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【Vol2】マスターオブコミュニケーションシリーズ 報連相編②

1「報連相」のしやすい職場 その3~報連相の意味を理解している~。

みなさん「報連相」って何ですか?

『報告、連絡、相談です』と答えるでしょう。

では、質問を変えましょう。

ちょっと意地悪な質問です。

報告、連絡、相談」の違いは何でしょうか?
 
私は報連相やコミュニケーションに関わる研修に携わって数年経ちますが、この質問にためらいもせずにはっきり答えれる人にお会いしたことがありません。

「報告も連絡も同じ事だ」と仰る人もいました。

斯く言う私も日本報連相センターに入会するまで分かっていませんでした。

報連相が大事だと職場で推奨するものの、実は報告、連絡、相談の違いを理解せずに明確な意味づけまでは分かっていないということです。

日本報連相センターでは「報告」「連絡」「相談」について以下のように定義づけています。
 
報告とは:指示や依頼に対して指示・依頼者に伝える事。報告は義務+αである。

☑連絡とは:必要な情報を共有する事。連絡は情報の共有化である。

☑相談とは:他者からアドバイスをもらう事。相談はシナジー・相乗効果である。


【報告】

業務の進捗状況において、指示や依頼に対して結果を伝えること。
業務完了の報告はもちろんのこと、進捗状況を伝える「中間報告」も大事な報告です。
結果報告の際、必要な場合は自発的に情報提供や自身の提案をプラスするのも良いでしょう。
そこで相談が始まる事もあります。
また自分の担当する日々の業務については常に管理責任者へ方向をしましょう。
報告は義務ですからしなくてい良いという事ではありません。
報告体制の整備が重要なキーとなります。

【連絡】

必要な情報を上下左右に伝え、お互いに、部署等で情報の共有化をすることです。
情報共有化するための連絡内容には、利用者の状態の変化や担当部署からの引継ぎ事項、マニュアル浸透、外部のお客様からの伝言等多岐にわたります。
大事な事は、情報共有したい内容、意味が相手に届くことです。
□メールを送っておきました
□FAXを送信しときました
□手紙を出しときました
□不在だったので伝言を頼んでおきました
これら上記は全て発信です。連絡したことではありません。
伝えたい内容と意味が、相手に到達してこそ連絡です。
  発信≠連絡

【相談】

他者からアドバイスをもらうことです。報告も連絡も相手がいますが、相談については双方向のやり取りです。相談のキーワードは、相乗効果(シナジー)。
相談することで、一人で悩まず、抱え込まず、よりより良い問題解決に導くことができます。
相談が活発に行われる職場では、高次の問題解決ができる組織づくりをしていると言っても良いでしょう。
よくある上司の声に「相談をしてくれない」、「なぜ事前に相談しないんだ」等をよく耳にしますが、その反対の意見として「相談するとやる気がなくなる」というものもあります。

「報連相」のしやすい職場にするには、お互いただ求めるだけでなく、仕組み作りが重要になることが分かります。


2 報連相の引き出すタイミングやわかりやすい報連相の仕方


 前回の記事でも伝えたように 日頃の挨拶を通じたコミュニケーション現場環境を作っておくことが何よりも大切なポイントです。

挨拶を習慣化すれば挨拶の後に、次の話題がしやすくなるものです。
挨拶が「声掛けのタイミング」になればしめたものです。

その他に報連相をするタイミングや報連相の仕方をいくつか紹介いたします。

① 相手のパーソナリティに合わせた報連相をパーソナリティは人それぞれ。

誰が正しいとかではなく、その人もチーム、組織の一員です。

例えばこんな4人上司のタイプを上げてみます。
  A 結果だけの簡潔な報告を好み、即断もできる人
  B 社交的で、口頭による対話的報告を好む人
  C 報告時に即答を求めても即断即決の指示は出さない人
  D 報告で一部始終を詳細に知りたいデータ好みの人

