#36:あるプロジェクトの軌跡〜要件定義完了(6)

前回の続き。

正直言うと、前回書いたSaaS導入決定までは、特に何かを見返すことなく、記憶を辿れば鮮明に思い出せることをただ綴っていたが、この辺りから少し記憶が怪しい。プロジェクト計画からクラウド選定までハイテンションで飛ばして息切れして、少しひと息ついた頃合いだった。

フォーカスはクラウドに当たっていたものの、もう一つの大きなテーマは既存システムの再構築である点だ。それは何を意味するかというとデータ移行を伴うということ。加えて、経理という数字の間違いが許されない仕組み上、新旧比較を実現するために並行稼働が必要だった。

プロジェクト規模が大きくなる毎に難易度は上がるが、それはある程度、要員の規模を増強すれば太刀打ちできる面がある。つまりパワーにはパワーで勝負するような単純明快な世界だ。

一方で、データ移行や並行稼働というのは、経験や戦略が問われる世界であり、単に人を増員しても解決しない。テクニカルで総合力を問われる分野だ。ここもリーダーの力量が大いに関係するのだが、ベンダーの移行検討リーダーが優秀なおかげできちんと計画が出来上がった。

業務要件、クラウド選定、データ移行/並行稼働計画までを約半年かけてきっちり仕上げた。ここには書き切れない現行システムとの繋ぎや他システムとのIF検討、その他のエピソード(DCのリージョン変更など)があるが、何はともあれ、無事に要件定義が完了した。

しかも大きなおまけとして、それ以降の工程(基本設計〜開発〜各種テスト)の期間が、当初予定より2ヶ月短縮できることが分かった。元々オンプレで計画していたため、サーバ設置やインフラ構築も含まれていた計画がクラウドに倒れたことが大きな要因になった。やはり、ベンダーPMの力量が為せる技ではあるが、プロジェクト期間中にサプライヤー側から期間短縮案を出したことなどかつてなかったので、これも初めての経験をした。(恐らく最初で最後)

約半年前、プロジェクトのキックオフ時はまだ6ヶ月間の要件定義がどのように進むのか、全く見通しは立ってなかった。専任チームとなり半年検討した結果、無事に要件定義が完了したことは大きな充実感があった。当然、まだ何ひとつ出来ていない状態だし、できたものが想定通り動くのかあらゆるテストもこれからだ。また期間はこの後の工程の方が長いけど、まずは最初の節目にきっちり登ってきたことも事実。

要件定義完了を皆で祝した上で、もう一度、気持ちをリセットして、次の仕事に取り掛かる。そんな心持ちだったことを思い出した。

(7に続く)


◆記事一覧〜あるプロジェクトの軌跡〜◆
(1)検討開始
https://note.com/susumuy/n/n1931de0dc542
(2)ベンダー選定
https://note.com/susumuy/n/n93de96f156bf
(3)プロジェクト計画
https://note.com/susumuy/n/n242ed6a8efad
(4)クラウド検討
https://note.com/susumuy/n/n68326494925e
(5)クラウド選定基準
https://note.com/susumuy/n/ne6eb0d7ec88c
(6)要件定義完了 https://note.com/susumuy/n/n17d0ecf889ae 後半に続く
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


サポートなんて恐れ多いので、代わりにコメントいただけたら嬉しいです。