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圧倒できる戦闘力差とは?~1.3倍圧倒理論を再考する~【ドラゴンボール考察】

ドラゴンボールのファンの間では1.3倍圧倒理論というものが存在する。

これは戦闘力が1.3倍離れていれば相手を圧倒できるという説で、根拠になっているのはナメック星でのベジータとキュイの対戦になる。
ベジータはキュイを瞬殺したが、その際の戦闘力差が公式数値(ドラゴンボール大全集によるもの)で1.3倍差だったため、1.3倍の差があれば圧倒できる、という考え方である。

しかし、冷静に考えると能力差1.3倍で圧倒というのはちょっと差が小さすぎるようにも感じる。

例えば、対戦ゲームで1.3倍の能力差程度なら多くのケースで逆転が可能だし、格闘技の体重差と考えても、(ボクシングはキツイが)キックや総合なら十分に覆せる範囲だろう。

現実的に考えれば1.3倍程度なら、大きく有利ではあるものの全く手も足も出ないとまではならないはずであり、1.3倍差で手も足も出ず圧倒できるというのはちょっと違和感を覚えるのだ。

もちろんドラゴンボールの世界ではそうなのだ、と言えばそれまでの話ではあるのだが、ここではこの1.3倍圧倒理論を改めて検証しなおした上で、最適な値を考えてみたい。

※なお、本稿ではアニメ版、続編作品、ゲーム、大全集、鳥山先生の談話等の設定は使用せず、原作マンガ版の描写のみで考えます。

キュイとの戦闘描写

まず、根拠となっているベジータとキュイの対戦を振り返ってみよう。キュイはベジータを追ってナメック星に到着、元々折り合いの良くなかったベジータを排除しにかかる。

実力はほぼ互角であったとされる両者だが、ベジータは大幅にパワーアップを遂げていた。
キュイを倒すために要した攻撃はわずか3発だ。まずはボディーブロー。

出典:ドラゴンボール完全版17巻

2発目で殴り飛ばし、

出典:ドラゴンボール完全版17巻

3発目、衝撃波のようなもので爆破。へっ!きたねえ花火だ

出典:ドラゴンボール完全版17巻

なるほど、紛うこと無く圧倒である。まるで相手になっていない。この時の戦闘力はベジータの戦闘力は24000。ドドリアのスカウターで計測された数値だ。

そ・・・そんなバカな・・・オ・・・オレの新型も故障か・・・!?
に・・・24000まであがっている・・・!!

出典:ドラゴンボール完全版17巻

キュイの戦闘力は不明だが、「(ベジータと)ほぼ互角」「あいつ(ベジータ)の戦闘力は18000がやっとだった」という発言から、キュイの戦闘力は18000前後と推測される。

ベジータとキュイ、24000と18000の差は1.334倍だ。
確かにこの描写からすると1.3倍圧倒理論は筋が通っているように思える。しかし彼らの戦闘力は本当に24000と18000だったのだろうか?
劇中描写を見直しながら改めて精緻に考えてみたい。

ベジータの戦闘力は24000?

まずベジータの戦闘力が本当に24000なのかについて。
いきなり結論になるが、これは24000確定で良いだろう。スカウターの実測値であるし、力を温存したような描写も無い。

また後の悟空のように瞬間的にさらに上昇できた可能性も無いだろう。
この時点のベジータは気のコントロールができるようになったばかりであり、高度なことはできなかったはずだ。
実際に後に悟空の戦い方を見た際は驚愕しており、この時のベジータに同じことができたとは考えにくい。

出典:ドラゴンボール完全版19巻

ベジータは24000、これは確実であると言える。

キュイは18000より低かった?

次にキュイが18000以下だった可能性を考えてみたい。

結論から言えば、キュイは力を落としていたなどの理由で、18000に達していなかった可能性がかなり高いのではないだろうか。

その裏付けとなるのが、ベジータをスカウターで計測する場面の描写である。

出典:ドラゴンボール完全版17巻

左上のコマ、「バ…バカな!!(略)」という反応からすると、このコマの時点で既にスカウターの値はキュイの戦闘力を超えていたと考えられる。

そしてさらに気を高めるベジータの描写が1コマ入った後、キュイはようやくスカウターの数値を読み上げはじめる。

出典:ドラゴンボール完全版17巻

キュイが驚愕してからこの読み上げまで10秒くらいは経過しているはずだが、この時の読み上げは19000スタートである。

つまり、キュイの戦闘力を超えてから、さらに10秒前後気を高めた数値が19000なのだ

この10秒の間に1000しか上昇していないとは考えにくく、キュイの戦闘力はやはり18000より下だったと推測できるだろう。

ベジータはキュイに対し「フリーザのところでぬくぬくとしていた」と、怠けて力を落としていることを示唆していた描写も含めれば、キュイの戦闘力は16500くらいが濃厚なのではないだろうか。

