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必殺ブローを手に入れ補導された話Ⅰ   

TOKYO&キューポラ・アンダーグラウンド

 時は80年代、この国はバブルに浮かれつつも、日本の至所で校内暴力が吹き荒れた名残があった。私は東京北部[ 足立、板橋、北 ]埼玉南部[ 川口、鳩ヶ谷 ]で小学校の高学年を過ごしました。

 大都会の赤羽、植民地:池袋を中心にした板橋・滝野川エリアと
映画キューポラのある街』でお馴染みの昭和の町工場が色濃く残る
川口、”キューポラ風味と東京下町アンダーグラウンド”が僕(私)の街だった。

キューポラとは
コークスの燃焼熱を利用して鉄を溶かし鋳物の溶湯(ようとう:溶解され液体状になった鉄)を得るためのシャフト型溶解炉に分類される溶解炉。訳語は溶銑炉。文献および専門書などで「キュポラ」と短縮され表記されることもある。

wikiより

 路地裏では中東(イラン人?ORパキスタン人?)を中心とした違法入国の外人さんが違法なお薬をばら撒き、偽テレホンカードを売りさばいて、子供の私でも一目でわかる本物の怖い商売の方々が経営してる謎の賭博場が堂々とあった時代。(※明らかに警察見逃してるルーレットのポスター等々。)

 路面に面してるストリートの金物屋では自販機のコイン吸い出しマシーン、PC98シリーズのソフトのレンタル屋(コピー屋)、週刊少年ジャンプの早売り、ファミコンソフトの違法フロッピーなどが地域に溶け込んで当たり前の日常風景。

 新宿のようなガチのバイオレンス繁華街じゃなく小賢しい子悪党が許されている工業と商魂逞しい地域。上野や浅草方面の繁華街少し違う気がする。昭和はなんやかんやで灰色の自由な雰囲気はあった。悪知恵としたたかなグレーが支配するエリアと言って差し支えないかも。

おっさんはほぼこのエリアから出ない人生だね。(旅行とかは別ですよ)

ティーンエイジは女性は中山美穂(ミポリン)のヒロイン像、男はビーバップ・ハイスクールに憧れる大きな兄貴達はナイフとメリケンサックは常備がスタンダード。(渋谷系チーマーはいない/目立っていない時期)

 一方私達(キッズ)は空き地争奪戦に勝てれば野球、サッカー。負ければゲームセンターと駄菓子屋で遊ぶのが日課になって、夕方の『夕焼けニャンニャン』のエンディングに間に合う形で帰宅。大抵の塾や習い事も開始は6時開始がこのエリアの標準時間テーブル、日本中至る所にあるスタンダードなスタイルだったはずです。

※雨の日や公園空き地争奪に敗れれば友達の家でファミコンで遊ぶ。


※どうでもいい我が家の謎ルール
このEDをみて60分以内に宿題、ドリルを片付け→夕飯(月水金)
塾や習い事は(火木土)このため、Zガンダムがリアルで見れない。


昭和用語集

偽造テレホンカードとは
磁気テレホンカードが広く流通するようになるにつれ、使用済カードに新たに磁気情報を加えて、再び使用可能とした、いわゆる「偽造テレホンカード」(または「変造テレホンカード」「偽テレ」とも)も広く流通するようになり、社会問題に発展した。

WIKIより引用

Bダッシュ(ビーダッシュ)とは、
任天堂のコンピュータゲームのコントローラの特定のボタンを押しながら移動することで、通常よりも速い「ダッシュ」状態で移動できること、およびその操作を表す。

WIKIより

とあるゲームセンターが大好きだった僕ちん

そんなある日。
荒川大橋を渡って、通行手形を見せて埼玉県の川口市のスーパー忠実屋のゲームセンターへ行く。なぜ、遠方まで遠征するのかって?

ゲーム料金がワンプレイ50円だけだからじゃない、両替機機に仕掛けがあるから、みんなBダッシュで押し寄せる。

子供に優しいカラクリ両替機

 不定期日替わりである時間帯になると500円硬貨を入れて”100円硬貨5枚”と”500円硬貨”も同時に払い出される。1000円紙幣を入れて両替してはダメ。そんなミラクルな両替機が設置されてる。地域の子供達は知ってる。暗黙のルールさえ守ればお店も見逃す。連続してゲームをしないで且つ500円だけを抜き取ると店員が返すように言われる。※50円硬貨に再度両替しないといけないので必ずバレル。常連客になることでこの不思議な両替機のサービスが受ける事ができるのです。

