#265 自律神経と丹田呼吸法とキノコ
■丹田呼吸法
男女の加齢に伴う疾病や更年期障害も、ストレスフルな日々を過ごす若者のメンタル崩壊も、自律神経の乱れに起因するケースが多いという。
めまい、ふらつき、耳鳴り、不眠、吐き気、イライラ、肩こり、頭痛、腰痛、下痢、便秘、内臓の不調、関節痛、筋肉痛、集中できない、不安・・・
自律神経は自律するものだから、自分ではどうしようもないと思われがちだが、食事と生活習慣の改善でよくなるということがわかっている。
ある時、整体師から「丹田呼吸法」が大事だという話を聞いた。
女性の場合、月経の周期と連動する骨盤の開閉のサイクルも重要とのこと。
私自身の経験を思い出した。
柔道の稽古後は畳の上で正座し瞑想するのが習慣だった。
剣道部と空手部は固い板の間に正座するので気の毒に思えた。
中学生、高校生の頃の私は号令する役を担っていた。
「整列! 正座! 乱れた心身を整えよ!
精力善用・自他共栄! 瞑想–っ!」
「精力善用・自他共栄」とは柔道の創始者・嘉納治五郎師範の理念だ。
練習後の瞑想は、ヘロヘロの状態だから体に余計な力が入らない。
筋肉は緊張して乳酸が溜まっているが、呼吸を整えることで全身が緩むような感覚になり徐々に気が集中する。
実際のところ、修行の足りない私は、心の中では「ああ、やっときつい練習が終わった。帰りに仲間とラーメンでも食いに行くべ」と不埒なことを考えつつ、「いかん、邪念を追い払え!うぬー、悪魔め!!」と葛藤していたのであった。
約3分後に再び号令をかける。
「やめ! 礼! ありがとうございました!!」
監督はヘソのあたりをさすりながらポンポンと叩き「丹田で呼吸するんだ」と言っていた。
一体、丹田とはどこを指しているか分からなかったが、へその下の奥のほうを意識しながら息を吸ったり吐いたりしながら瞑想の時間を過ごした。
20年ほど前、明治大学の教育学者・斎藤孝氏の教育講演会の冒頭でいきなり呼吸法の話が始まった。
私と同じ1960年生まれだ。
40代だったあの当時、氏は「丹田呼吸法」を熱心に説明してくれた。
教育講演会なのに。
改めて著作物を検索すると、なるほど!と思った。
身体技法(発声、息、書くことなど)に関することが多い。
教育の原点は身体技法にあり。
以前、noteにそんなことを書いたような気がする。
■武道、スポーツの呼吸法
斎藤氏の講演を聞いた頃、私はちょうどブラジリアン柔術に出会い、たまに道場へ顔を出して少年たちの練習相手をしていた時期だ。
柔術の指導者たちが「戦う時は口でゼェーゼェー、ハァーハァーと呼吸するんじゃなくて鼻で呼吸しろ」と指導していたのが印象深かった。
細かいところは多少異なるものの斎藤氏の話と符合する部分が多いと感じた。
私は呼吸法のトレーニングなんて真面目にやったことはないが、運動やデスクワーク、講義や講演会の前後に息を整えて集中する儀式を取り入れている。
講演でカッコいいことを言おうとしたり、よく思われようと欲を出すと妙に肩に力が入ったり早口になる。
つい口を滑らせて余計なことまで言う。
そういうときこそ、深呼吸しながら「いつもどおり、いつもどおり!」と念じている。
“いつもどおりの私”が正常なのか?と聞かれると、そこは自信がない。
チンパンジーだもの。
こうした儀式で劇的にパフォーマンスが上がるわけではないが、医学的には自律神経を整える一助になっているそうだ。
■自律神経の乱れは万病のもと
呼吸が乱れれば自律神経が乱れ、自律神経が乱れれば、生活のリズムが乱れ、人生にも影響を及ぼすのだろう。
医学的な話で言えば、早朝の朝日を浴びて深呼吸し、セロトニンの分泌を活発化させると覚醒リズムが整う。
夜になったら照明を暗めにして、神経を使う作業はせず、穏やかに過ごすとセロトニンを原料としてメラトニンが活発化し睡眠リズムが整うという。
かかりつけの医師と管理栄養士が言うには、キノコがセロトニンを増やしてくれるとのこと。
管理栄養士のお姉さんから食事メニューの説明を受けた際、「きのこの山はダメですか?」と聞いてみたら、切り返しがすごかった。
「たけのこの里と一緒でダメに決まってます!」
(^0^;)
カツオやマグロもいいらしい。
昨日、病院で再検査したら、中性脂肪が若干オーバーしていた程度で、他の項目はすべて許容範囲だった。
なんて健康体なんだ!
キノコとタマネギ、ビーツ、その他の野菜に感謝である。
いや、妻に感謝か。
体は食べたものでつくられる。
心は聞いた言葉でつくられる。
未来は話した言葉でつくられる。
座右の銘に付け加えておこう。
健康は丹田、五臓六腑でつくられる
※ 五臓については次回へ続く