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大全集無視の戦闘力考察④~ベジータ戦~【ドラゴンボール考察】

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前提

  • ドラゴンボール大全集やその他設定資料、アニメ版、劇場版、ゲーム作品、超などの続編作品、鳥山先生の談話等は無視し、原作漫画版の描写のみを正とする。(ただし、作中に判断材料が無い場合は参考に用いる)

基準

  • 全く手も足も出ず瞬殺される場合は1.8倍以上の差があるものとする。

  • ある程度戦えてはいるが勝ち目が薄いと思われる場合は1.4倍前後の差があるものとする。

それでは引き続き、ベジータ戦の戦闘力を考察していきたい。



ベジータの戦闘力

まず確実に予想できるのはベジータの戦闘力になる。
ベジータは、ドドリアに「(かつては)18000がやっとだった」と言われていた。

出典:ドラゴンボール完全版17巻

しかし、ベジータが地球襲来時点で18000未満だったかというと少し疑問が残る。ドドリアの認識、18000がいつ段階のものかは不明だが、少なくともベジータは地球に来る前に惑星フリーザには寄っていなかった。

出典:ドラゴンボール完全版15巻

スカウターは遠隔で計測が可能であるが(※ラディッツ敗戦時に悟空たちが1000ちょっとであることを把握していた)、ドドリアの態度からすると、わざわざベジータを遠隔でウォッチしていたとも考えにくい。ベジータの18000は以前に惑星フリーザにいた頃の古い値ではないだろうか。

また、ベジータはキュイとの戦いの際、以下のように発言している。

出典:ドラゴンボール完全版17巻

「たえず実戦で」ということは、地球来襲の前の時点でも既に力を上げていた可能性が高いだろう。惑星フリーザにいた頃は18000だったが、その後実践を繰り返して力を上げた状態で地球に来たのだ。

具体的にどの程度上がっていたのかについては想像するしかないが、ベジータは地球での戦いから復活の際に戦闘力をグンと上げて24000に至った。瀕死からの復活で小幅上昇とも考えにくいため、その幅も考慮すると、地球来襲時点では20000程度が妥当だろうか。

地球での戦闘力を20000とすると、死にかけ復活後の24000とは2割しか変わらない。さほど差がないようにも思えるが、この時点のベジータはまだ気のコントロールが未熟な状態である。

復活によってベースとなる気はアップしたがまだそれを上手く増幅、爆発できないがため2割程度のパワーアップにしかならなかったと考えれば、この程度の上げ幅に収まっていても不思議ではないだろう。(※実際に少年期の悟空も何度か死の淵から復活しているが、そこまで劇的な力の上昇は無かった)

結論として、ここでは地球来襲時のベジータの戦闘力は20000と考えたい。

2倍界王拳悟空の戦闘力

ベジータが定まったところで、次は悟空の戦闘力の考察をしていきたい。
前回の考察で、界王拳未使用悟空は9500と想定している。

ベジータとの戦いの際、まず悟空は界王拳2倍で戦うが、本気を出したベジータには刃が立たなかった。

出典:ドラゴンボール完全版16巻

界王拳が単純に戦闘力を2倍に上昇させる技であれば、9500の2倍で19000になる。20000のベジータとほぼ互角になるはずだが、実際はかなりの差があった

この描写に辻褄が合うように考えると、恐らく界王拳とは、最高に高めた気をさらに2倍にするわけではないのだろう。
あくまで気の上昇効率を上げる技であって、「気の開放」後をベースに倍率を掛けるわけでは無いのだ。そのため界王拳2倍ではベジータに及ばなかったのだと思われる。

では2倍界王拳の悟空の戦闘力はいくつだったのか。実際のベジータとの戦闘描写を見てみよう。

ベジータは、まずは様子見で戦っていた。2倍界王拳悟空はその状態のベジータは上回っている。

出典:ドラゴンボール完全版16巻

しかし、ベジータが少し本気になるともう敵わなくなってしまった。

出典:ドラゴンボール完全版16巻

そしてベジータが全力を出した状態では、「わざわざよけやすくしてやった」エネルギー波を躱すのが精一杯だった。

出典:ドラゴンボール完全版16巻

これらの描写からすると、2倍悟空とベジータはそれなりに力の差があると見て良さそうだ。ただ、一応エネルギー波は躱せているし、その前の蹴りでも(本気でないとはいえ)ダメージは殆ど受けていない。簡単にやられるような差でもないだろう。