 このエリアでは様々なゲームセンターは凌ぎを競い合っているので子供達の活気が必要で流行ってるを演出しないといけない。あの手この手を使って子供達を釣る。代表的な手法は駄菓子を買えば10円プレーが出来たり、一度指定の両替所でレート変装のコインに両替し専用コインで遊戯ができたりするゲームセンターなどだ。特に人気店は規定ゲームでハイスコアを更新したら3000円券など貰えたりもした。昭和のゲームセンターは多彩だった。とことん子供に優しく楽しませてくれてた。

実質店員が両替状態をチェックしネコババしないさせない状態

TOKYO下町・武南ルールはこんな感じです。
小学生は一人行動さえしてなければお咎め無し

いい時代だ。

余談~ソフマップ創業黎明期~

秋葉原のソフマップのジャンケンマッチって覚える人います?毎週日曜日の朝オープン時にファミコンソフト、PCソフトをジャンケンで勝てば半額や破格な値段で販売してた。早起きしてアキバまでで電車に乗っていきましたネ〜、親父が後楽園に競馬の馬券を買う時は一緒について行って帰りに田宮ラジコンショップとか回ったなあ〜。競馬場に子供連れでも入れた。父親が大勝ちしてタミヤのホットショット買って貰った思い出があります。


黄昏時、原チャリ集団に囲まれる

 例のゲーセン→駄菓子屋?を満喫して帰宅した時に事件が起こった。
薄暗い路地で原チャリに乗った怖いお兄さん達に囲まれたのです。ゲームセンター帰りから後をつけられたのだ。どことなく気配は感じていたが自分達二人しかいない小学生を相手にするとは思っていないが ”連れはソコソコ芽体が大きかった”ので恐らく中学生に間違われたのだろう。

 小学生の自分はブルった。いつもは5〜6人のクソガキキッズの集団だったが今日は2人だけ。騒がれても気づかない人数、格好の金づるカツアゲのターゲットだ。5時半から6時半は小学生にとっては危険度マックスで警戒を緩めてはいけない時間帯だったのに。。

 やってしまった、今日という日に限って友人がイタヅラで書いた”クロマティ”のサイン入りの野球バットも持参してない。ついてない日はとことんついてない。

 そもそも、原チャリ数台で囲まれた自分はもう、ビビりまくり、ブルっちまった。前方後方を現チャリで進行方向を阻まれた瞬間に血の気が引いた。人気なゲーセン遠出が裏目に出た。K君のスタートダッシュが早ければ公園争奪戦に負けなればこんな目に合う事にならなかったのにと悔やまれる。

現在はエミル川口というモールに変貌してた。様変わりしてますね。。

小遣いは月額3000円、ジャンプは170円なり

自分の所持金を咄嗟に暗算した。1,000円札が2枚、10円が3,4枚ぐらいだ。小遣い月額3,000円でやりくりしないといけない事情がこちらにはある。10円玉を差し出せば見逃して貰える状況はまず無かった。

やばい、月初めでジャンプの4冊(4Week@170YEN)が取られる。
「気まぐれオレンジロード」「北斗の拳」「キン肉マン」「聖闘士星矢」「キャプ翼」が絶頂に盛り上がってる。ここで『ジャンプの話題に乗れない』”僕のスクールライフ”は有り得なかった。

私は転校生だったので男子たるもの”居場所”の確保は特技や、男子としての
<しょーもない力量>が必要でスクールカーストの上位ポジションを失うわけにはいかない。

なぜ、こんな絶対絶命のピンチで「週間少年ジャンプ」の売価が関係あんねん!と思うなかれ。当時の私達少年は「週間少年ジャンプ」を中心に地球がが回ってると信じていた。(※通称ジャン動説・・・諸説あり)

転校生のポジション取り

 私は圧倒的なカリスマのあるジャイアンタイプじゃない。出木杉君タイプでもない。スポーツスター運動できるっ子でもない、辛うじてレギュラー程度。圧倒的な面白い奴の3番手。話題を振り撒き、合いの手と間髪いれずのジョークを繰り出すのが私のポジションだ。転校生は空いたポジションを自ら創出しなくてはいけなかった。だから、好敵手(友)との差別化スパイスとして「雑誌ポパイ」のファッションを背伸びして洋服を着こなし、週刊ジャンプのネタを考察予想をする事で学校クラスで人気者ポジションを手にいれてるのだ。

子供達は残酷だ。得意技のジャンプネタで蚊帳の外になってしまっては、
あっという間に序列の入れ替え戦が発生する。それゆえに『少年ジャンプ』
の購入資金源が枯渇することは、スクールライフの死を意味しているのだ。

このカツアゲは絶対絶命。
私の頭上には死兆星が輝いてる。キラーン。

何より、来週は”ユリアが南斗の将と判明後、ラオウと雲のジュウザと対決直前。この話題に私が中心になってない事はありえない。ここは譲れない。断じて引けぬ理由があった。

退けない、退けぬのだ!!

