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認知バイアス大全

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賢い人も含めて、わたしたち人間が「頭の悪い行動をしてしまう」理由は、だいたい認知バイアスによるものです。認知バイアスとは、進化の過程で得た機能の「バグ」。この認知バイアスの良いと… もっと読む
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2021年5月の記事一覧

236の認知バイアスの一覧

認知バイアスとは認知バイアスとは、人間にある思考や判断の偏りです。わたしたちは、認知バイアスを知らないことで、知らないうちに合理的ではない判断をしたり、記憶を歪めたりしています。しかし「認知バイアス」の知識を獲得すると、こういった人間のバグを回避できるようになります。 認知バイアス「認知バイアス大全」マガジンにまとめています。 認知バイアス一覧

地震や津波を神の怒りと考えてしまう「主体の察知」

噴火や地震を誰かの仕業と考えてしまう山が噴火したことをみて人間が「神の怒りだ!」と人間は捉えてしまうことがあります。これは古代に限らず、現代でもあります。火山の噴火は自然現象なのですが、人々は、そこに意志を持った何者かが存在していると考えることがあります。それを主体の察知(Agent detection)と言います。認知バイアスの1つです。 主体の察知 主体の察知(Agent detection)とは そこに意志あるものが存在しているという思い込み 森のなかで小枝が折れ

成果バイアス 「結果しかみない危険」

成果バイアス 成果バイアス(outcome bias)とは、 ある出来事のプロセスを軽視し、結果のみに注目する傾向 特に良い結果のときよりも悪い結果が起きたとき、その結果のみをとりあげて、倫理的な非難が起こるときなどは、この成果バイアスによると考えられます。によるものである。 本来、物事はさまざまな要因によって結果が生まれます。なので、出来事に関与した人物の意思決定が、その出来事に対して、人物のコントロールを超えた部分は、人物の責任の範疇にありません。しかし結果に過度に

ビジネス書にある“生存者バイアス”という盲点

「認知バイアス大全」マガジン認知バイアスを集めたマガジン「認知バイアス大全」。200を越える認知バイアスを紹介しています。 成功したひとの話にある落とし穴ある事故や事件が起こったとき、生き残った人々の話を聞くことができますが、死んでしまった人々の話を聞くことができません。聞くことができる、生き残った人々の話だけをもとに状況を判断することで、その事故・事件について考えることで歪みが生じます。これを生存者バイアスといいます。たとえば、ビジネス書。ビジネス書では、よく成功した企業

「日頃の行い」と「運」は関係あるか? 認知バイアス“道徳的な運”

認知バイアス大全236ある認知バイアスを紹介するマガジンです。 「日頃の行いと運は関係あるのか?まだ科学が存在していなかった時代は、道徳と運は強く結びついていました。「悪いことをした人は、いつか罰せられ、良い行いをする人々は、いつか報われる」この考えが、わたしたちの行動に規範を与え、それに則ってわたしたちも行動していました。今でもほとんどこの信念を人々はほぼ無自覚に信じています。わたしたちは、道徳的に行動することを望みます。しかし、この行動を規定していた宗教やスピリチュアル

痛い目に遭ってしまうと正しくても同じ行動はしたくなくなる「非適応的な選択の変更」

非適応的な選択の変更 非適応的な選択の変更(Non-adaptive choice switching)とは、 ある選択をした結果、悪い経験をするとその選択が最適だったのにも関わらず、再び同じ場面に出くわしたとき、最適だった以前した選択を避ける傾向 「一度噛まれると二度目は弱腰(Once bitten, twice shy)」とか「熱いストーブ効果(hot stove effect)」とも呼ばれます。 認知バイアス紹介した認知バイアスをマガジンにまとめています。 フォ

わたしたちは確率にめっぽう弱い「確率の無視」

確率の無視 確率の無視(Neglect of probability)とは 不確かな状況下では、確率を完全に無視する傾向 アメリカ合衆国の法学者、キャス・サンスタインによる展開された認知バイアスです。私たち人間は、リスクを直感的に把握することができないため、さまざまな脅威をうまく区別することができません。そして放射能や致死率の高い感染症などの深刻な脅威に対して、リスクが減るということに私たちは、あまりできません。 脅威の大きさには反応するが確率には反応できない 197

