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思考を整理するお手軽ノート術を公開

先日、『思考の整理はスマホとノートのどっち?最終決着!』という記事を書いて反響がありました。結論はというと、ノートへの手書きに軍配が挙がりました。今回は、どのようなノートの取り方をすればよいのかというテーマでお届けしたいと思います。

※前回のあらすじ↓

1.ノートが良いか、メモが良いか?

その前に、そもそもノートが良いのかメモが良いのかという話も決着をつけておかなければいけませんね。結論から言えば、どちらでもOKです。前回ご紹介したように、「書いて見える化・客観視」が大事、僕は「方眼紙スタイル」というお話をしました。これさえ理解すればいずれでも大差はありません。

敢えていうなら、目的に応じて使い分けることです。打ち合わせ内容やアイデアを記録として整理していくのであればノートで蓄積を。思考を整理することのみに特化するのであれば、メモの活用を。こうして目的別に使い分けるのです。

ちなみに僕の場合、記録性が伴うものはPCかスマホが基本ですが、サブでノートも持ち歩いております。一方、頭の中のゴチャゴチャを止めたいという整理のみの場合は、ノートは敢えて使いません。メモと異なり、他のページの言葉に思考が引っ張られてしまい堂々巡りのリスクがあるからです。

メモで整理してはすぐにゴミ箱へ、手元にノートしかない場合は思考の整理が終わればちぎってゴミ箱へ。こうして毎回スッキリと始末をつけていくスタイルが、ゴチャゴチャ頭をスッキリ頭に変える個人的な秘訣なのです。

今回は、頭のゴチャゴチャとモヤモヤをとるための整理のみを目的にした個人的な「お手軽ノート術」をご紹介します。※キレイにメモをとって整理する目的とは少し主旨が異なりますのでご容赦くださいね。

2.「分割型」ノート術が思考整理の基本

頭の中のゴチャゴチャとモヤモヤを分割して種類ごとに分ける書き方です。
たとえば、「自分でコントロールできること/コントロールできないこと」「短期/中期/長期」「Plan/Do/Check/Action(PDCA)」「Why/What/When/Who/Where/How(5W1H)」のように、はじめに”文字の収納棚”を紙に線を引いて設けておけば、後で整理することに比べてスピーディーにできます。
もちろん、いったん頭の中にあるものをすべて紙に書き出したうえで整理しても良いのですが、どう仕分けていけば良いのかグルーピングが面倒くさくなる可能性があります。

季節の変わり目に行う衣替えも、下着と上着、上着でもインナーとアウターでは棚を分けて収納しますよね。衣類の整理と頭の整理も同じ原理です。はじめに、収納する棚を分割しておくことが肝心というわけです。

たとえば、僕が主催している読書会にて参加メンバーの一人は、僕がアドバイスしたとおりに実践し美しい整理法を確立されています。推奨している「ロルバーンのランドスケープ」というノートを購入し、分割スタイルで要点を整理してインプット力を高めています。

写真にあるノートのページは、読書会で活用された書籍のタイトルで4分割した例です。紙を大胆に4分割、中心にタイトルを書いてそれぞれの要点をまとめていっています。ポイントは左上にタイトルを書いて上から順番に書いていないことです。タイトルはあくまでもノートの中心に置き、放射状に広げていく感じで記入しています。

上から書くと思考が変に規則正しくなっていき発想の自由度、解釈の自由度が低下します。また、上から順に書くと上の記入分が無意識のうちに優先順位が高く見えてしまう錯覚のリスクや、上に書いたものは下に書いていくものに比べて過去のものになっていくため記憶への定着も低下します。

そのため、「ロルバーンのランドスケープ」を使うことで、中心にタイトルを置いて分割することがポイントとなります。

※以下ランドスケープという方眼ノートの特設サイトより写真を引用
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このノートの最大の特徴は、はじめから分割して活用することを前提に制作されている点です。分割の目印となるドットの位置が刻印されている優れもの。このノートが発売されたときほど共感し僕の整理パターンに沿ったノートはないなと思わされた秀作です。ノートをプロデュースした文具ディレクターの制作経緯もサイトからご一読ください。

問題は、どのような分割の”軸”があるのか思い浮かばないリスクでしょう。そこで、一般的によく使う整理のための”軸”をまとめた書籍を参考書がわりにすることをお勧めします。拙著ではありますが『問題解決のためのセパレート思考』という書籍です。