引用元 ©1983年 集英社/ 武論尊/原哲夫 「北斗の拳」

※意味わからないと思いますが、当時の少年ジャンプは黄金期でとにかく面白かった。それほど私達を夢中にさせた。

死兆星とは、
「アルコル(alcor)」の呼び名の一つ。おおぐま座の恒星。等級は4等星。
北斗七星のそばに、寄り添うように小さく存在する。ちなみに、アルコルとは「かすかなもの」という意味。

漫画『北斗の拳』においては、死の運命を背負った者の上に輝くとされ、その星がみえた者にはその年の内に死が訪れるといわれている。

pixiv百科事典より

※※
一旦、話を戻します、熱くなりました。


少学生にも容赦ないビンタ

こちらの事情など短ラン鎖チェーン付眉なし高校生のお兄さん方には一切関係ない。友人は鼻血を出しながら財布からお金を巻き上げてるのが横目で見えた。友人は屈したのだ。無理もない鼻血ブーした時点で負け確、抵抗する理由など彼にはない、彼の家はお金持ちなのは知っていたのでまた小遣いが貰えるはず。私は違う、ユリアの為に、いや、ジャンプのために財布を渡すわけにはいかないので拒むしかない。

理不尽な暴力に抗う

転校生の私が半年以上かけて築いた上位ポジションと女子人気を失うわけにはいかない。滝君ドリブルだけでは意中の女子は振り向いてくれるほど青春アミーゴは簡単じゃない。

勇気を振り絞りウソをついた。
『僕、財布もってないんです・・・』

拒んだら、頬にビンタが飛んできた。

パッチーン。

私、もう、涙目。いや、多分泣いていたが友人がいるので辛うじて涙をこらえ泣き叫ばなかった。もう一発、ビンタが往復した。

ビターン、ビッっターーーーーン!

両頬は真っ赤に腫れ上がった。
(いてーーーーよ、未だに覚えてるわ)

不良高校生A:『お前がゲームセンターで遊んでるの見てんだよー!』
早く、財布出せや〜!死にてーのか?アァーーーーン。』

もう、怖い。本当に死ぬほどキッズの自分はガクブルもの。

友人は同様にお金を渡して早よ、渡して逃げるように涙目に訴えてる。
小学生のガキ相手だろうが容赦はしない。

DQNなんてカワイイぐらい昭和ドヤンキーは怖い

その後も何発か引っ張たかれたが、細い腕で一発でもお見舞いしたく足掻いた。必死の抵抗だ。流石に当時ガキだった私でも頬をブタれてメンチ切るぐらいは本能的に出ていたと思う。さらに私の頭でもう一つ懸念が脳裏によぎる。。意中の女の子にこのカッコ悪い様を知られたらどうなるのか?確実に友人は漏らす。

自分は喧嘩は強くない、当時の体格はガリで、逃げ足だけが早かった。上級生には毎度は泣かされる。漫画の主人公のようにはいかないのはわかってるけど、理不尽な暴力に責めて抵抗したかった。

※今と違って子供同士の喧嘩は至る所に発生する時代です。そこまで大事件にはまずならない。

ヒョロヒョロのパンチを繰り出してもほぼ高校生の大人にはびくともしない。それでも、不良高校生に一矢報いたかった。

※うちの娘が負けん気の強い所、性格がそっくりでビビるわ。


用語解説

滝君ドリブルとは
漫画キャプテン翼に登場するFWウイングの選手。サイドライン際をドリブルで駆け上がり主にセンタリングを上げるのが得意な技。小中学生はライン際をガンガン走れるので女子の声援を受けて、活躍しなくてもめっちゃ目立てる。足がそこそこ早ければOK。ガッツが足りないってなることはまずない。


奇跡とは偶然か必然なのか。

謎のブローが炸裂!

不遜な生意気な態度をとった私に対して、怖いお兄さんは胸ぐらを掴み早く財布を出すように威嚇した。その一瞬のスキに私はなぜか、拳を中指の第2関節を突出さて1ミリでも相手に届くようにして繰り出した。

『ドム。。。ゴン』
血管のようなホースを叩く感触が拳から伝わった。
数秒の間をおいて怖いお兄さんはその場に倒れた。

偶然、お兄さんの喉もどけにガキ詰に握った拳が思いっきりヒットしたのです。というか、胸ぐらつかまれて半立ち状態で顔めがけたつもりが、急所の喉もどけに突起した関節が勢いよく当たっただけ。

中指の第2関節を突出させた必殺ブロー、素早く急所を狙うべし!


