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あいつ教員辞めたってよ#2 『教員は話を聞いてもらえない』

まだ2記事しか書いていないのにフォロワーが増えていて,正直とても狼狽えました。
ただ,このことはおそらく私が教員を辞めたひとつの理由につながるので
今日はそのことを少し書こうと思います。

私が教員を辞めた理由のひとつに『教員という立場だと話を聞いてもらえない(もらいにくい)と感じた』ことが挙げられるからです。


学校での子どもたちへの心理支援を考えたときに,学校にはスクールカウンセラー(SC)がいらっしゃるので,個別な心理支援はSCの専門分野だと感じています。
教員だった私は,SCに繋がらない生徒たちの話を聞いたり,緊急な時に対応したり,していました。

ただ,この,”SCには繋がらないけど心理支援が必要”という生徒たちが学校にはたくさんいました。

苦しい時には誰かを頼っていい。
辛い時にはそのことを話してほしい。
その専門家としてのSCに繋がっていいのだということを。

こうしたSOSを出すことの大切さを,
私は『心理教育』という形で生徒たちに伝えたかった。
また
そうしたSOSを教員がキャッチできること
そして私やSCに繋ぐ力も育みたかった。

なので,私は学校で生徒や教員向けの『心理教育』をしたい!と訴えました。

でも,これがなかなか難しかった。

なぜならば私は”中のヒト”そして”教員”だから。

SCは月に限られた日しか来校しません。ましてやびっしりケースが入っている。
私なら”中のヒト”だから,時間は融通可能だし無料で心理教育や講話ができる。

なのに。です。

管理職は,その必要性はちゃんとわかっていました。
学校によっては「やっていいよ」って言ってもらえる場合もありました。
でも,”あくまでも一教員”な私がそういったことができるような職場の理解や関係性を持てるまでには時間がかかります。
周囲の先生たちは,”臨床心理士,公認心理師”ということがよくわかっていないので,なんかしゃしゃり出てきたヤツ,みたいなことにもなりかねません。


歯がゆい思いをしました。
正直,内部の事情がわかっている私の方が生徒の現状やニーズに合った話ができるのに。
”外部講師の先生に依頼した”という形ばかりが優先されます。
(実際,おそらくお上に報告する際には,内部の人間の講話では説得力がありません)
!もちろん,これは外部講師の先生のお話を否定するものでは全くありません!

ただ…私にとって生徒に本当に必要な心理支援,という”本質”からずれて”証拠づくりのように””講演をやればいい”と考えているように思われる教育現場の考え方が納得がいかなかったのです。

教員は話を聞いてもらえない。
これは内部にいて感じたことです。


でも,やっぱり外部に対してもそのことは感じました。
”教員”というだけで,ステレオタイプなスティグマ(負の偏見)にさらされる。

私は教員になってから,心理資格を目指しました。
なので,教員として心理実習にいった際には,実習先々で教員の批判,悪口が繰り広げられました。目の前で私がいないかのように批判されたこともあるし,直接的に批判されることもありました。

こんなこともありました。
大学時代の友人から10年ぶりくらいに連絡が来ました。
私は喜んで会いに行ったのですが,
会った先で友人はバックからおもむろに自分の子どもの小学校のPTA会報を取り出し,「このことについて学校に問い合わせたのだが返答がない」「教員は非常識だ」と訴えられたのです。
私はとても悲しい思いをしました。
私はすっかり”大学時代の友人”と会いに行ったつもりだったのに,友人にとっては”教員である友人”に会いに来たのだなと感じたからです。

これらのことで,私は世の中で教員というのがある意味でいかに嫌われている専門職の一つなのか,ということを痛感したのです。
(この表現はいいのだろうか,と迷います。でも私の感じたこととして素直に書きます。書いていてたくさんの熱心な教員の友人たちを思うと胸が痛みます)

もちろん,その批判に相応な教員がいることも否定できません。

ただ,誰かに何かを伝えたい,というときに
場合によっては真っ直ぐに”私”の意見としては届きにくいのだろう,と感じました。



最初の自己紹介で,
私は
「学校という枠組みを出た今になってようやく。
こうして外に自由に自分の考えを発信することも可能になったと感じています』
と書きました。


それには,ここまで書いたような思いがあったのです。
もちろんそこには,”公務員”という立場での発信の難しさもありました。


この記事は,”私”の意見として届くだろうか。
それでも,元教員という私がいなければ感じられなかったことだから。
そんな風に今は感じています。
読んでいただきありがとうございました。

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