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漫画みたいな毎日。「末娘としまっちゃうおじさんとなまはげと。」

末娘は、お片付けをしない。

子どもたちの机周りなど、基本的に母は片付けない。どこまで使っていて、なにがあそびの途中で、何が必要かわからないからだ。なるべく、あそびを分断しないように・・・と心がけている。

心がけてはいる、のだが・・・・

末娘の基地となっているキッチンセット周辺はいつ見ても、ひどく散らかっている。物が多すぎるのかもしれない、収納が使いづらい、仕舞いにくいのかもしれない、と末娘の様子をみながら、試行錯誤している。

今日も、買い物から帰り、子どもたちのスペースに目をやると、見ないようにしていたものの、末娘の物が散乱している。

見かねて、母が、末娘の基地であるキッチンセットと収納棚周辺を片付け始めると、長男と二男が片付けに参戦してくれた。

長男が、「うわっ!!!こりゃ、ひどいね~」と、仕分けつつ整理する。

昔は、なんでもかんでも、「とっておいて!」と決して捨てない子だった長男。

そんな長男の取り出しやすい収納の仕方を考え、伝えつつ、一緒に片付けてきた。しかし、最近では、自分で自分の机周りや部屋を片付けるようになり、「ああ、大きくなるって、こういうことなのねぇ~。末娘の片付けまで手伝ってくれて!」なんてやや感慨にふけっていると・・・

二男が「ねぇ!ちょっと!見てよ!」とダイニングを指差した。

「あの人、自分の片付けなのに、のんびり甘栗食べてるよ!」

そこには、悠々と甘栗を頬張り、リスのように、ほっぺたを膨らませている末娘がいた。

「みんな~!ありがとね~!」

・・・・どこのお姫様だ。

長男が呆れたように、

「・・・全部、捨てちゃうよ。」というと、

「・・・あ、引き出しは自分でやるから、やらなくていいよ♪」

そのセリフに、顔を見合わせる母と長男。

あやしい・・・・。

引き出しをそっと開けると、約1週間前に末娘と一緒に整理したはずの引き出しの中は、吹雪で目の前がまったく見えないホワイトアウト状態だった。

「お母さん、妹のキッチンセットとか引き出しって、週に何回か整理してあげてるの?」

「何回もやれてないよ~週1回くらいかなぁ。」

「それで、こんなに散らかるの?!ある意味スゴイな・・・・」

呆れた長男は、黙々と片付け、末娘に片付け先を伝える。

「コレは、ここにしまうんだよ。しまわないとねぇ、きみが、〈しまっちゃうおじさん〉にしまわれちゃうんだよ・・・・。」

脅しである。

しまっちゃうおじさんとは、いがらしみきおさんの4コママンガ「ぼのぼの」に登場するキャラクターだ。ぼのぼのが空想している謎の人物で、言うことを聞かない子を「きみがいうことをきかない、〇〇ちゃんだね~。」とどこかに連れて行き、「さぁ、どんどんしまっちゃおうね~」と言いながら岩の中に閉じ込めてしまうのだ。

まるで、秋田のなまはげのようだ。

私の母は秋田出身なので、小さい頃からなまはげの話を繰り返し聞かされてきた。そういった意味では、馴染みがあると言えるのかもしれない。
馴染みがあるが、本物に会ったのは、中学生の時に男鹿半島を観光したときだったと思う。

「泣く子はいねがぁ~!!!!悪い子はいねがぁ~!!!!」

と、大きな包丁をもって言われたら、恐怖しかないだろう。怖いから言うことをきくというのは、なんだかおかしいと幼少期から疑問に思っていた。

しかし、本来、なまはげの正体は、真山や本山といった男鹿の山々に住む神の使い。人の怠け心を戒めるだけでなく、厄災を払い、豊作や豊漁をもたらしてくれる、むしろありがたい存在。年の変わる節目に訪れる「来訪神」として、現在も崇められている。大きな音で戸を叩いたり、足を踏み鳴らしたりするのも、家の中の邪気を払うためだそうだ。

しまっちゃうおじさんとは、やはり違うかもしれない。

なまはげは、日本を代表する伝統行事として2018年にユネスコの無形文化遺産にも登録されている。・・・なまはげさんたち、認識不足で申し訳ありませんでした。

なんにしても脅しはいけません。長男。しかし、末娘は、上手である。片付ける長男のそばにきて、「あ、これもしまっておいてくれる?」とさりげなく指示。

「あ~ハイハイ。」となんだかんだ妹の言うことを受け入れる長男。

すると末娘が、「ハイは、一回!!」

・・・そこ?

・・・恐るべし、しまわせちゃう女子。

なまはげではなく、節分の時の鬼。

ヘッダーの画像は、末娘が描いた、「ぼのぼのとしまっちゃうおじさん」
さぁ、どんどんしまっちゃおうね~。



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