Suribachi

旅・料理・猫好きの科学者。 コペンハーゲンをベースに色々放浪や暮らしの様子を度々書いて…

Suribachi

旅・料理・猫好きの科学者。 コペンハーゲンをベースに色々放浪や暮らしの様子を度々書いています。

最近の記事

ライカ旅 #10 カオスで美しいタイ

母がタイ人ということもあり、幼少の頃からタイにはかなり行っている筆者だが、タイという国のイメージを中々捉えられなかった。 バンコクに行ったことのある方ならお分かりでしょうが、町中ごちゃごちゃしている。日本の侘び寂び精神とは正反対に位置しているよう(日本の都市も言えたものではないが)。至る所に何重にも重なる電線と乱雑に敷き詰められた高層ビルが空を覆い尽くして、耳はオートバイとトゥクトゥクのエンジン音で飽和状態。味覚と嗅覚も刺激のオンパレード。道端で焼いているいるガイヤーン(タ

    • ライカ旅 #9行き当たりばったりな旅

      扉絵にあるのはバチカンのサン・ピエトロ大聖堂。朝一番に人気が少ない中入ると窓から入る光で教会は神々しくも照らされているという忘れられない思い出がある。 こんな光景を旅のプランに入っていたか、お分かりのとおりに答えは否。そもそも旅をするということには不確定な性質がつき回ってくるというもの。それが嫌な人が多いため、ネットには旅情報などの需要がある記事が乱立して、そのありふれた記事が旅人の好奇心やらを奪う(特に「モデルコース」とかの類のもの)、という事態に発展する。 何が言いた

      • ライカ旅#8 コペンハーゲンっぽい

        コペンハーゲンというと北欧のパリなどと大それた通り名を持っているのですがここに住んでいる僕が感じる「コペンハーゲンっぽさ」を取り上げてみたい。 一つに気取っていなくて何かいい具合に「抜けている」。街歩く人々の服装は煌びやかさとはかけ離れた、味のあるファッション。これには北欧文化の要になっている「ヤンテの掟」が影響している。いわゆる十ヶ条の処世訓で、まとめると「自分を他人より優れていると思うべからず」。そのせいか、他人よりも異常に目立つ色やデザインは好まれない。 二つ目に「

        • ライカ旅#7 イタリアの田舎のすゝめ

          ローマ、フィレンツェ、ミラノとイタリアには魅力的な都市が点在するが是非とも田舎の村に行ってほしい。田舎にこそイタリアの本質があると僕は思っている。 ネットで調べたら大抵のことがわかる昨今、情報が全然見つからないことがざらにある。日本語なんて勿論の事、英語で検索してもイタリア語を英語に自動翻訳したサイトを見ても本当に情報が入らない。インスタ映えするものも特にないし観光地化もしてないから日本人がわざわざレビューなんかしていない。 いいのです、こういう所にどんどん行くべきであるの

        ライカ旅 #10 カオスで美しいタイ

          ライカ旅#6 デンマークの秋に咲くひまわり

          目に入る限り一面に咲くひまわり畑、眩しいくらいに黄色の花びらが夏を象徴してくれる 10度を下回る「秋風」吹くデンマーク・シェラン島、10月中旬に差し掛かり夏の記憶は遥か彼方に追いやられている 夏を懐かしむよりも目の前にあるかすかに残る緑色を楽しむ事に勤しんでいる 風の強く吹くある夕方に歩いていると夏には黄色かったであろうひまわり畑で目を奪われた 太陽の方を向くのに体力を使い切ったのか全て倒れている、微かに花びらを残して 寒さも厳しくなる季節にひまわりは何を感じるのか、君はな

          ライカ旅#6 デンマークの秋に咲くひまわり

          ライカ旅#5 6世紀にできた修道院

          まず日本人観光客がわざわざ行くことはないカンパニア州とラツィオ州の境にあるのがモンテ・カッシーノ修道院 古代にはアポロ神殿があったが6世紀頃に修道院が建てられ何百年もの間、岩山からひとの営みを見守り続けてきた 時には「異教徒」に破壊されるも建て直し、ナポレオンのイタリア侵攻の際にも壊される。さらには第二次世界大戦における激戦区としても知られている そんな破壊と復興を繰り返してきた修道院だが、古代から脈々と受け継いできた何かを感じるわけにはいかなかった 日本の禅寺を連想

          ライカ旅#5 6世紀にできた修道院

          ライカ旅 #4 恋しきパリ

          パリの街並みに魔生の魅力を感じない訳にはいかない 朝早いリュクサンブール公園には黄色い秋の光が差し込み、歩いていると度々朝露が肌に当たる 行き交うのは通勤途中のファッショナブルなパリっ子に運動に勤しむ若い青年たち。もうご隠居された方々なのか、かっこいいおじいさん・おばあさんがベンチでお散歩ついでのおしゃべり。パリの「空気」がここにいるだけで皮膚を通して伝わり、あたかもパリに住んでいるような錯覚を見てしまう 公園の外に出るとそこは都市の顔を持ったパリが見える。綺麗に佇まい

          ライカ旅 #4 恋しきパリ

          ライカ旅 #3 冬に備える北欧

          夏の暖かい光が夜遅くまで照らされているのも束の間、秋風がビュンビュン流れる10月上旬コペンハーゲン コペンハーゲンっ子は意地なのか半袖の人がまだまだ沢山、15度くらいまでグッと寒くなってきたのに。夏を心の中で終わらせたくないという現実逃避なのかいつも思ってしまう 夏の気分を引きずってピクニックをする人も沢山いるが流石に7時頃には暗くなってしまうので家路につくのも早くなってくる そうなってくると中から外の光を羨ましく見る事が増えていく 何というかなかにいる事が楽しくなって

