誰もが驚く麻婆を作ってみませんか?青麻婆豆腐(チンマーボードウフ)
日本人なら誰もが好きな【麻婆豆腐】。日本における「四川料理の父」である陳建民さんが普及させた料理ですが、当時(昭和30年代)は激辛が日本人に受け入れられなかったため、日本式の甘くてピリ辛な麻婆豆腐が編み出されました。それが今や麻辣(マーラー)味の激辛麻婆豆腐も普及し、辛いもの好きの袋と心をガッチリつかんでいますよね。
僕は四川省現地にも行くほどの四川料理・麻婆豆腐好きで、日本でも150軒以上の麻婆豆腐を食べ歩き、今までに作った麻婆豆腐は300食を楽勝で超えると思います。ブログで麻婆豆腐の素の食べ比べを行い、研究したこともあります(笑)
そんな麻婆豆腐愛たっぷりな自分が、今までに無い麻婆豆腐を作ろうと挑んだのが、今回の【青麻婆豆腐(チンマーボードウフ)】です。「青く美しく、今までに無い味の麻婆豆腐を開発しよう!」と思って臨みました。
結果的に、自信を持ってオススメ出来るレシピになりましたので、noteにまとめようと思った次第です!
試作を繰り返して生み出したので、当初は有料にしようと考えていましたが、ケチケチせずに無料で公開することにしました!みんなに作って欲しい力作なので(笑)
【青麻婆豆腐】の魅力を端的に述べると、こんな感じです。
青いのに麻婆豆腐らしい味わい!
青唐辛子のフレッシュな辛味
青シソと青ネギの爽やかな香り
ほうれん草のコク
サッパリなのに、ご飯が進む!
白ワインにも合う麻婆豆腐
【青麻婆豆腐】作りで意識したこと、工夫したこと
作成の上で、最も重要なポイントとしては「麻婆豆腐らしさ」を保つことです。世間には白い色の麻婆豆腐や白子や上海ガニを用いた麻婆豆腐などもあり、それはそれで美味しいのですが、「麻婆豆腐らしさ」を感じない事が多いので。
「麻婆豆腐らしさ」とは何か?それはひとえに「豆板醤(豆瓣醬)を使用しているか否か」だと考えます。変わり種の麻婆豆腐は色に気を取られる余り、豆板醤を使用していなかったり、豆板醬のコクを活用できていなかったりします。
これは四川省の郫县(ピーシェン、豆板醤の聖地)にある「四川料理博物館」の壁に書いてあったセリフ。「郫県豆板醤こそ、四川料理の魂」。これを見た時は、感動で身体がふるふると震えました(笑)
よって、豆板醤や豆豉などの色が黒くなる可能性のある調味料をバッチリ用いつつ、鮮烈な青(緑)となるよう試行錯誤しました。炸醤(肉味噌)についても、敢えてメイラード反応を起こさないよう工夫しました。
また、色だけでなく青色にまつわる薬味と野菜の香りや爽快感を活かす方法も考えました。そこで、片栗粉を使わない方法にたどり着きました。サラッとしていてヘルシーな感じですが、特製の野菜醤の軽いとろみがあるので、ご飯にもバッチリ合います。
ちなみに、「チンマーボードウフ」って「陳麻婆豆腐」じゃないの?と思われる方も多いと思いますが、中国では「青」も「チン」と読みます。と言うか、むしろ「陳」は中国語で読むと「チェン」です。
また、「青じゃなくて緑じゃないか!」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、中国の陰陽五行説では青=緑となります。何となくありがたいので、【青麻婆豆腐(チンマーボードウフ)】とネーミングしました。
【青麻婆豆腐】の構成要素
・豆腐
・炸醤(ザージャン):肉味噌
・菠菜醤(ボーツァイジャン):ほうれん草醤
・椒麻醤(ジャオマージャン):青唐辛子と山椒の醤
・郫县豆板醤(ピーシェントウバンジャン)
・鶏ガラスープ(水でも可)
当レシピでは、【青麻婆豆腐】の作り方に加えて、オリジナル調味料である【菠菜醤(ボーツァイジャン】と【椒麻醤(ジャオマージャン)】のレシピもご紹介します。これらは【青麻婆豆腐】以外にも使える調味料なので、一石三鳥なレシピになっているかと思います。
【菠菜醤(ボーツァイジャン】は完全にオリジナルな調味料ですが、【椒麻醤(ジャオマージャン)】は四川では一般的な調味料です。青ネギと花椒で作るペーストで、爽やかな風味が魅力です。本来ならば包丁で叩いて作りますが、ミキサーやフードプロセッサーで簡単に作れます。僕は更に青シソと青唐辛子を加えて、【青麻婆豆腐】で麻辣を表現する調味料として作りました。茹でたり蒸した鶏肉に掛けても美味しいです。
それでは、具体的にレシピをご紹介してまいります。事前に調味料を作っておけば、用意する具材は豆腐とひき肉のみです!
