明けたら

「明けたら何がしたい?」と聞かれて、あまり考えたことなかったなぁと思う。

木箸を買いに行きたい。ネットでいろいろ見たけど、毎日、使うものだからできれば、手にとって選びたい。
その日はきっと、早めに家を出て、行こうと決めていたお店に向かう。最寄りの駅についたら、ゆっくりお昼を食べられそうなお店を探そう。できれば外を眺める事が出来て、食後にコーヒーを飲めるお店がいいなぁ。

映画館で映画を見たいとか、美術館で大きな絵を見たいとか、明日、時間があるし行ってみようかなぁと思いつきで旅行がしたいとか、誰かが楽しそうに仕事をしているのを見ながら仕事をしたいとか。そういう切り取られた答えだと、思う気持ちに足りなくて。

木箸だけじゃなくて、木目の汁椀も良いものがあればいいなぁと思いながら、控えめにそぉとお店の中へ。できれば、緊張しないようにお客さんが何人かいて欲しい。「これ、家にあるやつに似てるよね」とか、「これの小さいサイズがないかなぁ」とか、そんな会話が聞こえるくらいの感じがいい。お店の人の視線を気にすることなく木箸を手に取って、どれにしようかなぁと選ぶ。あれもいいし、これもいい、これは保留しておこうとか、時間をかけていろいろと迷っていたい。

今の状況が明けた後の新しい生活と言われることには違和感もあって。働く時間がそれぞれになって満員電車がなくなったり、9月から学校が始まるようになったり、人と人との距離が遠くなって何をしても物足りなさを感じるようになったり、いろいろと変わるかも知れないけど。それぞれが毎日を過ごす中で思うことは、そんなに変わらないんじゃないのかなぁと思う。

帰りの電車の中で冷蔵庫の中を思い浮かべて、夕飯には何を作ろうかなぁ?と考える。本当はそんなに料理のレパートリーがあるわけでもセンスがあるわけでもなくて、レシピがないと何も作れないけど。そんなことができるようになったら、「ありもので作ってみたけど食べてみて」と誰かに言いたい。
ありものでちゃっちゃと作ったものを買ったばかりの木箸と汁椀と、それから衝動買いした平皿を使って食べるところを想像して、電車に乗りながら早く家に着かないかなぁと思う。写真もきっと撮っちゃうなぁ。

明けたら、こんな一日を過ごしたい。

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