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弱みを強みに変える方法はあるのか?

「私にはそんな能力はないし・・・」
「うちの会社は強みに乏しく〇〇が弱みなんですよねぇ・・・」

毎日、様々なクライアントとお会いすると、自己肯定感が低い人や組織が多いことに気づきます。

冒頭のつぶやきは、本当に弱みと言えるのでしょうか?本当に自己肯定感を下げるレベルのことなのでしょうか?

1.弱みが強みに変わる瞬間

僕は自己肯定感が低めのセリフを聴くたびに「あぁもったいない」と、すぐに弱みを強みに捉えなおす視点の転換を試みるようにします。思考を整理してみると、起きている事実は一つでも解釈は発想の数だけあります。「弱み」という”思い込み”が、発想や思考がストップする原因であることに気づくこと。これが弱みを弱みで終わらせないためのスタート台です。

先日、あるネット番組でこんなシーンを目にしました。それは、売上向上に悩む商業施設の担当者が百戦錬磨のある経営者に相談をするというものです。

「うちの商業施設は外から太陽の光が当たってまぶしすぎるのが弱点。だからレストランの窓もせっかく景色が良くてもブラインドを閉めざるを得ないんですよぉ。ブラインドを閉めることで外から中の雰囲気が見れなくなって、不安な顧客が余計に入店しにくくなるというジレンマは理解しているのですが・・・」

これに対し相談を受けた経営者は「それは弱みではないですよ。弱みは強みでありチャンスなんです。たとえば太陽の光があたってまぶしいのであれば、光が美しくなるようなスポットに変えればいいではないですか。太陽の光が映えるように、また光が一番キレイな時しか見れない光景の演出や食事を提供するというやり方もありますよね。もちろん、ただまぶしくて暑いだけではダメですが・・・それもブラインドではなく観葉植物を効果的に使うことで”映える”ようにすることは可能ですよね」

つまり、物事は視点の転換次第だということです。

圧倒的な実績を持つ百戦錬磨の経営者が放つ言葉だからか、説得力が半端なく僕自身にも刺さってきました。

2.窮地に陥った時の逆転劇とは?

思い返してみると、確かに僕自身にも思い当たる節があります。弱みという壁にぶち当たり、自己肯定が下げかかってきたとき、「視点を転換して逆に弱みを利用」した経験があるのです。

起業して間もなく20代半ばでコンサル業を始めた時、若造に経営アドバイスという仕事なんて誰もくれませんよ。かといって、人脈をつくったり、電話・訪問営業などプッシュ型の営業が苦手な自分。そこでプッシュ営業が苦手である弱みを逆手にとって、プッシュ型ができないからこその強みを創ろう。そう考え、2000年代前半にはまだ少なかったメルマガ発信、小冊子の執筆と配布、日記システム(ブログがない時代)など格好よくいえばコンテンツマーケティングでプル型営業(こちらから営業に行かずに向こうから問い合わせをもらうスタイル)を確立して飛躍のキッカケをつかみました。情報発信をすればプッシュ営業でこちらからアクションとらなくても、問い合わせをもらえるので、プッシュ営業ができない弱みではなく強みだったというわけです。

また、運よく見込み客に声をかけてもらったコンペ案件の時、競合は皆著名コンサル会社。知名度、ノウハウ、実績、すべての点で劣り、もはや弱点しかない状況がありました。そこで、何も持っていませんけど、だからこそ「前例や一般論に終始しない視点を提供できます!」「スピード対応します!」「複雑な経営用語も使わず(本当は自分のレベルが低く分かってないだけ)、気づきと勇気を提供します!」、こんなスタンスが実用性が高いと評価され、大手クライアントをバタバタと獲得していったこともありました。

さらに、研修のプロジェクトのオファーが来た際に、またもや立ちはだかるのは実績がある老舗大手研修会社という競合。弱点しか感じていなかった僕は冷静に思考を整理していきました。当時の僕には知名度、華々しい実績や経歴はありません。また競合のように複数のパッケージ化された研修商品のラインナップはありません。それでも、「貴社の状況に合わせて実効性のある研修プログラムを完全オーダーメードでつくります!」、こんな切り口でまたもやバタバタと競合をなぎ倒して受注拡大に成功したことさえあります。オーダーメードは手間がかかるので扱いたくない競合企業の弱点を突く形になったという事情です。