これらのことから、ここでは「勝ち目が薄い差」の基準、1.4倍を少し下回る1.3倍の差とし、悟空の2倍界王拳は15400と考えたい。

3倍界王拳悟空の戦闘力

続いて3倍界王拳悟空の戦闘力も考えていこう。

2倍界王拳とはうってかわり、ベジータを圧倒している。

出典:ドラゴンボール完全版16巻

悟空のスピードにベジータは全くついてこれない。

出典:ドラゴンボール完全版16巻

そしてボディーブローで大きなダメージを与えている。

出典:ドラゴンボール完全版16巻

描写を見るとかなりの圧倒っぷりだ。相当に差があるようにも思える。
しかしベジータは合計5発もの攻撃をくらいながらもまだまだ元気な状態で、精神的に狼狽はしていたものの、特にパワーダウンなどは見られなかった。
そしてその後のギャリック砲対かめはめ波の場面では、どちらが勝つかわからないようなギリギリの勝負もできていた。

出典:ドラゴンボール完全版16巻

これらのことから推察すると、3倍界王拳の悟空はスピードこそ圧倒したが、パワーの面ではそこまで圧倒的な差では無かったのではないだろうか。

それらも考慮すると、先程の2倍界王拳悟空とベジータの差をそのままひっくり返し、1.3倍の差が妥当だろうか。ベジータは決定的なダメージこそ負わなかったものの、勝ち目があるとも言いがたかった。

上記を踏まえ、ベジータの20000の1.3倍で、3倍界王拳の悟空は26000と想定したい。

界王拳の倍率の仕組み

ここで一旦、これまでの悟空の値を並べ、界王拳の倍率について考えてみる。

界王拳未使用 9500
2倍界王拳 15400
3倍界王拳 26000

界王拳未使用時の9500から、2倍界王拳では15400に留まり。そして3倍だと26000まで一気に上がる形になる。
単純な倍率ではこれら上昇幅の辻褄が合わないが、前述のように界王拳とは最大限高めた気をさらに何倍にもするのではなく、気を高める効率を上げる技と考えれば辻褄は合わせられるかもしれない。

(ここからはちょっとややこしい話になります)

具体的には、2倍界王拳と3倍界王拳の差である10600を、2倍界王拳の15400から引いた4800を悟空の全く力を入れていない状態の戦闘力とする。
そこから悟空は「気の開放」で9500まで上昇させたので、この差分の4700が気の開放で上げられる戦闘力の最大幅だ。

そして「界王拳」は気の開放より効率よく戦闘力を挙げられる上位の技であり、素の状態からの上げ幅を10600まで拡大した。4800+10600=15400。これが2倍界王拳の戦闘力になる。そしてこの時の上昇分の10600が界王拳1倍ごとの上昇幅になり、そこからは倍率を上げるごとに界王拳の基本上昇値10600が追加されていくという形である。

素の悟空 4800

気の開放の上げ幅     +4700   =9500
界王拳の上げ幅      +10600 =15400

以降は界王拳1倍ごとに+10600
界王拳3倍の上げ幅   +21200 =26000
界王拳4倍の上げ幅   +31800 =36600

この考え方のポイントは「気の開放」と「界王拳」を同軸のものとして定義している点である。気の開放と界王拳は同じ作用(=気を爆発させる)であるため、併用はできない(併用という概念自体が無い)という考え方だ。
この考え方なら「戦闘力5000程度」というベジータの最初の計測から「8000以上」の気の開放。そして「界王拳2倍で戦闘力20000(公式では18000)のベジータに圧倒され」、「3倍で圧倒し返す」描写の全てに辻褄が合うのではないだろうか。

なお、3倍界王拳の戦闘力値はブルマによって計測されている。

出典:ドラゴンボール完全版16巻

ブルマが「ものすごくあがってるの」と言及した後に17000からカウントを始め、21000を回ったところでスカウターが爆発した。

出典:ドラゴンボール完全版16巻

ブルマが戦闘中ずっと計測していたとすると、2倍界王拳が達していた値では今更驚かないはずである。
恐らく2倍界王拳は15000前後の計測になっており、それが17000を超えた際に「ものすごくあがってるの」と言及したのではないだろうか。本考察とも一致する描写と言えるだろう。