          ライカ旅 #3 冬に備える北欧

          ライカ旅#2 ワルシャワの教会

          ここに来る目的といえば聖十字架教会、ショパンの心臓を保管している教会でも知られている 詳しい記事を書いているので気になる方は読んでいただきたい ヨーロッパの旅で楽しみにしている一つが教会を巡ること 国々で特徴が違い土地の風土をとてもよく表していると思っている 何百年も信仰の拠り所として時には戦争の舞台になったりと人間の所業が刻まれている 僕の主観ではポーランドのものは質実剛健というかとても真面目なデザインに見える もう一つ、洗礼者ヨハネ大聖堂 教会の前身は14世紀に

          ライカ旅#2 ワルシャワの教会

          ライカ旅 #1 鎌倉円覚寺

          ライカM10-Rを購入して約2年程経ちようやく手に馴染んだ頃です。 旅先などで出会う文化の輪郭や空気を写し込んでいきます。 梅雨の鎌倉円覚寺 雨の粒が木の葉に弾かれる音に誘われて道端をよく見るとお地蔵さんと一輪の花 土門拳に憧れて仏像をまじまじと観察 彼のやり方をオマージュするなどと烏滸がましいことをいうわけでもないが一つの僕なりの答えが仏像の中の「光」を映し出す事 僕はこの眼光に囚われてしまった それを写して他を写さない、他を写したら何も見えなくなる気がするから

          ライカ旅 #1 鎌倉円覚寺

          Leica Summicron M 50mm f2 4th (ライカ ズミクロン) のすゝめ

          長い間フォクトレンダーAPO-Lanthar50mmをライカm10Rにつけてライカライフを充実に送っていました。ある日、ふと入ったカメラ屋さんで中古のズミクロン50mm4thを手に取り試し撮りをしてみたのだが、液晶画面をみて衝撃が走った。「何か」が違う。APO-Lantharの超解像とは違い自分の写したい抽象的な「もの」を写してくれる。巷に言われるライカは空気も写すと言うのも理解できた気がした。 家に帰ってからは自分の取る写真と睨めっこしては何かが違う感覚と押し相撲するとい

          Leica Summicron M 50mm f2 4th (ライカ ズミクロン) のすゝめ

          ポーランドの心臓:ショパンの眠る教会

          ワルシャワの聖十字架教会(Bazylika Świętego Krzyża)にはショパンの魂が眠っている。 39歳の若さでショパンはフランスで永眠。遺書に心臓を聖十字架教会の柱の下に収める様にと記している。ショパンの死から1年後、姉のルドヴィカ・イェンジェイェヴィチは酒で保管されている心臓をワルシャワに持ち帰り、教会の柱の下で保管された。 フランスで音楽家として成功を収めていたショパンだが、ポーランド人としてのアイデンティティを強く持ち国民からも愛されている。ちなみに、ポ

          ポーランドの心臓:ショパンの眠る教会

          デンマーク王族が眠るロスキレ大聖堂

          コペンハーゲンから西に向かうと古都ロスキレがある。スカンジナビア最古の都市の一つであり、ヴァイキングの重要な拠点、10世紀から1443年までデンマークの首都ととても歴史的にも重要な街。そんな街に世界遺産でもあるロスキレ大聖堂がどっしりと構えている。コペンハーゲンからも電車で25分で着くので気軽に行けるのもありとてもおすすめのスポット。 この大聖堂の始まりには諸説がある。伝説では10世紀にハーラル1世”青歯王”が木造の教会を建てられたと言われている。その後アブサロン大司教の命

          デンマーク王族が眠るロスキレ大聖堂

          ローマ下町の味:Felice a Testaccio

          ローマ料理を堪能するのには「下町」であるテスタッチオ(Testaccio)に行くのを絶対におすすめする。 ローマ市内でも独特の料理文化が発展した裏側にはテスタッチオが屠殺区域だったというのが大きい。肉屋や労働者が密集したエリアで肉全般を扱いう料理に定評があるが内臓肉を使った料理も数々生み出された(パヤータやローマ風のトリッパ等)。 そんな地区にFelice a Testaccio という1936年から続いている名店がある。ローマ料理でも知名度が特に高いカチョ・エ・ぺぺで有

          ローマ下町の味:Felice a Testaccio

          隠れたローマの名所:聖イグナチオ・デ・ロヨラ教会

          ローマのとある教会に足を踏み入れると静寂が待っていた。 外の観光客の波とは対比を成すように、聖イグナチオ・デ・ロヨラ教会(Chiesa di Sant'Ignazio di Loyola)の中には祈りを捧げる人や内壁をゆっくりと観察する人がまばらといる。 足を踏み入れて目につくのはイエス・キリストを中心とした天井画、これにはつい感嘆の声を漏らしてしまう。これには17世紀に活躍した建築家、アンドレア・ポッツォの緻密に計算された仕掛けがある。平面であるはずの天井だが、遠近法を

          隠れたローマの名所:聖イグナチオ・デ・ロヨラ教会

          パリ最古の教会:サン・ピエール・ド・モンマルトル教会

          モンマルトルの丘を登っていくとパリが一望できる眺めに異様に人が集まるサクレ・クール寺院がドスンと居座っている。セーヌ川からゆっくりゆっくり歩いて行ったので達成感で胸が満ち溢れる。 これでさぁ...帰るかとなった時、ふと目を移すと派手な見た目の寺院とは対照的な静寂に満ち溢れた教会が静かにそこにあった。調べるとパリ最古でサン・ピエール・ド・モンマルトル教会(Paroisse Saint-Pierre de Montmartre)と呼ばれていて、1133年に設立された。 驚いた

          パリ最古の教会:サン・ピエール・ド・モンマルトル教会