【用意する具材・調味料】
豆腐とひき肉以外の分量は各パートに記載します。
・豆腐…1丁
・炸醤(ザージャン、肉味噌)
-豚ひき肉100g〜200g(お好みの量)
-薄口醤油
-味醂
-豆豉
-味噌
・菠菜醤(ボーツァイジャン=ほうれん草醤)
-ほうれん草4株分
-生姜
-醤油
-太白胡麻油
・椒麻醤(ジャオマージャン=山椒シビ辛醤)
-青シソ
-青ネギ
-青唐辛子
-ニンニク
-生姜
-花椒油
-花椒粉
-太白胡麻油
-塩
・郫县豆板醤(ピーシェントウバンジャン)
・鶏ガラスープ(水でも可)
では、【炸醤(ザージャン)】、【菠菜醤(ボーツァイジャン)】、【椒麻醤(ジャオマージャン)】の順にレシピをご紹介します。
写真中:椒麻醤、写真右:菠菜醤
【炸醤(ザージャン)】の作り方
★ポイントは敢えてメイラード反応を起こさないところ!
★普通の麻婆豆腐は中火で長時間炒めてカリッと香ばしくさせますが、【青麻婆豆腐】は強火で一気に炒めて薄色、しっとりな炸醤に仕上げます
【材料と調理工程】
・豚ひき肉…100g〜200g(お好みの量)
・薄口醤油…小さじ1
・味醂…小さじ1
・豆豉みじん切り(もしくは豆豉醤)…5g
・味噌…5g
1. 市販のひき肉でも構わないが、塊肉を叩くかフードプロセッサーでミンチにすると食感があって美味しい。市販のひき肉の場合、手で練ってから炒めると食感が向上するのでオススメ。
2. 油を強火で温め、温まったらひき肉を一気に炒める。かき混ぜて、焦がさないよう注意。
3. 調味料を全て投入し、手早く混ぜる。馴染んだら、すぐにバットに取り出す。
【菠菜醤(ボーツァイジャン)】の作り方
★ポイントはほうれん草を巧くペーストにするところ
【材料と調理工程】
・ほうれん草…4株
・生姜…1かけ分
・醤油…小さじ1/2
・太白胡麻油(無い場合には普通の胡麻油)…小さじ1/2
1. ほうれん草はサッと茹でてアクを抜き、生姜は薄切りにする
2. 全ての材料をミキサー、フードプロセッサー、クラッシュミルサーなどでペーストにする。持っていない場合には、すりこぎでじっくりと練る。
【椒麻醤(ジャオマージャン)】の作り方
★麻辣(カラシビ)とともに、香りのパンチを加える調味料
★ポイントは混ぜ過ぎて乳化させないところ(白っぽくなってしまうので)
【材料と調理工程】
・青シソ…10枚ほど(市販の1パック分)
・青ネギ…1/2束
・青唐辛子…4〜5本 ※辛いもの好きなら増やしても可だが、苦味が強まるので注意
・ニンニク…1かけ分
・生姜…1かけ分
・花椒油(市販品もしくは花椒を弱火の油で煮出したもの)…50ml
・花椒粉…麻(シビレ)が好きな方はお好みで
・太白胡麻油(もしくは米油)…30ml
・塩…小さじ1/2
1. 青シソは茎を落としてざく切り、青ネギと青唐辛子は小口切り、ニンニクはみじん切り、生姜はスライスする。
2. ミキサーやフードプロセッサーなどに1を入れて、最速モードで回す。途中、花椒油を3回に分けて入れる。薬味だけだと一体化せず不安になるかもしれませんが、油を足して回すごとにまとまっていきます。
3. 鍋で太白胡麻油(もしくは米油)を弱火で熱し、2のペーストを入れる。
4. 塩を加えて混ぜ続ける。決して焦がさないよう、ご注意!
5. 油が緑色に変わったら完成。
ちなみに、【椒麻醤】に【ろく助の塩】を使うと、汎用性が大幅に向上します。サラダチキンや豆腐にかけるだけでメチャクチャ美味しい辛口調味料になります。オススメです。
次はいよいよメインの【青麻婆豆腐(チンマーボードウフ)】のレシピとなります。しかし、調味料さえ作っておけば、あっという間に出来るので、実は一番簡単かもしれません(笑) もうすぐで完成です!
【青麻婆豆腐(チンマーボードウフ)】の作り方
★豆板醤は必ず郫县豆板醤(ピーシェントウバンジャン)を使用すること。熟成期間が短い大量生産の「赤い豆板醤」だとコクが出ません。
【材料と調理工程】
・豆腐…1丁
・炸醤(ザージャン)…100g〜200g(お好みの量)
・菠菜醤(ボーツァイジャン)…上記ほうれん草4株分すべて
・椒麻醤(ジャオマージャン)…大さじ2
・郫县豆板醤(ピーシェントウバンジャン)…大さじ1
・鶏ガラスープ(水でも可)…150cc
1. 油を引き、豆板醤を中火で炒め、香りを出す。
2. 炸醤(ザージャン)を投入し、豆板醤と絡める。
3. 鶏ガラスープ(or 水)と豆腐を投入し、中火でグツグツ煮る。
4. 豆腐に火が入ったら菠菜醤(ボーツァイジャン)を投入し、混ぜ合わせる。
5. 仕上げに椒麻醤(ジャオマージャン)を加え、全体に馴染ませたら完成!香りを活かすため、煮込むのは止めましょう!
実際に作って頂くと、きっと途中からテンションが高まると思います。なにせ色が美しく、香りが素晴らしいので。
完成!
冒頭に記載した通り、ご飯との相性もバッチリです。やはり麻婆豆腐はご飯と食べなくちゃ、ですよね。僕は辛味を増やすため、青唐辛子を追加しました。
ご満足頂けましたら幸いでございます!
是非とも楽しんでください。
【使用している調理機器と調味料の参考情報】
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