4倍界王拳と運が良いベジータ

続いて4倍界王拳の描写を見ていこう。悟空はギャリック砲を押し返した際、一瞬だけ4倍界王拳を使用した。

出典:ドラゴンボール完全版16巻
出典:ドラゴンボール完全版16巻

ベジータはこの4倍界王拳かめはめ波+自身のギャリック砲をまともに食らったが、運良く衝撃にふっ飛ばされる形となって気功波の炸裂(爆発)を免れた。

出典:ドラゴンボール完全版16巻

もしセルのように炸裂した状態で受けていたら、さすがに即死だっただろう。戦闘服の作用なのかもしれないが、炸裂しなかったのは大きな幸運だったと言える。
4倍界王拳の描写はこれだけなので、ベジータとの明確な差はわからない。ただ3倍で苦戦していたギャリック砲を一瞬で跳ね返したところから、前述の値(36600)くらいあっても大きな矛盾は無いと思われる。

大猿ベジータと元のベジータの戦闘力

悟空は4倍界王拳の影響で大きく消耗する。

出典:ドラゴンボール完全版16巻

対するベジータはあれだけの攻撃を受けながらも、意外と元気である。

出典:ドラゴンボール完全版16巻

この時点ではベジータより悟空のダメージのほうが大きくなってしまったように見える。
そしてベジータは大猿になるためにパワーボールを生成、気を落とす。

出典:ドラゴンボール完全版16巻

肩で息をするほど消耗していることからすると、MAX値の20000から半分前後には落ち込んでいるだろうか。

余談だが、悟空のダメージの大きさを考えれば、気を減らしてまで大猿になるリスクは取るべきでなかったようにも思える。
ただそれは我々読者が界王拳の代償を知っているからであって、ベジータの視点からすれば、悟空は際限なく戦闘力を高めてくる勝てそうにない強大な相手に見えていたはずだ。
悟空にはどの攻撃も通用せず、ベジータ視点だとほぼノーダメージ状態(実際には限界近かったが)。それならもうこの手しかなかった。ベジータも背水の陣だったのである。

そしてベジータは大猿に変身した。大猿は戦闘力が10倍になるという。

出典:ドラゴンボール完全版16巻

戦闘描写では、界王拳使用の悟空を一蹴している。

出典:ドラゴンボール完全版16巻
出典:ドラゴンボール完全版16巻

この時の界王拳の倍率は不明だが、2倍で通用しないことはわかりきっており、3倍か4倍と思われる。消耗のリスクを考慮すると3倍だろうか。

そして悟空は5倍界王拳でも通用しないと言及している。

出典:ドラゴンボール完全版16巻

この「5倍」が万全の状態での5倍なのか、それとも消耗した今の状態での5倍なのか。文脈から判断すると後者だが、恐らく前者のニュアンスも多分に含まれているだろう。

前述の界王拳の計算ロジックに照らし合わせれば、界王拳5倍の戦闘力は47200になるが、それを圧倒できる戦闘力は1.8倍で85000となる。つまり、ざっくり計算ではあるが大猿になる前のベジータは8500程度の戦闘力は残っていたと考えられるだろう。

悟飯の戦闘力

ヤジロベーの活躍で大猿化が解けた後は、動けない悟空の代わりに悟飯がベジータと戦うことになる。
悟飯は悟空がいたぶられる様を見て怒りを燃やし、気を増大させる。

出典:ドラゴンボール完全版16巻

この状態でも分が悪いものの、ある程度ベジータとも戦えている。

出典:ドラゴンボール完全版16巻
出典:ドラゴンボール完全版16巻
出典:ドラゴンボール完全版16巻
出典:ドラゴンボール完全版16巻

戦闘描写から判断できる差としては、ある程度戦えるがとても勝てる見込みは無い程度と思われるため、ヤムチャとサイバイマンの差くらいの差だろうか(結果的にヤムチャは殺されたが内容は完勝だった)。
以前の考察でヤムチャとサイバイマンは1.6倍の差と定義しているが、ベジータの残存戦闘力を8500とした場合、1.6倍の差で悟飯の戦闘力は5300となる。

悟飯は魔閃光のシーンでの戦闘力が2800だったので、その2倍弱と大幅に強化されている。やはりあの時の悟飯は怒りより悲しみが上回っていて、本来の力は出せなかったのかもしれない。

瀕死のベジータとヤジロベーの戦闘力

悟飯を追い詰めたベジータだったが、元気玉が直撃し、瀕死のダメージを負う。
ベジータは全身から気を爆発させる技(爆発波)を使うが威力は低く、地形の変化も半径7~8m程度に留まっている。

