夢だけで飯は食えるか??
起業したい、転職したい、「でも、どうしよう・・・大丈夫かな?」
キャリアをシフトする際に、様々な不安が僕たちを襲ってきます。
また実際にシフトチェンジしてからも、どこかで不安が付きまとい、なかなか離れてくれません。一体全体、この不安は何なのでしょうか?
とどのつまり、「お金の不安」が大半を占めているのではないでしょうか?
もちろん、配偶者や親に反対されることや新たな仕事での人間関係、またはスキルの問題など他にも不安要素があるかもしれません。
でもね、最終的には”食っていけるかどうか”というお金に根付く不安が奥底にはあるのではないかな?と思います。
少なくとも早くに起業した僕や40歳を越えてから転職した友人など、酒を飲みながら本音ベースで語ると、行き着くところはお金に関する会話だったりしています。(私見ベースですが)
そこで、キャリアを構築していく上でお金の不安とどう向き合うべきか?また、実際問題、ロマンとお金は両立するか?について考えてみたいと思います。
1.キャリアは2軸の切り替えで前進を
キャリアに関しては、起業にしろ転職にしろ勢いだけではどうしようもない現実があります。お金と向き合い、夢とお金の関係性などをしっかりと思考の整理をしておくこと。
これなくして、突っ走ったところで、お金で行き詰まり夢への道の途中でリタイアということに陥りかねないのです。
まず知っておくべきこと、それはキャリアを形成する上での働き方は2つあるということです。
「ライスワーク」と「ライフワーク」です。
「ライスワーク」・・・食うための仕事
「ライフワーク」・・・夢を追いかける仕事
少し、雑ですがそれぞれ上記のように定義づけたとしましょう。
”ライス”とは、もちろんお米という意味です。お米を食べれて問題なく食事ができるような状態にすることに主眼が置かれた仕事という主旨です。
”ライフ”とは人生という意味です。人生をかけて(たとえお金がなくても)果たしたい夢を追いかける仕事という主旨です。
起業や転職はじめは、「ライフワーク」で夢やロマンを求める気持ちが強く、鼻息が荒い状態です。
環境に負荷をかけないエネルギー源を開発したい!AIで安く精度が高い健康診断を提供できれば医療革命を起こせる!などの起業において。
また、自身の海外駐在の経験を活かして新興国で物流網を構築するプロジェクトに携わりたい!商品開発部でデザインしていた経験を活かし、今度はソフトウェアのデザインからサービス企画まで発想力とセンスを生かしたいという転職において。
しかし、どうでしょうか?
起業してもすぐに成長してお金を得られるなんて保証はありません。むしろ一般論ですが3~5年は薄給に甘んじ、給与をとることさえできないリスクもあります。(僕の場合は起業から4年間、月給12万円を超えたことがありませんでした)
また、転職しても絶対的に希望の部署につき給与が上がっていくとは限りません。
つまり、「ライフワーク」100%というわけにはいかないフェーズがあるわけです。
そんなとき、もう一つの尺度である「ライスワーク」という軸の登場です。「お金や生活の安定なくして夢は追えない」という現実を直視するフェーズです。
ライスワークやお金の安定なくして、ライフワークで夢だけを追いかけていても、途中で行き詰まってしまう現実があります。
ミッションやヴィジョンなんて言っている場合ではないというケースもあるでしょう。
だからこそ、たとえ夢をいったん脇において保留にしても、ライスワークに専念して生活を安定させ、立て直すことも必要になります。
何が言いたいかというと、ロマンや夢だけでは前進しない、ライフワークとライスワークをうまく切り替え、バランスをとることでロマンや夢に近づいていくこと。
これがキャリアに求められるということです。
2.アーティストは夢とお金が一致しているか?
この話をすると、必ず反論が返ってきます。
ライフワークとライスワークは両立するのではないの?2軸に切り分けて、使いこなすという考え方ではなく、はじめから一致する状態(重なるポジション)を目指せばいいのでは?とね。
これはおっしゃる通りです。理想だと思います。
現に、アーティストやサッカー選手は、見事に一致しているようにも見えます。しかし、本当にそうでしょうか?
