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書記の読書記録まとめ

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今までに読んだ本についてのレビュー。 ブクログ:https://booklog.jp/users/9512a62a15b04973
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2022年4月の記事一覧

書記の読書記録#466『僕らはまだ、臨床研究論文の本当の読み方を知らない。〜論文をどう読んでどう考えるか』

後藤 匡啓(著),長谷川 耕平(監修)『僕らはまだ、臨床研究論文の本当の読み方を知らない。〜論文をどう読んでどう考えるか』のレビュー レビュー臨床研究における,論文の読み方や統計解析の読み方についてまとめられている。臨床研究に限らず,論文をどう読めばいいか知りたい人にもおすすめできる。 もくじ第1章 論文を読む前に知っておきたいこと 01 論文を1本全部読む必要はあるの? 02 なぜ論文が読めないのか 03 そもそも臨床研究ってなに? 04 論文が世の中に出てくるまで 0

書記の読書記録#465『物語北欧神話』(上下巻)

『物語北欧神話』(上下巻)のレビュー レビュー北欧神話は,キリスト教化される前のノルド人(ノース人)の信仰に基づく神話。北欧神話は北ゲルマン民族によって共有されていた信仰や物語が集約されたもので、神話は詩の形で口承により伝えられ、現存する神話についての知識は主にスノッリ・ストゥルルソンにより書かれた『エッダ』や、キリスト教化中またはその後に書き下ろされた、中世における他の版本に基づいている。 『エッダ』の内容をもとに現代語で読みやすくしたものである。「ラグナロク」をはじめ

書記の読書記録#464『カプラン精神科薬物ハンドブック 第5版 エビデンスに基づく向精神薬療法』

神庭重信(監修)『カプラン精神科薬物ハンドブック 第5版 エビデンスに基づく向精神薬療法』のレビュー レビュー精神科薬の薬理・臨床適用について一通り網羅された本。精神科関係者は必携だろう。 もくじ1 精神薬理学の原理 2 α2アドレナリン受容体作動薬,α1アドレナリン受容体拮抗薬:クロニジン,グアンファシン,プラゾシン,ヨヒンビン 3 βアドレナリン受容体拮抗薬 4 抗コリン薬 5 抗けいれん薬 6 抗ヒスタミン薬 7 バルビツレートと類似作動薬 8 ベンゾジアゼピン系薬

書記の読書記録#463『はじめての計測工学 改訂第2版』

南 茂夫,木村 一郎,荒木 勉『はじめての計測工学 改訂第2版』のレビュー レビュー主に測定手法に関する教科書で,物体・状態量・物質に分けて整理されている。 もくじ第1章 計測工学と計測法の基礎 1.1 計測工学とは 1.2 計測工学の守備範囲と対象情報 1.3 直接測定と間接測定 1.4 計測の基本的方式  1.4.1 偏位法  1.4.2 零位法  1.4.3 偏位法と零位法との中間的方法 1.5 計測器の性能の表し方  1.5.1 感度  1.5.2 分解能  1.

書記の読書記録#462『蝮のすえ・「愛」のかたち』

武田 泰淳『蝮のすえ・「愛」のかたち』のレビュー レビュー「戦後文学の現在形」収録作。 武田 泰淳(1912年(明治45年)2月12日 - 1976年(昭和51年)10月5日)は、日本の小説家。浄土宗僧侶。大正大学教授。幼名覚。第一次戦後派を代表する一人。左翼運動から離脱後、泰淳と改名。得度した。その後華中に出征。除隊後、評伝『司馬遷』を経て小説に転じ、『蝮のすゑ』で認められた。その後も思想的重量感を持った作品を発表し、幾屈折もする人間生存の諸相を描き出した。 ひたすら

書記の読書記録#461『バイオインフォマティクス: Pythonによる実践レシピ』

Tiago Antao(翻訳:阿久津 達也,竹本 和広)『バイオインフォマティクス: Pythonによる実践レシピ』のレビュー レビュー本書はPythonによるバイオインフォマティクスのクックブックで,一通りの項目は網羅されている印象。あらかじめサンプルコードを見て雰囲気を確認しておくと良い。 もくじ1. Pythonとソフトウェア環境 2. 次世代シーケンス・データ解析 3. ゲノム解析 4. 集団遺伝学 5. 集団遺伝学のシミュレーション解析 6. 系統解析

書記の読書記録#460『計測工学 (改訂版): 新SI対応』

前田 良昭,木村 一郎,押田 至啓『計測工学 (改訂版): 新SI対応』のレビュー レビュー計測方法および計測機器の原理に関する標準的な教科書。力学,電磁気学,光学,流体力学,機械工学などの応用分野。 もくじ1.計測とその目的 1.1 科学・技術と測定 1.2 計測工学とは 1.3 計測機器の利用形態  1.3.1 工業プロセスや操作の監視  1.3.2 工業プロセスや操作の制御  1.3.3 実験的工学解析 1.4 本書の目的 2.計測の基礎 2.1 単位と標準  2

