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緑とベンチが高齢者の外出と身体活動を増やす

▼ 文献情報 と 抄録和訳

近所の都市デザインと屋外での後期生活;バルセロナの高齢者の外出時間と身体活動に関する客観的評価

Akinci, Zeynep S., et al. "Neighborhood Urban Design and Outdoor Later Life: An Objective Assessment of Out-of-Home Time and Physical Activity Among Older Adults in Barcelona." Journal of Aging and Physical Activity 1.aop (2021): 1-12.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar, researchgate 

[背景・目的] 本研究では,都市空間と特定の環境要因が,高齢者の居住地域での屋外活動とどのような関係にあるのかを理解し,その関係が性別や年齢などの関連する特性によってどのように変化するのかを明らかにすることを目的とした。

[方法] バルセロナの住民103人のデータを使用し、公式の地理空間データと照合した。本研究では,高齢者の外出時間(nTOH)と身体活動(nPA)が,近所にある都市のオープンスペース(緑地,広場,大通り)やマイクロエレメント(街路樹,ベンチ)の提供とどのように関連しているかを調べた。この関係性を探るために、1日のnTOHおよびnPAの時間を客観的に測定し、環境曝露と個人差の両方を考慮したマルチレベルモデルを用いてデータを分析した。サンプル全体、および年齢と性別で層別した混合効果線形回帰のセットを調整した。

[結果] 近隣に緑地があるかどうかは、nTOHとnPAの値が高いことと有意に関連していることがわかった。また,1日のnPA時間は,近所のベンチの密度が高いほど正の相関があることがわかった。高齢女性の屋外活動時間は、いずれの測定項目とも関連していなかった。男性のnTOHとnPAの時間には、ベンチの密度や近隣の緑地の整備状況が特に関係していることがわかった。このように高齢者の屋外行動と周辺環境との関係については、層別モデルでは男女差が認められ、特に男性の屋外活動にとって、近隣の特性が重要であることを示しています。

[結論] これらの結果は、高齢者の屋外活動を促進することを目的とした都市空間の設計に役立つと考えられる。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

緑とベンチがあると、外出時間や身体活動量が増える。
だから、緑とベンチを増やしましょう。
これは高尚な目標であり、非常に意義深いものだ。

一方で、

「いま住んでいるところ、緑とベンチ、ないんですけど〜〜〜」

という方は、どうしたらいいか?
この部分は次の発展かもしれない。

環境の観点から、身体活動増えそうグループ、減りそうグループが予測できる。
その減りそうグループの身体活動量に介入を施したときに、どうなるか?
この視点は、理学療法士の退院支援にとって、重要だ。
例えば、住環境と周辺環境を聴取しておいて、減りそうグループなら訪問リハなど介護サービスを充実させることで影響を及ぼせるかもしれない。
大事なことは、SDGsである。

目標とターゲットがすべての国、すべての人々、及びすべての部分で満たされるよう、誰一人取り残さない
Sustainable Development Goals:SDGs

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