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正統な"和食"としてのとんかつ #とんかつひなた

 とんかつ激戦区の高田馬場で頭ひとつ抜けた人気を誇る「とんかつひなた」。普段なら衣のインパクトでお腹を満たす対象として捉えていたとんかつも、ここではじっくり味わいたい和食として再定義する。

高級感溢れる銅のシールド

 和食にはカウンターが似合う。調理の過程を見せる潔さ、五感で楽しめるライブ演出、出来立てを食べられる安心感、目の前の凛とした空気感がとんかつに体験価値と気品を与える。料理人の真剣な眼差しを前に、客側としても背筋を伸ばして待たざるを得ない。

漢方三元豚(宮崎) 上ロースかつ定食(1850円)

 メニューはロース・上ロース・上リブロース・上ひれかつの4つで、豚は六白黒豚か漢方三元豚の2種類から選択するスタイル。肉々しい味と質感を求めるなら黒豚を、きれいな味とソフトな食感を求めるなら三元豚を選ぶといいらしい。

 選んだのは三元豚の上ロース。薄くピンクが滲んだような白色をした断面が繊細な肉質を保証する。噛めば想像通りの柔らかさで、全体に脂を浸透させたかのような味わい。タレントが連呼する「あまい!」には疑念の意しか抱かなかったが、この脂は本当にあまい。ソースと辛子を完全に打ち消す脂のあまみは、黒を白で塗り替えるくらいの力強さがある。

ペルーのインカ塩(左)と高知のあまみ塩(右)

 あまみを更に引き出す塩は2種類。食べ比べをするだけで、ソースと辛子の出番がなくなってしまう。私のお気に入りは粒の粗い高知県のあまみ塩。

 おかずが美味しいと必要な白米の量も増えてしまうのが日本人の性。五ツ星お米マイスターが目利きした美味しいお米は大盛り無料、おかわりも1回まで無料、そして更に千切りキャベツも1回までおかわり無料。こんなとんかつを出されたらそのくらいしてもらわないと困るが(笑)、嬉しいサービスだった。

 食後に友人とエイジング(熟成)の話をしていると、シェフが調理をしながら話をしてくれた。エイジングの方法論や黒豚の流通過程を直接聞けるのはカウンターだからこその貴重な体験であり、お寿司以外にも素敵なカウンターがあると気付かせてくれた大切なお店になった。

link here ☞ とんかつひなた


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