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鈴懸ねいろ
2024年5月19日 14:55
「田中の奴、文学トリマーを使いやがったな」道の向こう側を悠々と歩く田中に、清水は舌打ちした。田中が胸に抱えていたのは、先週書き終えたばかりの原稿ちゃんだ。田中の原稿ちゃんは流行りのサマーカットを施されて、すこぶるご機嫌だった。原稿ちゃんの短めのセンテンスの隙間を、風が通り抜けてゆく。青空のように爽やかな言葉が映える。田中の筆致を信頼し切った原稿ちゃんは、腕の中でウトウトし始