸になるなら十分価値がある。

自分の想像以上に
『復讐代行』企業が多かった。

内容や値段も幅広く
嫌がらせ程度ならば数千円
もちろん殺人まで頼むと
450万円程かかるので
普通のOLの私には手が届かなかった。

軽い嫌がらせでは許せない。
私の婚約者を寝取り
デキ婚して、私を披露宴に
呼ぶくらい図太い神経の持ち主の
あの女に復讐してやりたい。

『クリスマス限定企画 応募条件あり
 サービス価格』
クリスマスに復讐。
素敵だわ。
今年のクリスマス。
寂しい私にはピッタリのプランだった。

応募条件は、
・未婚
・子供なし
・前払い
等、ある程度条件が付いていた。

応募事項を確認し、メールを送る。
数時間後に返信されたメールには
復讐相手に望む、復讐内容を
できるだけ細かく記載して
送り返してほしいと言う事だった。

その内容によって価格が違うようだ。
自分の希望と予算を考えて
『復讐内容』を考える。

普通は100万円程かかる内容だが
今回のキャンペーンで55万円になると
返信が返ってきた。

ボーナスを足しても
予算オーバーだ。
内容を削るか悩んだ。

代行サービスから、
前払いで30万円
実行した証拠を確認後に
残りを支払い可能と返信が来た。
婚約者と貯めていた資金の
30万円を振込むと

『最後のクリスマスイブの後
最高のクリスマスをお届けします』
と可愛らしいクリスマスカード仕様の
メールが届いた。


あの女が最高のクリスマスイブを
過ごした後、奈落の底へ落ちていく。
私の胸は、彼と出会った時以上に
トキメイていた。

こんなにクリスマスが
待ち遠しい気持ちになったのは
小学生以来だろう。

憎かったイルミネーションさえ
私を祝福しているように感じた。

クリスマスの朝が
今から待ち遠しい。

ボーナスは後払いで消えるが
惜しくわない。
欲しいモノはあの女の不幸。
バックより、アクセサリーよりも
魅了的なモノ。


25日の早朝。
チャイムの音で目覚めた。
まだ起きる時間より随分早い。

寝ぼけ眼でモニターを
見ると、スーツ姿の男性と警察官。

何かあったのだろうか
急いで通話ボタンを押す。



グレーの事務机に
グレーの事務椅子。
グレーのスエット姿の私。
腰には紐が繋がれ、
固定されたイスにくくりつけられている。

目の前でノートパソコンを
開いた刑事が取り調べの準備を始めた。
卓上には、私が代行業者に送った
メールの内容。

私は絶望のクリスマスを
留置所でむかえる事になった。

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