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書記の読書記録まとめ

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今までに読んだ本についてのレビュー。 ブクログ:https://booklog.jp/users/9512a62a15b04973
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2023年12月の記事一覧

書記の読書記録#1173『ストール精神薬理学エセンシャルズ  - 神経科学的基礎と応用 - 第5版』

『ストール精神薬理学エセンシャルズ  - 神経科学的基礎と応用 - 第5版』のレビュー レビュー精神科の薬理学の定番の教科書であり,どよ受容体に作用して神経活動をどうするか,総論の教科書では触れない深部まで細かく書かれている。 もくじ①化学的神経伝達 ②精神薬理学的な薬物作用を示す標的としてのトランスポーター,受容体,酵素 ③精神薬理学的な薬物作用を示す標的としてのイオンチャネル ④精神病,統合失調症そして神経伝達物質ネットワーク:ドーパミン,セロトニンおよびグルタ

書記の読書記録#1172『エラスムス――人文主義の王者 (岩波現代全書)』

沓掛 良彦『エラスムス――人文主義の王者 (岩波現代全書)』のレビュー レビュー『痴愚神礼讃』や『対話集』の背景を知るのにちょうど良い入門書で,エラスムス研究の系譜としても重要性がある。 もくじまえがき プロローグ 知られざるエラスムス 第Ⅰ部 エラスムスとは誰か――その生涯と事績をたどる 第Ⅱ部 エラスムスの三つの貌 第一章 文学者 第二章 古典学者 第三章 平和主義者――狂信の敵の信念 第Ⅲ部 エラスムスと北方ルネッサンスの二大巨星――往復書簡を通じて見る人文主義者の

書記の読書記録#1170『拡散モデル データ生成技術の数理』

岡野原 大輔『拡散モデル データ生成技術の数理』のレビュー レビュー生成モデルに用いられる拡散モデルの数理がまとまった教科書で,現状では本書が第一選択であろう。 もくじはじめに:爆発的に応用が広がる拡散モデル  記号一覧 1 生成モデル  1. 1 生成モデルとは何か  1. 2 エネルギーベースモデル・分配関数  1. 3 学習手法  1. 4 高次元で多峰性のあるデータ生成の難しさ  1. 5 スコア:対数尤度の入力についての勾配   1. 5. 1 ランジュバン・

書記の読書記録#1171『Make:Electronics 実践編 36の実験で独習できるデジタル回路』

Charles Platt(訳:鴨澤 眞夫)『Make: Electronics 実践編 36の実験で独習できるデジタル電子回路』 レビュー前著に続き電子回路を実装しながら理解できる教科書で,特にデジタル回路について詳しい。 もくじまえがき 準備 実験1|ねばつく抵抗 実験2|数字をちょっと 実験3|光を音に 実験4|光を測る 実験5|ワーワーさけぶ 実験6|イージーオン、イージーオフ 実験7|時間光学! 実験8|オーディオの冒険 実験9|ミリボルトからボルトへ 実験1

書記の読書記録#1169『現代物性化学の基礎 第3版 (KS化学専門書)』

小川桂一郎,小島憲道『現代物性化学の基礎 第3版 (KS化学専門書)』のレビュー レビュー量子化学の応用としての物性物理(物性化学)についての入門書で,化学徒が知っておくとよい物理がまとまっている。 もくじ第1章 元素の科学 第2章 化学構造式と分子構造 第3章 異性体とその構造 第4章 分子の化学結合と分子軌道 第5章 π電子をもつ有機化合物の分子軌道と性質 第6章 配位結合の化学 第7章 化学結合と結晶構造 第8章 分子集合体とその物性化学 第9章 発展する物性化学

書記の読書記録#1168『医者は患者をこう診ている: 10分間の診察で医師が考えていること』

グレアム イーストン『医者は患者をこう診ている: 10分間の診察で医師が考えていること』のレビュー レビュー総合診療医による診察をベースに,医者の思考回路を示した本。10分という限られた時間で何ができるか,コミュニケーションの取り方など,医療関係者であれば考えさせられる内容がたくさんある。 もくじはじめに―午前の診察の前に 〇七時三〇分 ミスター・W・E(胸の痛み) 〇七時四〇分 ミスター・N・B(直腸出血) 〇七時五四分 ミズ・A・F(喉の痛み、妊娠能力の質問) 〇八時

書記の読書記録#1167『固体物理学 原書4版 物質科学の基礎』

石井 力,木村 忠正(訳)『固体物理学 原書4版 物質科学の基礎』のレビュー レビュー固体物理・物性物理の大型の参考書で,キッテルやアシュクロフト・マーミンに並ぶくらいの難易度か。 もくじ第1章 固体における化学結合 第2章 固体の構造 第3章 周期構造からの回折 第4章 結晶中の原子の動力学 第5章 熱的性質 第6章 固体中の「自由」電子 第7章 固体の電子バンド構造 第8章 磁性 第9章 電子の運動と輸送現象 第10章 超電導 第11章 物質の誘電的性質 第12章 半