お兄さんがなんと苦しいそうに疼く待ったままで路面に倒れている。異変に気づいたその他の不良グループが詰め寄ってきたが、私は友人共にその場から抜け出すチャンスが到来したのです。倒れてる不良少年Aを介抱してる状態になり、チャリンコを2人で必死に漕いでその場から逃げた。もう、私も友人も ”大人が倒れてる” 姿にパニックになって大声で叫びながらその場からの逃げ出したのでした。

心臓がバクバクした。
わたしは人を殺してしまったのではないかと初め思った。
子供の拳で人が倒れ、疼くまる、そんな事を自分がした。もう、暴力というものが如何に恐ろしく、怖いかをこの時初めて経験した。兄弟喧嘩やガキの喧嘩とは全然違う、何とも言えない恐怖から叫びながら逃走した。

※重要
私は力を行使するにはそれ相応の覚悟がいると思っています。女性が振るう暴力にも全力で否定をする。言葉の暴力であれ、鉄拳であれ、権力含めて”力”を行使した方がより痛みを伴い、またその責任を負うと考えています。

原チャリで追いかけるお兄さん方もいたが、運良く信号機で赤に変わり、逃げおおせた。奇跡が起きる時は重なる。

めんどくさい事になりそう・・・の恐怖が襲う。

自宅に帰ったら7:00を過ぎており、川口まで遠征してる情報を誰かがチクったらしく母親には小言を言われた。母親はゲームを遠出してまでするバカバカしさと勉強にその熱意を少しは傾けろとガミガミ小言を言っていたが、私は母親の言葉が全く耳に入ってこなかった。”大人が前のめりに倒れ疼くまる姿”が脳裏に焼き付き面倒な事態になるのではないかと不安になっていました。カツアゲに会いお金を取らそうになった事を報告すると更に大事になりそうで胸に閉まった。

その日の夜はイベントが山盛りで興奮と不安でなかなか寝付けなかったのを覚えてる。あの拳に残る感触だけが気持ち悪かった。

必殺ブローは神が授けた拳なのか問題

私は小遣いを失わず、少年ジャンプがいつも通り読める。学校やクラスでのポジションも失わず、友人がこの事件を風潮しても意中の女子は失望はしないとタカを踏んだ。しょーもない下心が奇跡を呼びこみ、死兆星を吹き飛ばしたと思い込んだ。

今、冷静に思い返しても”奇跡”に他ならない。

奇跡とは、常識では考えられない、不自然で、説明や照明ができないことであるらしい。日本人は宗教観が乏しいのでなかなか”奇跡!”を表現しないと思う。余談ですが、キリスト教、イスラム教の教えの中では、神への信仰を持たせる為に、事実や教義に行われた(起きた)超自然的な出来事を奇跡と呼ぶ。

だから>>OH MY GOD ! なのです。

ジャンプが買えないと序列が危ぶまれるが『必然』であり、それに抗う勇気が偶然に重なったわけだ。

偶然とは、たまたま、思ってもみないことが起きることである。前述の奇跡のように大げさなものではなく、自分の予測と反して、思ってもみないことが起きることである。その為、偶然は日常生活においてよく起きるが、奇跡はそう起きるものではない。ただ、今回のカツアゲ事件で偶然の中でも、自分の予測を大きく反していて、大変驚き、なおかつ嬉しい出来事に対して、
ラッキーな現象が立て続けに起きた。その気持ちと現象を表現するならばに「奇跡」という表現しか見当たらない。

この日の出来事が1ヶ月後に私達悪ガキキッズにとってターニングポイントとなる一大事件に発展する。

まだ、眠りから覚めていないのであった。(物語調で〆る)」

必殺ブローの行方はどうなる、次回に続く。


ノンフィクション実録シリーズ!!
■次回のハイライト予定■
スナフキン(私)の必殺ブローは再現できるのか、ジャンプメゾット発動。
少年達の計画は一大プロジェクトとなる。
全て道は○○○に通じる
英雄の修行
ボンタン(ぽい)刈りじゃー! 
安全圏確保し、抗争はエスカレート
ピーポー君参上。

昭和後期の浪漫談義はまだまだ終わらんでー。

※毎度の誤字脱字は都度修正していきます。なぐり書き、思い出しながらまったり更新します。

ただのオッサンの備忘録ですが、応援コメントなど頂ければ励みになります。