書記の読書記録#459『セイバーメトリクス入門-脱常識で野球を科学する』

蛭川 皓平『セイバーメトリクス入門-脱常識で野球を科学する』のレビュー レビューセイバーメトリクスの歴史と簡単な具体例についての本。割合計算と相関関係が分かれば大体読める。統計学の方向性としては経営学に近いと思う。データの解釈による新しい理論がゲームにどう影響するのか楽しみである。 もくじ第一章 セイバーメトリクスの基礎 第一節 セイバーメトリクスの歴史  1.セイバーメトリクスの始祖ビル・ジェイムズ/2.アスレチックスの快進撃とマネー・ボール 第二節 セイバーメトリク

書記の読書記録#458『実証分析入門 データから「因果関係」を読み解く作法』

森田果『実証分析入門 データから「因果関係」を読み解く作法』のレビュー レビューもとは法学セミナーへの連載で,法学をベースとした統計学の解説である。数式はない分,手法の解説に詳しく,いわゆる文系でも使えるようになっている。 もくじ第1章  実証分析における心構え: これからの「実証」の話をしよう 第2章  実証分析の落とし穴: こんなの絶対おかしいよ 第3章  確率統計の基礎: 高校時代に逢った、ような…… 第4章  OLS: わたしの、最高の友達 第5章  重回

書記の読書記録#457『20世紀ロシア文化全史: 政治と芸術の十字路で』

『20世紀ロシア文化全史: 政治と芸術の十字路で』のレビュー レビューソロモン・ヴォルコフ (ヴォルコフ,S):1944年タジク共和国生まれ。音楽史・文化史研究。渡米後コロンビア大学で教鞭をとる。20世紀後半の旧ソ連の芸術家と親交が深い。著書に『ショスタコーヴィチの証言』『ショスタコーヴィチとスターリン』など。 トルストイの死から始まり,ゴーリキーや,ショーロホフ,パステルナーク,ソルジェニーツィンなどといった作家が,レーニンやスターリンなどといった政治指導者のもとでどの

書記の読書記録#456『司馬遷―史記の世界』

武田 泰淳『司馬遷―史記の世界』のレビュー レビュー1934年,魯迅の弟,周作人来日歓迎会を機に,在学中の竹内好らと共に「中国文学研究会」を設立する。1937年,華中戦線に送られるが2年後に除隊される。1943年,『司馬遷』刊行。 武田泰淳による「司馬遷」観は,後の中国文学の理解に影響を与えた。歴史的人物の成果から人間観を読み取ろうとした痕跡がみてとれる。 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#455『原著5版 ヘクト 光学』(全3巻)

Eugene Hecht(翻訳:尾崎 義治,朝倉 利光)『原著5版 ヘクト 光学』(全3巻)のレビュー レビュー前半は光学全般の基礎事項,電磁気学や統計力学,量子力学の初歩の別表現といえる。後半は幾何光学,ここだけ独立して読むことも可能。 2024/02/04追記: Ⅱ巻では量子力学との関連の深い波動光学,Ⅲ巻ではフーリエ解析をはじめとした応用事項が扱われている。 もくじⅠ 幾何光学 1 簡単な歴史  1.1 はじめに  1.2 初期の時代  1.3 17世紀以降

書記の読書記録#454『新訳 ドン・キホーテ』

セルバンテス(翻訳:岩根 圀和)『新訳 ドン・キホーテ』のレビュー レビュー ここまで支離滅裂かつ本として成立した古典はそうそう無いかもしれない。出来が悪いとみるか,近代を予見したとみるか。 メタフィクションをするということは,語ることへの疑問から始まり,やがて作者の収拾のつかない狂宴へと至る。それを妄想だと唾棄するには時代が早すぎた。例えばなのだが,現代の異世界ものにも,こうした疑問の視点が欲しいところである。 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#453『ミクロ経済学』

奥野 正寛『ミクロ経済学』のレビュー レビュー中級ミクロ経済学の定番であり,基礎理論の見通しがよく,数式に抵抗がなければ本書が第一選択だろう。 使い方として,奥野をベースに補助に神取をつまむか,その逆でもあり。問題集は別に欲しいところ。 もくじ序章:ミクロ経済学の方法と目的 第I部:経済主体の行動と価格理論 第1章 消費者行動/第2章 生産者行動/第3章 市場均衡 第II部:ゲーム理論と情報・インセンティヴ 第4章 ゲーム理論の基礎/第5章 不完全競争/第6章 不確実性