僕は以前、某大物男性シンガーソングライターのコンサートに行きました。その際に、MCの時間に話された言葉が印象的で未だに覚えています。
「それなりに売れてお金も入れば、人は、いいですね!好きなことやってお金もたくさん入ってと言うんだよ。でもね、それは表面的な話であって、やりたいこと(ライフワーク)をやり続けるためにも、気が進まないけどやりたくないこと(ライスワーク)もしなければいけない現実があるんだ」と。
「また、売れっこになるまでにも、バイトで生活を支え、スタジオ代・楽器代を稼ぐフェーズが現実的にはある(ライスワーク9割に終始する時期)」
「売れたら売れたで、たとえばCMやドラマのタイアップ曲であれば企業スポンサーの要望やイメージに合わせなければ採用されないから、自分の創造性の自由はかなり制限されてしまう。これはとても苦しいこと。自由になりたくてアーティストになったのに・・・(ライスワーク)」
「でもね、自由が制限された中で、また生活のためだけにやる時期や場面があったからこそ、それが糧になって本来やりたかったことが続けやすい立場にもなれたんだ(ライフワーク)」
「だから、今日は皆が知っているようなヒット曲ばかりではなく、やりたい曲も自由にやらせてほしい。皆が知らない曲だと、ノリが上がらない気持ちはわかるけど・・・あとで有名なヒット曲を絶対にやるからね、まずは(あまり知られていない曲だけど)自分が気に入っているこの曲から・・・(ライフワーク)」
いやぁ、しびれたね。
ちなみに、このMCのセリフ、それは”福山雅治”さんの男限定ライブでの一コマでした。
(※うろ覚えの記憶で会場アナウンスのナレーション内容とミックスして書き起こしたので主旨だけ表現)
夢とお金が完全に一致したように見える一握りの人でもね、ライスワークとライフワークのはざまの中で己をブラッシュアップし続け、成長するからこそ大きなヒットが生まれている現実があるように思えますね。
3.アクセルとブレーキを使い分ける
せっかく転職や起業したのになかなかうまくいっていなくて、浮かぬ顔をしている知人・友人が複数いるのですが・・・
ライスとライフの言葉の使い分けをフェーズごとにやった方がいいのでは?と思いますね。
たとえば、はじめはライスワークが9割、ライフワーク1割にして、段階的にライスワークを5割まで落としていくなどの考え方です。
ライスワークかライフワークかという二者択一で物事を考えがちな人も多いもの。でも、本来は、しっかりとフェーズに応じた思考の整理が求められます。
<キャリア形成における7ステップ>
①ライスワークは何か?をリストアップ
②ライフワークは何か?の明確化
③夢への道程は何ステップで行くか?の検討
④道程(フェーズ)ごとの比率を設定
⑤フェーズごとのtodoをリスト化
⑥定期的に比率とtodoの見直し
⑦ライスとライフの完全一致
とくに、比率をフェーズごとにどう設定するかの④は重要です。
ライス重視だと、本末転倒になってしまいます。
ライフ重視だけだと、目先の生活が安定しません。
その意味でも、状況に応じて比率を見直すため、定期的に振り返って「じぶん会議」をすることが求められるのです。
言い換えれば、「ライフワーク」で人生のアクセルを踏む一方、目の前のお金や生活という現実を直視して「ライスワーク」でブレーキも踏んで、少しずつ前進していくこと。
焦る気持ちも芽生えることでしょう。
しかし、夢の実現や自分にとっての成功のチャンスは、丁寧に”下ごしらえ”をライスワークとライフワークの両軸でし続けていると、突然大きなものがやってきます。
だからこそ・・・
決して焦らず、でもスピーディーに!
派手に転ばないように、コツコツと!
以前、投稿した記事もご参照ください。
4.キャリア形成に思考の整理が必要なワケ
今回は、キャリア形成には、ライスワークとライフワークの2軸で整理していくことが必要とお話してきました。
でもどうでしょうか?世間ではSNSなどで、「はやく行動しろ!」「圧倒的努力が必要だ!」などと行動を煽り立てる自己啓発メッセージがあふれています。
そこに何の異論もありません。
でもね、やはり無鉄砲に丸腰状態で全速力しても、大きく脱線し、凹んでしまうリスクもあるわけですよね。
定期的に立ち止まって、じっくりと自分の頭で考え、整理すること。
これなくして、自分のキャリアの形成、そして夢に向けた前進は難しいのではないでしょうか?堂々巡りのリスクもありますからね。
今、自分は何に集中すべきだろう?
頭を整理して、シンプルな意思決定ができれば、フェーズごとに課題をクリアし、やがて自分が描いたキャリアに到達するのではないでしょうか?という持論でした。
何かのお役に立てば幸いです。
著者・思考の整理家 鈴木 進介
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