出典:ドラゴンボール完全版16巻

ナッパの「クンッ」では都市が壊滅しているが、それとは比較にならないほどの低威力である。もうわずかしか気は残っていないだろう。
この時の爆発の威力で比較になりそうなのはサイバイマンの自爆だろうか。

出典:ドラゴンボール完全版16巻

ヤムチャを即死させるほどの威力だが、地面はえぐれていない。また、その前のヤムチャのかめはめ波(全力ではないと思われる)は、サイバイマンの周囲がわずかにヘコむ程度の威力だった。

出典:ドラゴンボール完全版16巻

厳密には岩盤の硬さや、技の性質(どう炸裂させる技か)の条件が違うだろうが、ベジータの残存戦闘力はサイバイマンやヤムチャよりはもう少し上と考えて良いだろう。強い根拠は無いが、この爆発描写からするとベジータの残った戦闘力は1600程度だろうか。
※厳密には戦闘力がずっと低い天下一武道会のピッコロが同じ技で周囲一帯を吹き飛ばしていたりするのだが、あの時は長時間パワーを貯めていたから可能だった・・のかもしれない

そしてこの状態のベジータに1撃を見舞い、殺されそうな悟飯を救ったのがヤジロベーである。

出典:ドラゴンボール完全版16巻

その前の尻尾の切断もそうだが、ヤジロベーの活躍がなければベジータには勝つことはできなかった。悟空、悟飯、クリリン、ヤジロベー、誰一人欠けても勝利は無く、ドラゴンボールの戦いの中で最も総力戦感があったのがベジータ戦だろう。

さてヤジロベーの一撃だが、剣を使っているとはいえサイヤ人の戦闘服を貫いており、かなりの威力はあったと考えて良いだろう。そしてヤジロベーはベジータから2発をくらって気絶している。

出典:ドラゴンボール完全版16巻

この時のヤジロベーは完全に腰が引けており、戦う意志があればもう少し粘れたとは思うのだが、2発で戦闘不能になったとすると天津飯対サイバイマンと同じ状況である。
以前の考察では天津飯とサイバイマンの差は2倍としており、その差を適用すると、ヤジロベーの戦闘力は800となる。

800だとヤムチャよりは下だがチャオズよりは上だ。
ヤジロベーは劇中で屈指の才能は持っているが向上心がないキャラクターとして描かれており、そのくらいの数値でもあまり違和感は無いだろう。

まとめ

ベジータ 20000
気合を入れていない状態の悟空 4800
気を開放した悟空 9500
界王拳2倍悟空 15400
界王拳3倍悟空 26000
界王拳4倍悟空 36600
大猿ベジータ 85000 ※ダメージ&パワーボールの影響有
大猿から戻ったベジータ 8500
悟飯(怒り状態) 5300
元気玉で死にかけのベジータ 1600
ヤジロベー 800

 
参考:大全集等の公式数値
ベジータ 18000
悟空 8000
界王拳2倍悟空 16000
界王拳3倍悟空 24000
界王拳4倍悟空 32000
ヤジロベー 970

大全集の値と細部は異なるものの、全体的には大きな差は無い結果となった。この頃はまだ戦闘力のインフレも少なく、具体的な数値の言及も多いことから、ここまでは誰が考えてもあまり差は出ないところだろうか。差が出るのはここから先になる。

余談

  • ベジータは地球に来るまで宇宙船の中で1年間眠っていたが、サイヤ人の寿命が地球人とそう変わらないとすると恐ろしい時間間隔である。不確実なドラゴンボールの情報をアテにして来るには、1年はあまりに対価が高すぎる。ただ地球に降り立った彼らが体の鈍りを感じていなかったことからすると、普通の睡眠ではなく、コールドスリープなどで生命活動を止めていた=寿命に関わらかった、のかもしれない。

  • 悟空はギャリック砲を押し返すために界王拳4倍を使ったが、戦闘力差を考えると3倍のままでも良かったはず。4倍を使ったのは、押し負けると地球が危ないという危機感と、界王拳の持続力の限界が来ていたからだろうか。ここで決めきれなかった代償は大きかったと言える。

  • 大猿で戦闘力が10倍になるとすると、ベジータは元々の18000の状態でも10倍で18万。ギニュー隊長の最大戦闘力12万を大きく上回る。普通に戦えばギニュー特戦隊は全員相手にもならないはずなのだが、彼らはベジータのことを完全に舐めていた。これは恐らく大猿の弱点である、「月としっぽの両方が必要」ということを彼らは知っており、対処が容易だから格下扱いだったのだろう。


次回、ナメック星編へ続く。


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