【特報2/2】「サステナブル・アイランド」を目指す!脱炭素先行地域に選ばれた奥尻町はこれからどうなるの?
前回の特報に続き、今回は脱炭素先行地域に選ばれた奥尻町の計画について解説したいと思います!
1 奥尻島ってどんなところ?
ですが、その前にそもそも奥尻町がどんなところか知らない方もいるかもしれませんので、簡単にご説明します!
奥尻町は北海道の南西部に位置する島で、周囲約68km、人口は約2,400人。
樹齢200年を超える大木のあるブナ林
スクーバダイビングの資格取得ができ、「島留学」として全国から入学者が集まる奥尻高校
海底がくっきり見える程の透明度の高い海
ウニ、アワビなどの海産物
などの魅力があり、小さな島ながら自然豊かで素敵なまちです。
夏の時季には、綺麗な海と海産物を目当てに沢山の観光客が訪れます。
ですが、その一方で
◆人口減少や高齢化の進行
◆エネルギーコストの高さ
◆災害時の電力の不安定性(本島との電力系統が接続されていないため)
等の課題を抱えています。
2 サステナブル・アイランド奥尻の取組
では、奥尻町は脱炭素先行地域としてこれからどのようなことに取り組むのでしょうか?
環境省のHPに公開されている資料に基づいて、簡単に説明したいと思います。
奥尻町が目指す取り組みは大きく分けて3点です。
①再エネ発電設備・送電設備等を整備して島全体の脱炭素化を推進
②住民や公共施設が集中している島内2地区にサブネットワークを構築
③地域の交通課題や住民の利便性向上を図る
これらを行うことで「サスティナブル・アイランド奥尻」を実現するというものです!
では、具体的取組について一部をご紹介します。
(1)再エネ発電設備・送電設備等の整備
・既存の水力発電(170kW)、地熱バイナリー発電(250kW)の利用
・地熱バイナリー発電(750kW)の増設
・風力発電(900kW)、太陽光発電(3000kW)、木質バイオマス発電等を新設
このように電力の再エネ比率を高めて脱炭素化を目指します。
このうち、水力発電や地熱バイナリー発電の電力は、既設系統(メインネットワーク)により一般家庭や民間事業者へ供給されます。
(2)2地区に自営線によるサブネットワークを構築
町の中でも、住民や公共施設などが集中している「奥尻地区」と「青苗地区」の2地区に、自営線のネットワークを用意し、太陽光発電、風力発電+蓄電池を接続することでサブネットワークを構築します。
この電力は主に2地区の公共施設へ供給されるのですが、災害時にはメインネットワークから切り離し、防災拠点へ優先的に電力供給を行います。
現状では本土と電力系統が接続されていないため、海上輸送がストップしてしまうと電源を確保できなくなってしまうという課題がありますが、このようなサブネットワークを構築することができれば、住民の暮らしもより安心になりますよね!
ちなみに、このような小さなエリアで発電施設と消費施設を持ち、エネルギーを地産地消する小規模なエネルギーネットワークのことを「マイクログリッド(小規模電力網)」と言います☝️
(3)地域の交通課題や住民の利便性向上の取組
◉町有バス・町公用車のEV導入
奥尻町は1周約70kmの島なので、走行可能距離に課題を抱えるEV(電気自動車)でも十分に機能します。
そのため、電気スタンドの整備、町公用車のEV化、EV自動運転デマンドバス、グリーンスローモビリティ(時速20km未満で走行する電動車による移動サービス)などの先進技術を導入し、住民生活の利便性向上や高齢者が安心・安全に暮らせるまちづくりを目指していきます。
◉ZEB(ゼブ)・ZEH(ゼッチ)の推進
一般家庭から排出されるCO2を減らすため、一般住宅建て替え時にZEH化を推進したり、省エネ家電機器の普及のため町独自のエコポイントを付与することを検討しています。
また、役場庁舎などの公共施設のZEB化も併せて進め、町全体の省エネを推進していきます。
3 終わり
奥尻町では、このような再エネ+省エネの取組によって、島全体のCO2排出量を実質ゼロにする「サステナブル・アイランド奥尻」を実現していくことを掲げています。
この計画を聞くと、奥尻町がどうなっていくのかワクワクしますよね!皆さんも
奥尻町のゼロカーボン関係のニュースをぜひ追いかけてみてください!
ということで、今回の特報については以上です。
今回ご紹介したものは、詳細を省略した概要の説明であること。また、現時点の計画であるため、これから変更になる部分があるかもしれませんので、その辺りはご承知おきください。
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