投資家が損切りできない理由 「ディスポジション効果」

認知バイアス大全マガジン認知バイアスとは、人間が進化の過程で獲得した生き抜くための工夫……のバグ部分。人間の不思議に不合理な行動や判断の原因です。そんな認知バイアスを集めてマガジンにしtのが、認知バイアス大全マガジンです。 株が、値上がりしたときには売りたくなる。値下がりすると売りたくなくなる。株が値上がりしたときには売りたくなり、値下がりすると売りたくなくなる……。株式投資あるあるですが、これは、人情というよりも人間の「損をしたくない」という気質がそうさせるもので、広く見

貨幣の実質の価値なんて把握するのはしんどい「貨幣錯覚」

貨幣錯覚貨幣錯覚(Money illusion)とは 実質値ではなく名目値に基いて物事を判断してしまう傾向 本来、貨幣価値の変化を考慮した購買力によって判断しなければならない時に、金額を通じて判断を行なってしまうこと。貨幣の中立性が成立しなくなる一要因である。 本来、貨幣そのものには価値がなく、貨幣が「どれほどのものと交換可能か」ということが貨幣の価値を決めています。ゆえに世紀末を描いた映画なので紙幣を「もはや紙くず」と表現することがありますが、あれは紙幣に商品や何か物

「銃を持ったら撃ちたくなる」「ハンマーを持ったら叩きたくなる」 道具の法則

「チェーホフの銃」のようロシアの劇作家アントン・チェーホフの説く文学的技法に「チェーホフの銃」と呼ばれるものがあります。劇中に銃が出てきたら、その銃が使われないといけない、という意味です。「ストーリーには 無用な要素を盛り込んではいけない」ということです。こんな チェーホフの銃に似た認知バイアスがあります。それは「少年のハンマーを持たせたら、少年は何でも釘のように扱いたがるようになる」というもの。これを「道具の法則」と言います。 道具の法則 道具の法則(Law of the

「投資したことを途中でやめるのは難しい」 「理不尽な継続」とは

理不尽な継続理不尽な継続(Irrational escalation)とは、 信じてコツコツと継続してきたことが、間違いだということが明らかになってもそれを継続してしまう傾向 継続してきたダイエット法が効果がないことを明らかにされても継続したり、新興宗教の間違いに気づいても脱退できないなどの行動傾向もこの理不尽な継続に該当します。「サンクコストの誤謬(sunk-cost fallacy)」とも呼ばれています。「コミットメントの継続(Escalation of commit

後悔をせず、生産的になれる「サンクコスト効果」という知識

時間とお金と労力をかけてきたことをやめにくい 「コンコルドの誤謬(日本では「コンコルド効果」と呼ばれることが多い)」という人間の不合理な行動傾向があります。コンコルドというイギリスとフランスが共同開発した超音速旅客機がありました。1976年に運航が始まり、2003年に運航を停止しました。運航の停止の理由は赤字。実は開発時点で「こりゃ完成しても採算が取れないな」ということが分かっていました。研究開発費は4000億円。そんな金額と労力をかけていたので「やめたほうが良いと思います

「温かいものを飲むと人に優しくなる」内受容バイアス

内受容バイアス内受容バイアス(Interoceptive bias)とは、 身体に関する感覚的な知覚が、外部の、無関係なものに対する判断に影響を及ぼす傾向 例えば、仮釈放について判断を下す審査員が、食後休んだあとには寛大な判断を下すなど。 認知バイアス大全紹介した認知バイアスをマガジンにまとめています。 参照※1:Extraneous factors in judicial decisions ※2 :Interoceptive cues predicting ex

「マストバイな家電ベスト5」に潜む盲点:「サンプルサイズに対する鈍感さ」

わたしたは代表された数字に弱い 「マストバイな家電ベスト5」や「顧客満足度98%」などの表現にふれると「どれどれ」と興味が湧いたり、良いものかも?と信頼性が芽生えそうになったります。これは何かというと代表的ヒューリスティクというものなんですが、言い換えると「直感」です。わたしたちの直感は、信用できるものとあまりできないものがあります。今回は、あまり信用できない直感のひとつ「サンプルサイズに対する鈍感さ」を紹介します。 サンプルサイズに対する鈍感さ サンプルサイズに対する