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語彙日記 1/1〜 狂った犬は水を恐れる

1/1(日)

・魚の目(うおのめ)
足の裏などにできる角質が豆粒状に増殖したもの。押すと痛い。
村上春樹 柴田元幸「翻訳夜話」

正式名称は「鶏目(けいがん)」。硬くなった皮膚の中央に、魚の目のような芯ができる特徴から「魚の目(うおのめ)」と呼ばれているそう。タコは皮膚が表皮より上の方向に厚く盛り上がった状態であるため神経を刺激せず痛みが生じることはないが、魚の目は芯が真皮の奥深くまで潜り込んで神経を圧迫するため激しい痛みが生じる。

・歩哨(ほしょう)
軍隊で、警戒・監視の任に当たること。また、その兵。
村上春樹 柴田元幸「翻訳夜話」

戦争を題材にした小説でよく見かける言葉。この言葉に初めて出会ったのはおそらく高野和明「ジェノサイド」だった気がする。

・デリカテッセン
ハム、ソーセージ、サラダ、缶詰などの調理済み食品。 また、それを売る西洋料理の惣菜店。
村上春樹 柴田元幸「翻訳夜話」

ドイツ語で「美味しいもの」を意味するデリカテッセ(Delikatesse)の複数形であり、そこからデリカテッセンを売る商店という意味が派生したそう。

・フォーラム
公開討論会。共通の興味を持つことに対して議論をしたり、一つの問題に対して討論をして結論を出すこと。また、そのような場。
村上春樹 柴田元幸「翻訳夜話」

「シンポジウム」は一つのテーマに対して複数人が違う意見で発表した後、発表を聞いた者が質問をするという形で行われるため、多くの意見が知れる討論会である一方、「フォーラム」は一つの結論を出す討論会。

・クリーシェ
乱用の結果、意図された力・目新しさが失われた句・表現・概念。よく聞くありがちな決まり文句や表現のこと。常套句。
村上春樹 柴田元幸「翻訳夜話」

「そんなの関係ねえ」「右から左へ受け流す」「ゲッツ」など、一発屋芸人のギャグがこれか。

1/2(月)

・中風(ちゅうぶう)
現在では脳血管障害(脳卒中)の後遺症(偏風)である半身不随、片麻痺、言語障害、手足の痺れや麻痺などを指す言葉。
寺田寅彦「柿の種」

1世紀頃の中国の古い書物にある「邪風に中(あた)れば撃仆(打ちのめされ)、偏枯(半身不随)となる」という記載が語源だとされている。

・象嵌(ぞうがん)
一つの素材に異質の素材を嵌め込む工芸技法。
寺田寅彦「柿の種」

象は「かたどる」、嵌は「はめる」と言う意味。

象嵌

1/3(火)

なし

1/4(水)

・猫も杓子も
誰も彼も。なにもかも。
小島秀夫「創造する遺伝子」

「猫の手も借りたい」の意味における猫のような感じかな。

・親本
文庫本に対して、元の単行本。
小島秀夫「創造する遺伝子」

親本と文庫(子)本。

1/5(木)

・ライナーノーツ
解説や歌詞が記載された紙、冊子。
小島秀夫「創造する遺伝子」

「ライナーノーツ」という言葉の響きから「ネーミングライツ」という言葉とベテランちさんの短歌が頭に浮かんだ。

火花放電 僕に子供が生まれても ネーミングライツは買わなくてい
・顫動(せんどう)
こまかくふるえ動くこと。
小島秀夫「創造する遺伝子」

1/6(金)

・恐水病
狂犬病のこと。
萩原朔太郎「月に吠える」

狂犬病になると水を飲むときの嚥下の動作によってこれに関連する筋肉が痙攣し、強い痛みを覚えるため水を恐れるのだそう。

・ペダンチズム
学問や知識をひけらかすこと。衒学(げんがく)な態度。
萩原朔太郎「月に吠える」

以前会話の中で「衒学」という言葉を使ったところ、「どういう意味なの?」と聞かれたことがあるので、「衒学」という言葉を使うこと自体、衒学的かもしれないなと思い直した。

・チアノーゼ
血液中の酸素の不足が原因で、皮膚が青っぽく変色すること。
萩原朔太郎「月に吠える」

チアノーゼ(cyanosis)の語源はギリシャ語のシアン(cyan:青)。

・ザッピング
テレビを視聴している際にリモコンを操作してチャンネルをしきりに切り替える行為のこと。
萩原朔太郎「月に吠える」

zapが「素早く動く」という意味らしい。

1/7(土)

・真打ち(しんうち)
寄席で最後に出演する、技量が最上級の人。また、落語家・講談師などの最高の資格。(比喩的に)もっとも実力や人気のある人。
中島岳志「思いがけず利他」

ONEPIECEに登場する百獣海賊団の幹部にこの称号が与えられていた。ONEPIECEでは、この真打の上に飛び六胞、大看板といった位があったので、あまり使い方としてはよろしくないような気もしなくはない。

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