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55 氷山モデルから行動の背景要因を考える

これまで、特別支援教育に出会うまでの教職員生活についてふり返りました。これまで文に表したことも、ましてや誰かに見せたこともありませんでした。改めて過去の失敗や後悔、無念などを包み隠さずさらけ出し、改めて特別支援をベースにした教育を行っていこうという思いを強くしました。もしよろしければ、51から54までの記事も一読していただければ幸いです。

特別支援教育について改めて発信し、みなさんと有益な知識や確かな情報を共有できればと思います。

早速ですが、みなさんは、「氷山モデル」をご存じでしょうか?行動の背景を探るために重要な考え方です。

我々が見ている行動は、ほんの一部、いわゆる氷山の一角になります。海の下には、根深く、複雑な背景要因が隠されているのです。


不適応行動の例 「暴言を吐く」

例えば、「暴言を吐く」という不適応行動を繰り返す子どもがいたとします。授業中に「つまらん!」「めんどくさい!」「何でこんなことしないといけないんだ!」等の暴言を吐き、対応で授業が度々止まってしまいます。
さらには、授業中だけでなく、休み時間や給食時間などでも友達との関係、教師との関係で暴言を吐きます。

このような不適応行動を繰り返す子どもを見て、みなさんは、どう考えますか?AとBのどちらが行動改善につながりやすいと思いますか?
A「あ~、またこの子がしてるよ。困ったなあ」と考える。
B「一体、なぜこんな行動をしてしまっているのだろう」と考える。

答えは、もちろんBです。行動の要因を探っているからです。

「あ~またこの子がしてるよ。困ったなあ」と考える教師の考え

Aの「またか」「困ったなあ」のように、我々が行動のみに目を向けて注意や叱責、罰を与えて行動自体を問題視してしまえば、子ども自身が困った存在になっていきやすくなります。
「あんなことするなんて、困った子だなあ」のように、子ども自体の問題を考え出します。また、「前の担任の指導が悪かったんだよ」「親が悪いからこんなことをするんだ」「あの小学校がある地域柄のせいだよ」のように、他責になっていきやすいです。これらは全て行動改善には至りません。なぜなら、前の歴史、つまり過去は変えられないからです。親だって、性格だって、地域だって変えられない。教室で、その子自身が困った存在になっていくのです。ついには教師は子どもに対して
「何度言ったら分かるの!また、こんなことをして!しょうがない、お家の人に連絡するからね」
など誤った対応に流れていきやすいです。行動の所だけアプローチすることで、子ども自身が困った存在になり、問題自体が根深く、深刻化していきやすくなっていく場合があります。
その子自体、行動自体が問題だとアプローチを続けていくと、関係が崩れていきます。一度関係が崩れてしまうと、修復が難しく、何度指導しても改善の芽が一向に出ず、関係が崩れる負のスパイラルに陥っていきます。

「一体、なぜこんな行動をしてしまっているのだろう」と考える教師の考え

一方で、Bは、行動自体を問題視するのではなく、行動の背景要因を探っています。我々が見ている行動は、ほんの一部、つまり氷山の一角です。

海の下には、根深く、複雑な背景要因が隠されており、そのモノサシをたくさん持っていることで、「なぜそのような行動をしているのか?」をつかむことができます。つまり、行動の見取り方が変わってくるのです。
暴言を吐く行動を繰り返す子どもを見て
「感覚の違いがあるのではないか」
「認知の偏りがあるのではないか」
「誤学習をしているのではないか」
「この行動を通して、この子は何を得ているのだろう」
「これが起きる前に、いったい何があったのだろうか」
のように、様々な行動のモノサシを持った見取り方ができるようになると、改善への道が早くなってきます。

行動には、必ず背景要因が隠されている

子どもとの出会い、関わりの中で、Aの対応でスタートすると、関係が崩れ、負のスパイラルに陥ってしまいます。つまり、指導が入らず、学校も子どもも家庭も地域も悲しい結末を迎えることになるのです。
Bの対応でスタートし、背景要因を様々なモノサシから的確に見取ることができれば、行動改善につなげることができます。
つまり、スタートが大切なのです。一度関係が崩れてしまうと、関係修復には多大な時間と労力がかかってしまいます。
私もAの対応で子どもとの信頼関係が崩れてしまったことがありましたが、修復することはできませんでした。一旦そうなってしまうと、修復というより「現状維持」「耐える」方向に舵を切ることを最優先にしました。それくらい、スタートは重要ですし、氷山モデルの考え方はすべての教師において子どもと関わる上で必須の考え方であると言えます。

ぜひ、みなさんも不適応行動が見られる子どもに対して、どんな背景要因が隠されているのかという視点で見取り、その子の幸せ、成長につながる教育につなげていただければと思います。

今日の記事は、以上になります。

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特別支援をベースにした教育は、現在、未来の教育のスタンダードです。教職員の方はもちろん、保護者の方、会社に勤めておられる方、これから大人になっていく方にも生きていく上で参考になり、日常生活で生きて働く内容・スキルになっています。ぜひ、みなさんと有益な知識や確かな情報を共有できればと思います。

最後までお読みくださり、ありがとうございました!

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