同じ報告や相談をするとしてもA~Dの人に、全く同じ方法で報告や相談をするのは如何なものです。それぞれのタイプに応じた報連相の仕方がある事は想像できるでしょう。

相手の行動パターンを知って、報連相の「やり方」を柔軟に変えていきましょう。

また、反対に報連相する立場の人にも行動パターンがあります。相手の行動パターン、自分の行動パターンに合わせた報連相を実践してください。

相手によって接し方を変えたくない、という意見も聞いたことがあります。しかし、それでは本末転倒です。伝えやすい態度で接する事、すなわち相手によって接し方を変えることは全然悪い事ではありません。

中身の本質を正直に伝える志があれば、柔軟な対応をすることが正しい事がわかると思います。

② 3つのステップでわかりやすく、印象に残る報告を。

わかりやすい効果的な報告の仕方に はじめに→本論→まとめという3ステップ報告があります。

「はじめに」
最初にするのは切り出し、挨拶です。
例えば、「〇〇さんお疲れ様です。今、お時間よろしいでしょうか?」と切り出し、要件のボリューム、全体像を伝える。
例えば「△△の件で、3点ほどご報告があります」
 
「本論」
「1点目は、・・・・・」
「2点目は、・・・・・」
「3点目は、・・・・・」
この本論での話し方のポイントとして「結論」から先に述べるのがおすすめです。結論から延べ、結果、経過、自分の意見の順で報告・相談等されると聞き手はリズムよく非常に聴きやすくなります。
 
「まとめ」
「以上3点の報告で、1点目が〇○、2点目が〇○、3点目が〇○の件でした。よろしくお願いいたします」
といったように報告するとまとまりやすく、印象に残ります。

③ TPO(時:time 場所:place 状況:occation)に配慮できますか?

ようやく業務が終わり、先輩・上司に報告をしたところ、褒められも労いもなく「それは後にして」や「なんでもかんでも報告にくるな」という、期待外れの反応にがっかりした経験はないでしょうか。しかし、ここで先輩、上司を恨んでは、元も子もありません。自分の都合で何時報告しに行ってもよいというものではないのです。タイミングもあればTPOに配慮する必要もある事を忘れずに。

④ 部下の最大の環境は上司なり~相手の報連相が悪いのは〇○のせい・・・

部下がよく働く、さっぱり働かない、といっても、もしかしたら自分の下にいるときの彼らがそうなのかもわかりません。部下をみている、職場をみているといっても、「自分の影響下にある部下」をみているのです。
人の行動は、その人(P)と、その人が置かれている環境(E)との関数(P×E)であると言われます(注)。

アメリカの社会心理学者K.レビンは、
行動(B:behavior)は、(P:person)と環境(E:environment)の関数 (f:function)であるととらえ式で表しています。
B=f(P・E)

「組織にとっての最大の環境は上役なり」という名言があります。部下の報連相の良しあしを考えてみると、そうさせているのは上役自身の責任もあるということです。
相手の報連相が悪いのは、上役である自分が、どのような報告の仕方を求めているか、どのような内容・表現を期待しているのか、常日頃よく知らせていないことが原因かもわかりません。相談に来ないのも、相談し難い雰囲気を自分が作っている場合があります。
部下の報連相の適否は、半分は上司次第と言えます(半分は、部下次第です)。


3 最後に

「報連相の引き出し方やタイミング」と題して、報連相を引き出すための職場風土作りのポイントについて記載致しました。
利用者の生活を支援するためには、多職種の視点でかかわることが欠かせません
情報のやり取りの中で仕事をすすめていると言っても良いでしょう。
「報連相」がうまく機能している職場は生き生き働ける職場にもなります。
しかし「報連相」は最初からうまくできるわけではありません。
報連相の主軸は情報やり取りとコミュニケーションです。
 
□ よい報連相は、良い人間関係の上にできる
□ よい人間関係はよい報連相の上にできる

まずは挨拶の習慣化から徹底的にやってみてはいかがでしょうか?
挨拶をするのに費用はかかりません。是非お試しください。
3か月後の職場、チームの変化を感じてみてください。楽しみですね!

 引用・参考文献
1)     真・報連相のハンドブック  著:糸藤正士 一般社団法人日本報連相センター
2)     真・報連相で職場が変わる 日本報連相センター共著 新生出版
3)     P・F・ドラッカー著、上田惇生訳:マネジメント 基本と原則 ダイヤモンド社
4)     人を動かす 山口博訳 D・カーネギー 創元社

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