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思い出を束ねる。

先日のこと。
自宅の本棚の整理をしている時に、
好きな本と再会しました。
いつもは視線が素通りする本でも、
読みたくなるタイミングは突然やってきます。
なんとなく秋が似合いそうで、
そろそろこれが読みたいなと思いながら手に取り
表紙を開きました。
するとそこには

『星を賣る店』クラフト・エヴィング商會
小説ではなく目録のような
デザイン本のようなもの。


いつ挟んだとも知れない銀杏の葉がありました。
もっと秋が深くなった頃、
いつかの私は銀杏の葉を拾い、
思い出を束ねるようにして
ここへ挟んだのでしょう。
過去から手紙をもらったようでした。
その時の私は、何をしていたのだろう。
どんな服を着て
どんなことに心動かされて
どんな秋を過ごしていたのかな。
わかっていることは、
その日はきっといい気分だったということです。
気持ちのよい日でなければ、
銀杏の葉を押し葉にしようとは
思わないからです。
爽やかな晴天が
何かの記念日のように美しかったので、
葉っぱを1枚持って帰ったのだろうと思います。



なにしろ、
押し葉を作る時に
この本を選んだ自分を褒めたいと思いました。

表紙も素敵。デザインがいい。

クラフト・エヴィング商會の吉田篤弘さんの
こちらの本もおすすめ。
吉田さんワールドを味わえます。

『つむじ風食堂の夜』吉田篤弘 


秋が深まり肌寒くなると読みたくなる、
温かいお話です。

***

9月になりました。

お知らせです。
日本左利き協会さんのホームページで
連載させていただいているショートストーリーが
公開となりました。
季節はもうすぐ秋なのに、春のお話です。笑

なぜ春のお話なのかって?

この連載の、一番最初に戻っていきます。
それは緑色の葉っぱのかたちの左手を持つ
女の人のお話でした。
彼女は、
同じように異形の手を持つ男の人と
偶然出逢いました。
そこで物語は終わっていたのですが、
今回はその続きを描いています。
はじめに戻ってゆっくりと歩き出します。
連載を始めた頃の思い出を束ねます。

短く区切って載せていきますので
少しお時間ある時にでも
お読みいただけたら嬉しいです。

文章を書いて生きていきたい。 ✳︎ 紙媒体の本を創りたい。という目標があります。