Suzuki Takami (鈴木隆美)

大学教授兼アルゼンチンタンゴダンサー。専門は恋愛論、ジェンダー論、舞踏論、比較文化論、…

Suzuki Takami (鈴木隆美)

大学教授兼アルゼンチンタンゴダンサー。専門は恋愛論、ジェンダー論、舞踏論、比較文化論、フランス文学、哲学、比較文学。時々自分で何を研究しているのか分からなくなる。調査研究のためブエノス・アイレスにタンゴ留学。バツ1からバツ2に移行中。7歳の子供の育児に奔走する日々。

マガジン

  • 『恋愛制度、束縛の2500年史』補遺 または授業草稿

  • 『迷走する日本思想ーあるいは日本思想のクイア性』

    次回作のドラフト(草稿)です。 日本語で考えること、日本思想、日本語をどれだけ外から見れるか、その試みを日本人として、ひとりのマイノリティ、クィアとして、クイアに解釈すること。日本思想は変態であるーを実践するマガジンです。優しく間違いを指摘してくれると大変喜びます。来福の際はイチオシの飲み屋で、一杯おごります。

最近の記事

西田幾多郎と皇室

こんな危ない話も今度の本に書いてみます。、ちょっとだけ草稿を公開。  しかし、西田幾多郎は偉大である。その奇怪な文体に食傷気味になることはあれど、そこに乗れた時にはもうグルーヴ感が発生するしかない。  西田幾多郎は時々ナショナリストに持ち上げられる。それもどうかと思うが、まあ西田自身のせいもある。 とかく西田幾多郎の皇道理解はぶっ飛んでいる。自分で西洋哲学を勉強しまくって、「その骨」を押さえて、自身の哲学に、概念創造に使ってしまう。 絶対矛盾的自己同一。 この西田特

    • Official髭男dism 「ミックスナッツ」 歌詞分析

      言わずと知れた SPY✖️FAMILYの主題歌「ミックス・ナッツ」である。Official髭男dismのパワーとテクニック、メロディメーカーとしての藤原聡の才能、サポートメンバーの見事な演奏が組み合わさり、異色のエネルギーを発している楽曲であるが、その歌詞の秀逸さも見逃せない。現代の愛、家族の問題と人間関係のあり方を非常にうまく切り取っていると思われるので、恋愛論、家族論の枠で分析してみる。 SPY✖️FAMILYという漫画の魅力  スパイもの、アクションものでありながら

      • 迷走/瞑想する日本思想〜Intro

        日本思想史の本を準備していたら、チャットGPTが出てきてしまった。そこで色々と全面的に書き直しているのだけれど、ちょっとだけ、次回作のイントロの草稿でもアップしてみようかと思う。自己批判からの発展へ。 前のバージョンはこんな感じだった。  うーん、色々と改善の余地がある。 西洋哲学の「普遍性」とローカル性 哲学という営為は、どこをどう見てもヨーロッパで形成された文化的産物です。それは古代ギリシャ・ローマの文化、ユダヤ・キリスト教の文化が反発、融合し、歴史の荒波に揉まれ、さ

        • ルジャンドルを読む1

          こんにちは。こんばんは。今日もお疲れ様です。 舞踏論関連で、ルジャンドルを読もうかなと思っていたのだが、大分ほったからしにしていたので、ほったらかしにしていたnoteの再開と共に始めてみようかなと思い立ちました。 ピエール・ルジャンドルは、今年95歳くらいでお亡くなりになった、フランスの最後の超反抗的(?)知識人です。法律の専門家、ローマ法の専門家でありパリ大学の法学部教授にも関わらず、精神分析に手を出して、そのローマからの圧倒的教養、ラテン語の鬼(まあ日本でいう古文の鬼

        マガジン

        • 『恋愛制度、束縛の2500年史』補遺 または授業草稿
          4本
        • 『迷走する日本思想ーあるいは日本思想のクイア性』
          5本
        • 舞踏論
          4本

