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読書日記

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自分が読んだ本の感想記録をまとめました
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#村上春樹

【読書日記】街とその不確かな壁 / 村上春樹

【読書日記】街とその不確かな壁 / 村上春樹

2023年5月22日 読了。

この本の感想を書くにあたって、どうしても自分語りを多く含む内容になってしまうことを了承いただきたい(自分の読書日記なんていつもそうだが)。

というのも、自分が生まれて初めて触れた文学作品で、未だ自分の中でオールタイムベストであり続ける小説が村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』であり、この『街とその不確かな壁』は「世界の終り」と寸分違わず同じ設定を

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【読書日記】国境の南、太陽の西 / 村上春樹

【読書日記】国境の南、太陽の西 / 村上春樹

2023年3月4日 読了

小説なり、映画なり、音楽なり、「この作品は自分のために作られた作品だ」と錯覚してしまうことほど気持ちの良い体験というのはなかなか無いと思う。ましてやそんな、中高生のときに体験するような錯覚を、まさか今になってさせてもらえるとは思いもしなかった。

村上春樹の長編(中編)の中では珍しく、精神世界や非現実的な現象が出てこない、リアル設定の恋愛小説(短編以外でファンタジー要素

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【読書録】スプートニクの恋人 / 村上春樹

【読書録】スプートニクの恋人 / 村上春樹

2022年4月6日 読了

ここ最近、村上春樹が翻訳した作品を立て続けに読んでいたので、本人の小説もひさしぶりに読みたいなあと思って、未読のこの本をなんとなく手に取った。なんとなく選んだもののとても良い小説だった。

22歳で作家志望のパンクな女子大生(大学中退)が、アラフォーのバリバリキャリアウーマンな女性に恋をするという、あらすじだけ見たら漫画のようなストーリーが村上春樹お馴染みの「僕」からの

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【読書録】大聖堂 / レイモンド・カーヴァー

【読書録】大聖堂 / レイモンド・カーヴァー

2022年1月31日 読了

漫画「バーナード嬢曰く。」6巻で取り上げられていて気になったため手に取った。村上春樹翻訳による短編集。

あとがきでも村上春樹が解説している通り、どの短編も「failure(敗者)」が登場する。人生において、何かの要素が欠けている人たち。そんな生々しい人物たちの、やるせなく、なんでもない日常の中で起こるちょっとした出来事を通して、喜怒哀楽では表すことができない絶妙な感

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