より良い神経放射線のために74 ・ #テノゲカ #少年サンデー #小学館 #外科 #末期がん #画像診断 #あおざくら #自衛隊 #防衛大学 #サイバー戦争 #経済徴兵制 #東京大学学費

より良い神経放射線のために74

#テノゲカ #少年サンデー #小学館 #外科 #末期がん #画像診断 #あおざくら #自衛隊 #防衛大学 #サイバー戦争 #経済徴兵制 #東京大学学費

(少年サンデーへ感想文。)
平素よりお世話になります。
元関西医大放射線科の寺田次郎です。
2018年の春の放射線学会では、御社のファンタジスタをお借りし、きれいな演題を作ることが出来ました。
改めてお礼申し上げます。

さて、先週と今週のテノゲカですが、主人公たちの過去の設定がおそらく10-20年前なので、その当時でも後腹膜に播種するような末期がんのCTやMRIの診断は十二分な能力があり、手術開始30-60分での手術中止は若干おかしい気もします。

おそらく、監修の整形外科の先生の昔話でしょうが、そういうことであれば、当時のベテラン教官の昔話や回想にするのが正解なように思います。
30-40代の男性がメインの想定読者だと思われますが、多様な層も多少はチェックしており、それだけに、修正をかけた方が良いようにも思います。

実際、大学病院の個人や組織によっては仲が悪かったり、風通しが悪かったりもありますが、それもグレーゾーンでやるのではないかと思います。
あるいは、それ以外の政治的背景や執筆上の事情もあるのかもしれませんが、身体に余計な負担をかけず、一度家に帰すという選択肢が正しいように思います。

そうはならないとしても、何かしら話の筋を作ってしまわないと、監修の先生が気まずいでしょう。
一般の患者さんは、整形外科でもそれなりに内科外科に詳しいと思い込んでいる人もいるので、今時危険ではないかと思います。

ついでに書きますと、外科医は外科的な発想でそういう風に考えるのかもしれませんが、医師は科学者と宗教家(神の代理人のロールプレイ)の中間です。
僧侶が袈裟を着る代わりに、医師の一部は白衣を着ます。
どちらの顔もあるので、難しい。
聴診器も画像診断機器の進歩によって、宗教的側面が強くなっています。

もちろん、世界に様々な宗教があるように、医師も色々、患者も色々なわけですが、
そういう書き分けが精緻なほどに、僕ら医療の専門職も喜んで漫画の宣伝をするようになります。
金と政治と広告が絡んで、難しい部分もあるかとは存じますが、多少でもトライしていただけると幸いです。

ちなみに、あおざくらの描写にある自衛隊の任官辞退者の問題は、コスト構造や政治的配慮の問題は難しいものの、不適格者の選抜とか、そういう問題も含めた教育効果で説明可能だと思います。
世界で実質的な経済徴兵制が進んでいますが、東大の学費の問題も含めて、本来、公共の教育費やインフラ整備費用を広義の軍事費ととらえるべきでしょう。

それに、いま、まさに改革中なのかもしれませんが、こと、サイバー戦争やサイバーハイブリッド戦争においては、これまでの自衛隊で一切戦力にならなかったタイプの人材が必要です。
ここで、ポイントなのは、パソコンや機械に詳しくなくても、一定条件が満たされれば、その手の人材になれることです。

学費無償化ですら入学したくない大学も増えているとは思います。
よくわからないルールとか、医療崩壊の地域のモルモットとか。
そういう意味でも、夢について、シリアスな話があったのは良いと思いました。
2024年8月8日16時25分 寺田次郎 拝 

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