子育てエッセイ:息子が学んだ「死」について
「しんでくれてありがとう」
昨日の夜、夕食を食べていると突然そんなことを口にした息子。
びっくりして、言葉が出ないわたしに息子が続けます。
「みんなのために、牛さんも豚さんもシャケさんもしんでくれてるから」
聞くと、保育園で谷川俊太郎さんの『しんでくれた』という絵本を読んでもらったとのこと。
「だから、いただきますとかごちそうさまをちゃんと言って、食べないとだめやねん。みんながいただきますとかごちそうさまを言うのを豚さんもシャケさんもちゃんと聞いてるねん」
「みんなが元気で生きれるようにみんなしんでくれてるねん」
うんうんと頷きながら、息子の話を聞き、昨夜の夕食は、感謝して食事を終えました。
1人でごはんを食べるとき、ついスマホを見ながらとか何かをしながら食べていた自分を振り返り、反省。
命を頂いているのだから、感謝して食べないといけませんね。
それから、息子は「誰かに向かって簡単にしねと言うこともいけないことなんだよ」と教えてくれました。
それを聞き、思い浮かんだ息子と同じクラスの女の子。
女の子は、誰かとケンカしたり、イヤなことがあるとすぐに「しね」という言葉を使うそうです。
わたしも一度保育園の送迎時に目撃したことがありました。
息子とその女の子のことを話した会話がとても印象に残ったので、ここに残しておこうと思います。
息子:「いつもは優しい子だけど、怒るとしねとか言ってしまうねん」
わたし:「そっか。もしかしたら、その女の子も誰かに言われたことがあるのかもしれんね」
息子:「そうやね。可哀想やね」
わたし:「イヤことがあったとき、その感情を表す言葉を、しね以外に知らないってこともあるかもね」
息子:「でも、しねっていう言葉は、かいちゃんたちは食べられないから使ったらだめやね」
息子は、大人が想像する何倍もいろいろなことを学んでいるのだと痛感する出来事でした。
息子なりに、「死」がどういうものなのか認識していて、その言葉を使うこと、受け取ることの重大さも理解していたのです。
動物の死から、わたしたちが日々食べている食事のこと、「しね」を人に使うことについて、考えさせられた夜でした。
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