キュイの戦闘前の消耗を考慮する

そしてさらにもう一つ、ベジータに殺される前、キュイが消耗していたことも考慮しておきたい。

ベジータの戦闘力を把握し、勝てないと感じたキュイは不意打ちでエネルギー波を放っている。

出典:ドラゴンボール完全版17巻

この時のキュイは背水の陣であり、全力の攻撃だったはずある。しかも1発ではなく複数のエネルギー弾を連続で放っており、負担はかなり大きかったと思われる。

劇中では全力で気功波を打った際、例えば悟飯の魔閃光や悟空の瞬間移動かめはめ波のシーンなど、消耗して気を落とす描写があるため、キュイもこの時、気=戦闘力を落としていた可能性が高いだろう。

しかし一方で、エネルギー波を放った後のキュイの描写を見ると、血管が浮き上がって汗をかいてはいるものの、息が切れたり膝を着くほどには消耗していない。

出典:ドラゴンボール完全版17巻

例えば、魔閃光を放った後の悟飯は膝をついてうなだれていたし、パワーボールを出したベジータや瞬間移動かめはめ波を放った後の悟空もかなり息を切らしていた。それらと比較するとキュイの消耗は軽いかもしれない。

実際にどの程度消耗していたのかは想定が難しいが、全力かつ連続のエネルギー波ということを考慮すると、感触的には10分の1よりは消耗していそうだが、息を切らしていないことから、5分の1までは達していないようにも思える。感覚値ではあるが、ここでは決めとして6分の1程度の消耗だったと仮定しておきたい。

この消耗を加味し、元の戦闘力と想定される16500から6分の1を引くと、キュイの戦闘力は約13750になる。ベジータは無傷なので24000のままとすると、差は約1.8倍だ。

推測含みの結論ではあるが、キュイは1.3倍ではなく、1.8倍差の相手に瞬殺されたのではないだろうか。

この1.8倍の差がある相手に手も足も出ず瞬殺されるというのは、肌感としては割としっくりくるだろう。
例えば、RPGでレベル50の時に90のユニークモンスターを正攻法で倒すのはまず無理だし、格闘技に置き換えても、174cm70キロの魔裟斗と212cm130キロのセーム・シュルトの体格差と考えれば、流石に手も足も出なくてもおかしくはない。

「1.8倍差で手も足も出ずに瞬殺」というのは現実に照らし合わせても、比較的納得感のある数字なのではと思う。

勝ち目が薄い差とは?

さて、ここでもう一つ、今度は「圧倒」ではなく「多少戦えるが勝ち目が薄い」程度の差はどのくらいなのかも考えてみたい。
推測できる場面としては、悟空とギニューの戦いが挙げられる。

ギニューの最大戦闘力は12万と劇中で語られているが、それに対し、悟空は18万まで戦闘力を上昇させて見せた。12万と18万の差は1.5倍である。

その戦闘力差を見せつけられたギニューは戦わず、すぐに勝負を諦めてチェンジで体を乗っ取る方向に舵を切っている。
つまり、このギニューの諦めの速さからすると、ドラゴンボールの世界ではこのくらいの差があると逆転が難しいと考えられるのではないだろうか。

ただ、このシーンの悟空はさらに上の力を示唆しており、それに恐れをなした可能性もあるため、根拠としてはちょっと弱い。

はっきりいっておくぞ!
瞬間的にだせる力はまだまだこんなもんじゃねえ

出典:ドラゴンボール完全版20巻

そこでもう一つ参考になりそうな場面として、同じくギニュー戦で悟空が界王拳を使う前のシーンを挙げてみたい。

くっくっく・・・スカウターをみるまでもない
おそらく85000まではあがるはずだ・・・

出典:ドラゴンボール完全版19巻

この際、ギニューは悟空に対して余裕の態度で「85000までは上がるはずだ」と発言していた。
つまり、ギニューは85000までの相手なら、12万の自分が勝てる算段だったと考えられる。(一緒にいたジースには事前に「手出しをするな」と強く制しており、1対1で戦う想定だっただろう)

85000と12万の差は約1.4倍になる。先程の1.5倍とも近い数字になった。
ドラゴンボールの世界では、1.4~1.5倍の差があると、ある程度余裕で勝ちが見込めるのではないだろうか。

以上、結論としては概ね1.4~1.5倍くらいの差があれば、勝ち(負け)が確実に近いと考えたい。

まとめ

  • 1.8倍の戦闘力差があると手も足も出ず瞬殺される

  • 1.4~1.5倍の戦闘力差があると勝ち目はかなり薄い

次回からはこの基準も用いながら、連載企画「大全集完全無視、原作描写のみで推測する戦闘力考察」を行っていきたい。

#ドラゴンボール

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