        記事

          全ての人が求めるもの

          きっと、おそらく、今でも、明日でも、一昨日でも、1年前でも10年前でも、、30年前でも、、状況は何も変わらず。皆、何かを追い求め、分断された脳のネットワークは、それでも相互反応をやめず、、、、、 苦しさと、そこからの逃避と、、 自己防衛と、、それぞれの型が、 個性がぶつかり合い、せめぎ合い、、社会を作るのであろう、 その社会から逃げるために、、踊ること、、、、青と白の、狂気の中を、、何かを求めて、、きっとそれは性的な何かで、、いや性を超えた何かで、意味もなく、意味はある

          全ての人が求めるもの

          意味のない寂しさ

          寂寞とした空、だだっ広い砂丘の中で、自分自身のことを考えた。 僕の家はきっとそれなりの暖かさと、不和と妥協の中にあって、、父も、、母も、、それなりの不満を人生に抱え、意味のよく分からない寂しさを紛らわし、紛らわすことができずに、、、、何かを求めていたのだと思う。、、、そこで、僕は、、幸せと不幸を感じ、そして自分自身を作り上げて、、自分自身を失った、、、 そんなことを考えた、、、 福岡のライブペインティング会場にて。パフォーマンスを見ながらの即興詩。

          新しい自己肯定の型、自己肯定感の作り方の話

          日本的な立ち上げ方、欧米的な私の立ち上げ方は多分違う。 言語が違えばそのスタイルも違う。 もちろん人それぞれで、自分を確立するもしないも自由だし、多種多様な立ち上げ方があるのだけれど、言語による方向づけは必ず存在する。フランス的な自分の立ち上げかた、もっと簡単に、自己肯定感の作り方、という表現でもいいかな。 下手なナショナリズムではなく、国民主体の立ち上げでもなく。ある意味で「時代精神」の表れではあるのかもしれないが、そこからも逃れ去る、自分だけのたちあげ方。それもある

          新しい自己肯定の型、自己肯定感の作り方の話

          曽我大穂/Uzo Hiramatsuー追憶とアルゼンチンタンゴ

          Uzo Hiramatsuのライブペインティングと曽我大穂のライブパフォーマンスに行ってきた。 各人が各人の物語を読み込み、涙する場を提供する、 曽我大穂の不思議な音楽世界 Uzo 画伯が、絵の具とキャンパスとの格闘を繰り広げる最中、 何重にもエフェクターを掛けた、透き通り反復する歌声に乗せられて、 ある種の懐かしさと共に、子供の頃の孤独感が蘇る 3歳の頃、 父親が車で出かけていった、 その後を追いかけた、 追いつくことを疑いもせず、 それがどうしたって自然であった 父

          曽我大穂/Uzo Hiramatsuー追憶とアルゼンチンタンゴ

          サカナクション「新宝島」の歌詞分析

          前置きー現代日本の恋愛分析とは?前著『恋愛制度、束縛の2500年史-古代ギリシアから現代日本まで』(光文社新書) では、椎名林檎の「幸福論」、西野カナの「トリセツ」だけで、某小谷野先生より、「お茶を濁している」と怒られた😅現代日本の恋愛分析です。実は勤務先の授業ではぽこぽこやっていて、ネタは多少あるのですが、どんどんアップデートしていこうと思います。少しずつですが、頑張ります。 今回はちょっと前の曲ですが、サカナクションの「新宝島」。 2015年にリリースされた曲で、ド

          サカナクション「新宝島」の歌詞分析

          和洋の間ー日本語という舞踏

           日本で生まれ育ち、フランスに8年住み、フランス人とのハーフの子供を育てていると、どうしたって和と洋の間について考えてしまう。そのうち本にしようとは思うけれど、なかなか思考がまとまらない。とりあえずのメモ。 言語という思考の道具言葉は思考の道具であり、思考そのものの道筋を前もって作ってしまう。英語とスペイン語はイマイチだが、フランス語なら「これは説得的な論」「これは日本人には説得的だが、フランス語にはならない論」というのがかなりの程度分かるようになった。そんな視点で、明治か