衣類の整理はタンスを種類ごとに分けて使う日常、スタバに入るとプラスチックと紙、可燃と不燃に分けて捨てる日常。どうして頭の中の情報やゴミの仕分けは行わないのでしょうか?
それは物理的に目に見えないからです。
だからこそ、ノートを分割してどんどん書き込むだけで、実感を持ってお手軽に整理を可能とするのです。

3.分割型ノート術の実践方法

<目的>
とりあえず、ざっくりと整理をしたい。
スピーディーにゴチャゴチャとモヤモヤを消したい。

<ノートの手順>
(1)整理の軸をはじめに考える
(2)ノートやメモを分割する
(3)頭の中にあるものを書き出す

4.まとめ

今回は、「分割」という形式にこだわったノート術をご紹介してきました。
ここで分割することの効用についてもまとめておきたいと思います。

(1)何に重点を置くべきかが分かる

例えば「メリット/デメリット」「短期/中期/長期」で分割するとしましょう。どういう分割をすればよいのかをはじめに考えることで、何に重点を置いた整理をしたいのか自意識の顕在化ができます。

自分が意思決定をしたいのか、時間軸でやるべきことや目標を整理するのかなど、そもそも自分が何を整理したいのかを考える行為は、やみくもに整理整頓することと比較すると、仕事でも実効性がある整理へとつながっていきます。

見た目のキレイさよりも、整理した後にどう行動するのか?の糸口が意図をもった分割(ノートの初期設定)により可能になるのです。

(2)物事を具体的に捉えられる

なんとなく、あいまいな状態で紙に文字を残しておくと思考が深まりません。頭の中にあるものを吐き出すという点ではスッキリはすると思います。しかし、頭のスッキリが最終着地点ではなく、こと仕事につながる整理をするのであれば、整理されたゴチャゴチャとモヤモヤが具体化してパーツとして機能する必要があります。

「思ったように顧客開拓が進まない・・・」「結局、残業が減らないじゃないかー!」と紙に書いたところで、ストレス解消以上の前進は難しいのが現実です。そこで、例えば「顧客開拓が進まない」という表現を「顧客側の問題」「自社の問題」「競合の問題」という3つの視点で分割してから記述してみます。
すると、どうでしょうか?ある程度、次につながる具体的な情報の整理になるように、自然と思考が深まっていきます。逆に言えば、思考が深まり次につながるような整理をする意味でも、頭の中に抱えるテーマの要素を分解してノートを分割する切り口に活かすのです。

(3)問題のサイズを小さくできる

頭のゴチャゴチャとモヤモヤを抱えている時、それはたいてい何かの問題にぶち当たっている時ではないでしょうか?問題が起きている時、人は実態以上に問題を大きく捉えてしまうことがあります。
なぜなら、問題に直面すると悲観的な感情が湧き出てきていらないことまで考え、妄想が広がってしまうからです(一種の被害妄想)。実際は着手してみると、「あれ?意外に処理が簡単だったな」という経験もあるのではないでしょうか?

そうなんです、感情が介在してくると途端にネガティブな妄想で頭の中が包まれていきます。そこで感情が入り込む余地がないように、問題に直面した瞬間に分割したノートに書き出します。こうすることで、一見すると大きく見えた問題も、瞬時に小さくなります。3等分すれば着手(着目)すべき問題サイズは3分の1に、4等分すれば4分の1にダウンサイジングが可能になります。

ピザは、まるかぶりせずに切って小さく分けてから食べますよね。ホール型のケーキを買っても小さく切ってから食べますよね。ケーキをまるかじりしている人など結婚式の二次会で泥酔している参加者くらいしか見たことがありません(それも10年に1回の割合)。それなのに、なぜ問題に直面すると、頭の中のゴチャゴチャやモヤモヤをまるかじりしようと頑張ってしまうのでしょうか?

肩に力を入れて頑張る暇があれば、小さく分割して「不安」のサイズも小さくした方が精神的にも安心でしょう。分割ノート術は、メンタルケアにも一役買っているというわけです。

「問題を分割すれば9割解決したのも同然だ!」
(※残り1割は、即時大量行動)

これは僕の思考整理のポリシーでもあります。

いかがだったでしょうか?

今回お話した「お手軽ノート術」とは、「分ける」ということがキーワードになっています。どんどん分けて、散らかる前に収納し、サイズを分けて不安は払しょく。次にどんな行動につなげるべきか具体化していく算段でノートをとることは思考整理の特効薬となることでしょう。

ぜひ、お試しあれ・・・

何かのお役に立てば幸いです。

著者 : 思考の整理家 鈴木 進介


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