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僕の贈りもの|日記|2022/12/13

12/13(火)

父が実家からレコードを持って帰ってきた。オフコースのデビューアルバム『オフ・コース1 / 僕の贈りもの』とレイ・チャールズ『Atlantic 8006』。『オフ・コース1 / 僕の贈りもの』は父の思い出のアルバムで、若い頃に何度も聴き返したそう。レイ・チャールズの方は学生時代の友達から借りパクしてしまったものらしい。オフコースのジャケットは年代相応の焼け具合だったが、レイチャールズは表面に艶やかな光沢があり、聴いた回数の差が目に見えてわかった。しかし中身はどちらも新品と言っていいぐらいに綺麗な状態で驚いた。本だったらどれだけ丁寧に保管してもこうはいかないだろうなと思った。

是非音を聴かせて欲しいと父に頼まれたので、一緒に僕の部屋に行きレコードをかけ、同じ音楽に耳を傾けた。オフコースのデビューソング「僕の贈りもの」がかかると、父は僕に歌詞カードを手渡し、上手くはないけれど重みのある優しい声で口づさみ始めた。僕は小田和正と父の歌声と共に、歌詞に目を走らせる。

冬と夏の間に
春をおきました
だから春は少しだけ 中途半端なのです
このころはなんとなく 心楽しくて
知らないうちに 誰かを
好きになったりします
それでも 好きな人が
できなかった人のために
この歌は僕からあなたへの
贈りものです

夏と冬の間に
秋をおきました
だから秋は少しだけ 中途半端なのです
このころはなんとなく 心さみしくて
知らないうちに 誰かと
すきまができたりします
それで 好きな人と
別れた人のために
この歌は僕からあなたへの
贈りものです
僕の贈りもの / オフコース

僕にとっては全く馴染みのない曲、だけど父にとっては馴染みのある曲。なんだか不思議な感じだ。歌を歌いながら静かに高揚していく父の姿を見て、長い時間一緒に生活した父でも知らない姿があるという当たり前の事実に面食らってしまった。僕は僕が生まれる前の父を知らない。父はどうやって父になったのだろうか。一人暮らしをしていないためまだまだ子供気分が抜けないのだが、あと一年で僕は父が結婚した歳になる。もし自分に息子や娘ができたとして、一体何を贈ることができるだろうかと少し考えてみた。そしておそらく本だったらいっぱいあげられそうだなと思い至り、ホッと安堵の胸を撫で下ろした。

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