          和洋の間ー日本語という舞踏

          文学研究をマネタイズする

          イケナイことだよこれはイケない。してはいけないし、考えてはイケナイし、出来もしないことだ。カネのことを考えたら芸術がすたる! 嗚呼、文学研究をマネタイズするなど、何たる堕落!!何たるお笑い種!! そんな声が聞こえてきそうである。というか、このタイトルを自分で書いてみた時に、自分の中で自然と聞こえた声だった🤣🤣 文学の凋落文学研究に身を浸して、はや20年。なんとかフランスで博士論文を出版し、勢いで大学教授にしてもらい、自閉症とADHDをひた隠しに隠し続けて、今まで何とか食い

          文学研究をマネタイズする

          現代恋愛と同調圧力ー「素でいられる」理想の恋愛

          大学で恋愛文化史を講義するようになり、はや10年になろうとしている。毎年数百人の学生相手にアンケートしている。その項目の一つに「貴方にとって理想の恋愛とは?」というのがある。 福岡の中堅私立、しかも女子が9割を占める教室でのアンケートであるが、調査を始めて以来ダントツの第一位の答えがこれである 「素でいられる相手との恋愛」 そんなに素でいられる相手が大事か?その関係に惹かれるのか?ウラとオモテを使い分けるのが苦手な僕は、素でいられる、というのが最重要要素だとは思えず、ず

          現代恋愛と同調圧力ー「素でいられる」理想の恋愛

          立花隆の思い出、或いは知のジェネラリスト

          立花隆が逝かれてしまった。知の巨人。本買いすぎて、自宅に図書館作って、その借金返すために原稿書いてる、とかいうエピソードが大好きだった。借金返せたんだろうか。。。 大学生の頃の思い出と谷田君大学生の頃、立花先生の大人気の講義に潜って、なんて適当なこと言ってるんだ、と憤慨してた頃を思い出す。理系の同級生同士で、似たようなことをいって盛り上がってたのはいい思い出。当時は学部の学生で何の専門家でないのに専門家気取りだけは一人前であった。恥ずかしい。そして、文化の普及にあって、ジェ

          立花隆の思い出、或いは知のジェネラリスト

          田辺元の「死の哲学」

          日本思想を語る上で欠かせないのは、もちろん見方にもよるが、例えば福沢諭吉、中江兆民、西田幾多郎、和辻哲郎、九鬼周造、などはさらりとあがる。 ちょっと偏ってみると、柳田國男(毛色が違う)、吉本隆明(マジか?)、柄谷行人(微妙か?)、中沢新一(人によっては怒るか?)、東浩紀(アンチが多そう)、千葉雅也(ファンです、頑張れ〜)などが、するっと(?!)挙がる。 だが、なかなか田辺元は入らないと思われる。西田の影に隠れて、しかも主著が『種の論理〜』など、今で言う人種というNGワード

          田辺元の「死の哲学」

          恋愛輸入論の是非

          初めての一般向けの著書で、ちょっとした遊び心から小谷野敦先生を煽ってみた。基本的に彼の書くものは読んでいて楽しい。特に僕は日本の古典に疎いので、古谷野さんの著書をブックガイド的に使わせてもらったので、ご恩はあれど言いがかりをつける筋合いはないのだけれど。いたずら心から、もしかしたら煽りに反応するのでは、と思って著書にちらっと反論を書いてみた。そしたら、その反応速度の速さたるや😅アマゾンで僕の著書の発売案内がでるやいなや、ツイッターにて反応。読む前から反応するとは、さすがである

          恋愛輸入論の是非

          踊ることって何だろうー世界舞踏史序説

          大学の今年のゼミは踊ることについて哲学的、比較文学的に考えることにしているのだけれど、授業の草稿、ラフスケッチ的なものを、少し。 ちょっと自分語り。踊ること、ファッション、魅せること。そんなこととは三十半ばまで無縁に過ごしてきた。ファッションは中高生のころ憧れた。でも、パリコレのような服をどうやってコーディネートに生かしていいのかまるで謎だった。中高生の頃はとにかく貧乏で、お昼ご飯も食べられなかった。服なぞ贅沢品は買えなかったのである。大学に入りバイトしてからは、裏原なぞを

          踊ることって何だろうー世界舞踏史序説