第一印象がなぜ重要なのか? 「初頭効果(プライマシー効果)」
初頭効果(プライマシー効果)
初頭効果(プライマシー効果)(primacy effect)とは、
最初に与えられた情報が印象に残って長期記憶に引き継がれやすく、後の評価に影響を及ぼす傾向
です。物や物事の第一印象が長期間に渡って残るのは、この初頭効果の影響です。
ポーランドの心理学者ソロモン・アッシュ(Solomon Eliot Asch)が、印象形成において、情報の提示の順序によって、形成される印象が異なることを見出し、提唱したものです。
初頭効果に関連して、最後に与えられた情報や直前に与えられた情報が印象に残り、評価に影響を及ぼす親近バイアス(Recency bias)と最初と最後の情報に記憶は集中し、真ん中の情報は比較的忘れやすい「系列位置効果 (Serial position effect)」があります。
また似たバイアスとして、「ハロー効果」があります。ハロー効果とは、
ある対象を評価をする時に顕著な特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる現象のこと
です。よって、最初に得た刺激が、のちの判断にも影響を及ぼすのが、ハロー効果です。
発売に先行する広告は、この初頭効果を狙ったもの
最初に与えられた印象が残ることを利用して、ポジティブなイメージを形成するために、携帯電話や車など、発売前にインセンティブな広告を展開するのは、この初頭効果を狙ったものです。
投票用紙に最初に記載されている候補者が70%以上の確率で当選する
イェール大学の研究者Jonathan JS Koppellとボストン大学の研究者Jennifer A. Steenは、2004年に行った「The Effects of Ballot Position on Election Outcome」という研究(※2)で、プライマシー効果の影響を実証しています。彼らは、ニューヨーク市の選挙では、投票用紙に最初に記載された候補者が70%以上の確率で当選することを発見しました。この研究は、1998年にニューヨークで行われた民主党の予備選挙をもとにしたもので、選挙の投票用紙に記載された候補者の名前は、その地域の異なる選挙区の間でローテーションされていました。79件の個人指名争いのうち71件では、候補者が投票用紙に記載されているときの方が、他のポジションに記載されているときよりも、より大きな割合の票を獲得していました。この71件のうち7件では、投票用紙に最初に記載されていることが、勝者の勝率を上回っていました。このことから、すべての選挙区でどちらかの候補者が首位を占めていた場合、投票用紙の位置が選挙結果を左右していたと考えられます。
何故起こる?
わたしたちは、最小限のコストで、判断するための情報を収集し、ストックしようとします。記憶は要約を好みます。この要約を好む傾向が、頭と尻尾、要約、クライマックスで、出来事や存在の印象を形成します。これが、初頭効果など記憶に関わる偏りが生まれる原因です。
対策・応用
対策:評価基準を設ける
初頭効果の偏った影響を排除する工夫として、初頭の刺激を受ける前から購入なら意思決定のモデルを設けておくのが有効です。
応用:第一印象の形成の仕方を学んで実践する
印象の作り方については、こちらに詳しく書きました。
関連した認知バイアスなど
•親近バイアス(Recency bias)
過去の出来事よりも最近の出来事を好む傾向
•系列位置効果 (Serial position effect)
最初と最後はよく記憶できるが、真ん中はあまり記憶できない現象。
•ピーク・エンドの法則 (Peak-end rule)
過去の経験をその時間や経過ではなく、その絶頂時にどうだったか、ならびにどう終わったかだけで判定する傾向。
•ハロー効果(Halo effect)
ある対象を評価をする時に顕著な特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる現象のこと
認知バイアス
認知バイアスとは進化の過程で得た武器のバグの部分。紹介した認知バイアスは、スズキアキラの「認知バイアス大全」にまとめていきます。
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参照
※1:Why do we only remember the first things on our grocery list?
※2:Koppell, J. G., & Steen, J. A. (2004). The Effects of Ballot Position on Election Outcomes.
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