もはや、挙げだせば大きな出来事から小さな出来事まで枚挙に暇がありません。

こうして自分を振り返ってみても、「弱み」とは勝手に自分が定義をしてしまっているだけのことです。実は視点を転換すれば、弱みではないのかもしれません。もっといえば、弱みと感じたことは「強みが生まれるチャンス」なのかもしれません。

では、本題です。

「弱みを強みに変える方法はあるのか?」

その答えは、十分あり!です。

「弱みを強みに転換する仮説を立てること」です。

そこで、僕がやる極めて簡単な方法をご紹介しましょう。

3.弱みを強みに変える5ステップ

(その1.)準備段階
まずは、メモかノートを取り出してください。発想(仮説)の自由度を高めるために罫線ではなく方眼用紙をおすすめします。罫線だけだとちゃんとキレイな文章を書かなければいけないという強迫観念が沸いてきて思考が狭くなってしまいます。キレイな文章が頭に浮かばない限りアウトプットしづらいからです。

(その2.)「思考の整理」段階
方眼用紙の真ん中に縦の線を引いて左右にページを分けてください。左側には「弱み」、右側には「強み」という小見出しをつけます。弱みを、どう強みに転換するのか見える化して冷静に書き込める枠組みをつくります。頭の中だけで考えると「あ~でもない、こ~でもない」と堂々巡りするか、ネガティブな感情に引っ張られてしまうリスクがあります。あくまでも書き出してみることで、思考を整理しやすくします。

(その3.)「弱み」のアウトプット段階
紙の左半分に箇条書きでよいので、感じている弱みを全てリストアップします。これは見える化という作業以上に、弱くてネガティブな感情を吐き出す効果もありますので、この際、根こそぎ出し切ってください。もうこれ以上ない!というくらいでちょうどいいです。

(その4.)「強み」への転換段階
今度は、左半分に書き出した弱みリストを眺めながら、強みに変換するならどうなるか?という仮説を立てて、どんどん右側にも書き出していきます。この際に大切なことは、”思い付き・実現性ゼロ・オバカなアイデア”など何でもOKです。まずは、考えうる限りの選択肢を出し尽くすのです。

(例1)デジタル対応できていない→アナログの良さを前面に出す
(例2)日本一猛暑でしんどい街→激辛グルメフェスをやって街に集客する


※例2.は群馬県館林市で実際にあった話です。館林市は猛暑日の連続記録日数が日本記録を持っているほど夏は猛暑が厳しい土地です。そこで、猛暑の街という弱みを活用して(逆手にとって)、「激辛グルメ総選挙」を行いました。猛暑の中でさらに汗ダクになるという試みです。取り組みがユニークだとしてNHKや全国ネットのワイドショーでも連日取り上げられて街への集客も大成功だったという事例です。

※関連書籍   

  
(その5.)「案の絞り込み段階」
最後に実際に使える案なのか、効果はどの程度なのかを見極め「強みとなる案」を絞り込んでいきます。個人的には、「実現度」と「効果度」の2軸でマトリクスを使って整理していくことで客観的かつ合理的判断がしやすくなります。

※番号は優先順位を表しています。

このように、「弱み」は自分の思い込みに過ぎず、「強みに変えるチャンス」にもなる。そう気づくことから始めましょう。固定観念がどれだけ人や組織の可能性にフタをしているのかという話です。これが最大の注意点です。

ポイントは、強みに転換するためには紙とペンを用意し、必ず見える化すること。絶対に頭の中だけで考えないことです。紙にアウトプットした瞬間から脳はその文字を他人が書いた文字のように判断し、ネガティブな感情に引きずられずより客観的になれます。だって他人のことなら、客観的に的確なアドバイスはできますよね。

紙に見える化さえすれば、後はパズルやクイズをするかのように、弱みを強みに転換しながら思考を整理していきます。ポイントは深刻に考えすぎないことです。他の人も巻き込んで一緒にゲームをするかのように強みへの転換アイデアをリズムよく出していくことです。たとえるなら、笑点に出演するイメージ。これがミソです。笑

なんだか、こうしてnoteに書いてみると特別目新しい内容でもありません。

ただね、問題が発生した時、情況が悪化している時は冷静になれず、いったん「弱み」「弱点」と自己認識してしまうと思考がストップするリスクがあります。だからこそ、基本的な思考の整理法に立ち返って弱みに負けない思考づくりをすることが大切なのです。

個人のキャリア、企業の経営、すべてにおいて普遍的な方法として自分にインストールしておいてください。

お役に立てば幸いです。

著者 : 思考の整理家 鈴木 進介


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