書記の読書記録#1166『わたしたちはなぜ笑うのかー笑いの哲学史』

中山元『わたしたちはなぜ笑うのかー笑いの哲学史』のレビュー レビュー笑いに関係する哲学・思想について簡単にまとめた入門書で,全体的に駆け足の解説であるが「第三章 ルネサンスの笑いの文学」の比重が大きい。 もくじ序 論 三種類の笑い 第一章 喜劇の誕生と古代における笑い   第一節 滑稽さ、社会的な絆、批判性   第二節 アイロニーとしての笑い   第三節 風刺としての笑い   第四節 ギリシア小説における笑い 第二章 中世における民衆の笑いの文化   第一節 民衆の三つの

書記の読書記録#1165『図解入門よくわかる最新半導体デバイスの基本と仕組み (How-nual図解入門Visual Guide Book)』

佐藤淳一『図解入門よくわかる最新半導体デバイスの基本と仕組み (How-nual図解入門Visual Guide Book)』のレビュー レビューpn接合やトランジスタの仕組みなどに焦点を当てた入門書で,一通り流し読みした。 もくじ第1章 真空管から電子デバイスへ 1-1 電子の発見 1-2 熱電子放出 1-3 二極真空管の動作 1-4 三極真空管の動作 第2章 シリコン単結晶の作り方と構造 2-1 固体結晶への道 2-2 シリコンウェーハの作製法 2-3 シリコン単結

書記の読書記録#1164『固体物理学: 工学のために』

岡崎 誠『固体物理学: 工学のために』のレビュー レビュー固体物理学の教科書として,キッテルやアシュクロフト・マーミンなどをより簡略化したものと位置付けられる。とりあえず最初に読む本としてはちょうど良いかもしれない。 もくじ1.結晶構造と周期性 2.k 空間 3.量子力学 4.固体の結合 5.格子振動 6.格子比熱と熱伝導 7.自由電子論 8.エネルギーバンド 9.バンド理論の応用 10.電気伝導 11.光学的性質 12.磁性 13.半導体の物理 14.超伝導 15.

書記の読書記録#1163『半導体の物理 (半導体工学シリーズ)』

御子柴 宣夫『半導体の物理 (半導体工学シリーズ)』のレビュー レビュー古代物理学の一分野としての半導体を深掘りする教科書で,ある程度の基礎知識を要する。 もくじ1 固体の結晶構造と格子欠陥 2 固体の格子振動 3 固体のバンド理論 4 固体中の電子の統計分布 5 固体中の電子の伝導現象 6 半導体中の電子の散乱過程 7 半導体中の高電界効果 8 半導体界面の物理 9 半導体の光吸光 10 半導体発光の物理 11 半導体における非線形光学 12 ランダム系の物理 13 1

書記の読書記録#1162『生物兵器と化学兵器―種類・威力・防御法 (中公新書)』

井上 尚英『生物兵器と化学兵器―種類・威力・防御法 (中公新書)』のレビュー レビュー化学兵器・生物兵器について,前半では歴史,後半では性質についてまとまっている。新書サイズにしては,専門書の要約くらいのレベル感の,本格的な内容である。 もくじ第1章 身近なテロの脅威―化学兵器・生物兵器 第2章 化学兵器の実戦使用 第3章 化学兵器各論 第4章 生物兵器の歴史と不気味な近未来 第5章 生物兵器各論 第6章 化学・生物テロ防御対策 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#1161『半導体工学 第3版-半導体物性の基礎-』

高橋 清,山田 陽一『半導体工学 第3版-半導体物性の基礎-』のレビュー レビュー半導体の知識,およびその理解に必要な最低限の周辺知識(量子力学・固体物理学・統計力学)が簡潔にまとめられた教科書。 もくじ1章 量子論入門 2章 固体の帯理論 3章 統計力学の基礎 4章 半導体と電導機構 5章 p-n接合 6章 ヘテロ接合と金属-半導体接触 7章 トランジスタと集積回路 8章 半導体の光学的性質 9章 発光デバイスと受光デバイス 10章 半導体の各種性質 11章 量子効果デ

書記の読書記録#1160『アリエナイ毒性学事典 (アリエナイ理科別冊)』

くられ『アリエナイ毒性学事典 (アリエナイ理科別冊)』のレビュー レビュー主要な毒については一通りまとまっており,生物・化学の延長としての毒性学を堪能できる1冊となっている。 もくじ01 毒が無さそうな毒 毒がありそうな毒(ウソ・大げさ・まぎらわしい…健康食品の真実―毒性サプリメント;もはや社会性毒物といえるインチキ雑貨―空間除菌の重い罪 ほか) 02 有名な毒(エナドリやコーヒーは1日何杯までOK?―毒にも薬にもなるカフェイン;ガクッと意識を失わせることは可能?―クロロ