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ポーランドの心臓:ショパンの眠る教会

ワルシャワの聖十字架教会(Bazylika Świętego Krzyża)にはショパンの魂が眠っている。

39歳の若さでショパンはフランスで永眠。遺書に心臓を聖十字架教会の柱の下に収める様にと記している。ショパンの死から1年後、姉のルドヴィカ・イェンジェイェヴィチは酒で保管されている心臓をワルシャワに持ち帰り、教会の柱の下で保管された。

入り口前にある十字架を背負うイエス・キリスト像

フランスで音楽家として成功を収めていたショパンだが、ポーランド人としてのアイデンティティを強く持ち国民からも愛されている。ちなみに、ポーランド人からしたらショパンというフランス読みが世界的なスタンダードなのが少し気に食わないという(ポーランド語での読み方は「ショピン」)。

第二次世界大戦中に侵攻したナチス・ドイツはショパンが愛国心を彷彿させる事を恐れ、ショパンの音楽の演奏を禁止にした。ドイツ軍に徹底的に破壊されたワルシャワの街だが聖十字架教会も例外なく壊された。皮肉なことにもナチス親衛隊の将校によって持ち出されたおかげでショパンの心臓は戦禍を逃れることができた。

中央の祭壇

再建された教会はワルシャワに寄る際には是非とも行ってほしい場所。実際に心臓の上に建っている柱を見ることもできる。そこには聖書からの一節が刻まれている:

あなたの富のあるところに、あなたの心もあるのだ。
マタイによる福音書 6:21

この一節だけを読んだら少しわかりにくいが章全体を読んだら意図がわかると思う。キリスト教徒の一般の解釈に基づくと天に持っていける富とは愛、つまりそこにあなたの心があると。

あなたがたは地上に富を積んではならない。そこでは、虫が食ったり、さび付いたりするし、また、盗人が忍び込んで盗み出したりする。富は、天に積みなさい。そこでは、虫が食うことも、さび付くこともなく、また、盗人が忍び込むことも盗み出すこともない。あなたの富のあるところに、あなたの心もあるのだ。
マタイによる福音書 6:19-21

僕の主観でしかないが、ここを訪れてからショパンの詩的な音楽性をわかるようになった気がする。言葉にできない教会の雰囲気や若きショパンがこの教会で祈りを捧げていた場所に行き感じること。たくさんの観光客は写真を数枚とってすぐ立ち去る方がほとんどですが是非とも時間をかけていただきたい場所です。

ショパンの心臓が眠る柱

撮影機材:
カメラ:ライカM10R
レンズ:フォクトレンダーアポランター50mm

写真の趣旨を少し変えて他のブログでも掲載しております。どうぞご覧ください。


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